中国で個人向けの高利回り商品である「理財商品」の拡大が続いている。代表的な商品である信託商品の2013年末の資産残高は前年末比46%増え、10兆9100億元(約185兆円)と名目国内総生産(GDP)の約2割に達した。信託商品で調達した資金は、リスクの高い開発プロジェクトに投融資されることが多い。デフォルト(債務不履行)への懸念から伸びは鈍りだしている。
政府系シンクタンクの中国社会科学院は昨年10月、銀行の預貸業務を経由しない中国の「影の銀行(シャドーバンキング)」の規模が12年末で20兆5000億元だったとの推計を発表した。信託商品の同年末の残高(7兆4700億元)から考えて、信託商品は中国の影の銀行の中核的存在とみられる。
信託商品は信託会社が個人から資金を預かり、企業や開発プロジェクトに投融資する仕組み。投融資先には、銀行からの借り入れが難しい民営の採炭会社や不動産開発会社が多い。
利回りは年7~10%前後と、短期金融市場や債券市場で運用するほかの理財商品と比べて高い。高利回りをうたい文句に急成長を続け、12年末には資産残高が保険を上回った。
だが12日には山西省の採炭会社に投資していた商品が期日までに投資家に元利金を返済できず、支払いが遅れていることが明らかになった。また同省の別の採炭会社に投資していた信託商品は、1月下旬に債務不履行をぎりぎりで回避した。
中国信託業協会によると、満期返済時に何らかの問題が発生した信託商品が12年に約200億元あった。「13年はさらに金額は増えたが、最終的にはいずれも解決にいたり、投資家に損失は発生しなかった」(同協会の周小明専家理事)というが、債務不履行への懸念は強まっている。
信託商品は大半が元本保証ではなく、投資家に損失が発生しても信託会社に法的責任はない。ただ昨年夏、陝西省国際信託(陝西省)が投資先企業に代わって個人に信託商品の元利金を支払うなど、これまでは信託会社が損失を肩代わりするケースがあった。
信託会社や販売会社による損失肩代わりは、主な投資家である個人のモラルハザード(倫理の欠如)を招いている面がある。信託会社が会計上準備している賠償準備金と純資産の合計額は信託資産全体の約2.4%にすぎない。信託商品残高が急増する一方で、信託会社による損失負担能力は限られている。(上海=土居倫之)
GDP、理財商品、信託商品、シャドーバンキング、中国
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