週末の大雪に、東日本がまたも混乱した。陸と空の交通網は乱れ、高速道路や列車内では立ち往生を余儀なくされる人が続出。死亡事故も重なった。

 高速道路は東名、中央、東北など各路線で通行止めが相次ぎ、本線やサービスエリア(SA)で多くの車が立ち往生した。

 中央道下り線の大月インターチェンジ(IC)付近では、14日夜に出口周辺の国道20号が通行止めとなり、約400台が本線上で身動きできなくなった。中日本高速は近くの談合坂SA(山梨県上野原市)へ車を誘導したが、多くの人がSAでさらに一晩を過ごすことになりそうだという。

 神奈川県から山梨県に向かう会社員男性(33)は14日午後9時過ぎから足止めを食い、15日午後6時半ごろようやくSAに。周囲では分厚い雪に覆われて形が分からなくなった車もあり、「マフラーに雪が詰まったらどうしようかと、不安だった」。簡易トイレや食料を配布しに来た中日本高速の職員に詰め寄るドライバーもいたという。

 鉄道も立ち往生が続発し、15日未明から全線で運休が続いたJR高崎線では、帰宅手段のない乗客が車内で過ごした。一時は暖房も切れたという。宮原駅(さいたま市北区)で停車した列車に約16時間いたという埼玉県北本市の会社員小林信朗さん(55)は「考えられないぐらい寒かった。帰ったらすぐ風呂に入りたい」と疲れた様子。

 山形新幹線は、新庄発東京行きつばさ120号が15日午前9時過ぎから福島県境近くの大沢駅で半日以上動けなくなり、乗客280人が車内に足止めされた。

 中央線でも、14日夜に長野駅を出た特急ワイドビューしなの2本が15日も藪原駅と塩尻駅でそれぞれ足止め。暖房は使用でき、食料も配られているという。

 仙台市青葉区では15日午前、国道48号で雪崩が相次いで発生、トレーラーなど4台が巻き込まれた。乗っていた計5人は自力で脱出したり救助されたりして無事だったが、雪で車80台ほどが立ち往生。約80人が近くの施設に避難した。山形県に向かう途中だった会社員、大久保康幸さん(44)は、2台前の車が雪崩に巻き込まれた。「崖の上に雪がせり出していた。自分の上にも落ちてきそうで怖かった」。

 群馬県富岡市では15日午前6時ごろ、降り積もった雪で車庫の屋根が崩れ、除雪作業中だったとみられるこの家の農業新井正行さん(79)が下敷きになって亡くなった。同県中之条町では、駐車中の車のなかでアルバイト蜂須賀勝さん(43)が亡くなっていた。県警は、雪かき中にエンジンをかけたまま寝て一酸化炭素中毒になった可能性があるとみている。

 埼玉県加須市の会社員石井幸三さん(64)方では午前9時20分ごろ、2階ベランダのアルミ製屋根が落下し、ベランダにいた妻の光江さん(67)が下敷きになり死亡した。ドスンという音で石井さんが駆けつけると、光江さんが全身を雪に覆われて倒れていた。

 防衛省によると、神奈川県大和市の「日本飛行機」(本社・横浜市)の格納庫の屋根が15日、雪の重みで陥没した。修理のために入っていた海上自衛隊のP3C哨戒機などが傷ついた可能性があるという。

 15日午前8時ごろには、埼玉県富士見市の市民総合体育館メーンアリーナの屋根が崩落した。