わたしが1年間に送ったメールのうち40件を公開しました

注意: 超長文です。「あとで読む」アプリを使いましょう。

まえがき: ellekasaiのオンライン授業と、プロ意識について

彼女(ellekasai)がスクーで講義をするらしいです。全四回で、第一回は2014年3月10日(月) 21:00〜22:30に行われます。Google Calendarに追加するにはこちらをクリックしてください

こちらのリンク先にある、「受けたい!」ボタンを押して登録すると授業開始前に通知されます。時差の関係で、シリコンバレーに住むわたしは朝の4時起きを強いられますが、ためらわずに「受けたい!」ボタンを押しました。

以前も紹介した彼女の動画が授業のベースになっており、初回はWikipediaのページをHTMLとCSSで再現するようです。

HTMLスケッチ

一つだけ言わせて頂くと、Wikipediaを再現するのは初心者には良いかもしれませんが、Wikipediaのようなダサい見た目のページを作りたいと思う人は中級者以降には少ないでしょう。

なので、二回目以降の授業は、誰もが憧れるようなデザインのサイトを再現してもらいたいですね。GitHubなどはいかがでしょうか。プロフィールページレポジトリページ、そしてBootstrapの作者さんが先月デザインを一新させたプルリクエストページをやってもらいたいです。

2%の壁

そもそもellekasaiは、学習院女子大でマーケティング専攻 → 2012年に卒業 → 新卒で決済会社の法人営業職に → 去年の今ごろ退職を決意 → 去年の4月に退職 → シリコンバレーに3ヶ月間滞在し、わたしのメンタリングのもとゼロからHTMLとCSSを学ぶ → 去年の10月にビズリーチにデザイナーとして入社、という経緯でスクーに登壇することになりました。(彼女のブログ記事: 営業ウーマンが半年でデザイナーに転身した話)

リケメンのわたしは常々、世の中は比率で動いていると自分に言い聞かせています。そこで質問なのですが、「普通の大学の文系卒で、新卒で営業職に就いた、帰国子女でもない日本人女性」のうち、(1)卒業後一年から二年の間に、(2)学校にも通わず、(3)まったく未経験の「技術職」に転向し、(4)新しい分野で講演が出来るまでに至る人の比率は何%なのでしょうか。

多めに見積もって2%くらいでしょう。

女性の社会進出や、リケジョなるものがマスコミを騒がせておりますが、この2%という数字を5%に上げるには、10%に上げるにはどのような施策を打つべきか考えるのも、また女性の社会進出につながると思うのです。

理由は簡単で、(1)「強いチームはオフィスを捨てる」にもあるように、これからはネットの発展にともない在宅勤務者が増え、(2)在宅勤務は技術職と相性が良く、また(3)子育てとも相性が良いからです。社会に進出するために、自宅から進出する必要は無くなってきているのです。

念の為に言っておきますが、わたしは「男は仕事、女は家庭」を肯定しているわけではございません。わたしも家庭を持った日には、子育てに注力する所存です。在宅勤務が増えるということは、男性も子育てがしやすくなるということなのです。

ellekasaiへのメンタリング

さて、ellekasaiが先ほどの「2%」に入れた理由のうち、8割は彼女自身の努力です。そこは否定しません。しかし残りの2割は、わたしのメンタリングのおかげだと自負しています。

メンタリングの内容には二通りあって、ひとつは「これを実装して」とタスクを投げ、彼女が提出したコードに朱を入れるものでした。そしてもうひとつは、彼女に技術者の心得を教えることでした。

手に職があっても、職人としてのプロ意識がないと食っていけません。そしてわたしの経験上、技術を教えるよりも、技術者としてのプロ意識を教えるほうが難しいです。2%を10%に上げるためのボトルネックは、最近流行りのプログラミング教育ではなく、プロ意識教育にあると言っても過言ではありません。スキルなんて、後からいくらでもついてくるのです。

では、具体的に何をしたかというと、たとえば彼女をアメリカの技術カンファレンスに連れて行きました(彼女のブログ記事: CSSConf2013参加レポート)。これはこれで実りが多かったのですが、それよりもっと効果があったと思われるのは、プロの言葉のシャワーを彼女に浴びてもらったことでした。

平たく言うと、プロ意識の高い文章をひたすら読んでもらったのです。

それらの文章は殆どがネット上の記事でした。7年前、わたしがプログラミングを学び始めたころは「達人プログラマー」といった本を読んで天狗になっていたものですが、いまはネットに名文が溢れかえっている時代ですからね。

というわけで、彼女が退職を決意した一年前から現在に至るまで、わたしはネットで(プロ)意識の高い文章を見つけては、ひたすら彼女にメールで送っていました。塵も積もれば山となるとはよく言ったもので、なんと一年間で340件ほど、ほぼ一日一通ものメールを送っていました。

gmail

普通の会話はLINEでやっているので、メールにあるのは(プロ)意識の高いリンクばかりです。ロマンチックさの欠片もない。一歩間違ったら完全にストーカーです。昔から、頭がおかしいとよく言われていました。

しかしながら、わたしなりに頑張ってキュレーションし、また彼女が全てのメールを消化したのも事実です。送ったメール一通一通が、今の彼女の礎になっているかもしれない。他の誰かの役に立つかもしれない。送信箱に埋もれさせておくのはもったいない。

そんな思いが高じて、このたび、厳選した40件のメールを編集して公開することにしました。

ellekasaiに送ったメールから抽出した(プロ)意識の高いリンク40選

まだページを閉じていない皆様、長い前置きにお付き合い頂きありがとうございました。以下、注意事項です。

それでは、(プロ)意識の高いリンク40選をお楽しみください。

01. IT勉強会カレンダー

このカレンダーを5秒眺めれば、お手軽に「手に職を持つ = 勉強し続けないと淘汰される」と気づけるでしょう。

02. おしゃれとか美しさってなんだろう

ルックスも心も美しい、友人のデザイナーのめいこちゃんが書いた文章です。

「君の疲れた顔も、可愛いと思うよ。化粧はやり直せば良いけど、仕事と中身は培ったモノがないと、そんな顔にならないでしょ。君は、外見で勝負する人なの?違うでしょう?頭で勝負する人なんだから。」

03. 走れfluentd

シリコンバレーの友人・quipped先生の、オープンソースについての記事。オープンソースに恋しなければ技術者としてやっていけない時代ですから。

04. 20歳のときに知っておきたかったこと

quipped先生の記事アゲイン。名言だらけです。「これは日本に限ったことではないが、みんな文章を書かな過ぎである」とありますが、彼が言う文章とは、アメブロなどで見られる行間の広い文章を指さないと思われます。

05. アメリカの貧富の差を解説した動画

再生回数1500万。アメリカでは上位1%に富の40%が集中しているという話ですが、大切なのは、格差は拡大する一方だということです。ユニクロの柳井さんが「将来は、年収1億円か100万円に分かれて、中間層が減っていく」とおっしゃりましたが、技術者も身の振り方次第で年収1億円にも100万円にもなるのです。ちゃんと考えよう、という思いを込めてellekasaiに送りました。

06. 体罰とかで騒いでる暇ないよこれから学校教育は本当に苦難の5年を迎える

現場を熟知された教育者の方の素晴らしい記事。教育者が顧客のベンチャーで技術者をやっているわたしとしては、「良い教育者の心構え」と「良い技術者の心構え」は似ていると思っています。

07. 村上龍「小説家になりたかったら、村上龍が何と言おうが小説を書いちゃえばいいわけですよ。」

「自分は小説家になりたいと思っているんだけれども、本当にそれはいいんだろうか」と誰かに聞いたってしようがないです。小説を書けばいいんだから。「フランス語の通訳になりたいんですけれども」といったら、まずフランス語を勉強すればいいわけですよ。だから、そういう質問ははっきり言ってよくないですよね。

08. 「決められたモノを作る受託とは違う」、スマフォ受託が儲かる理由

「最終的に強いのは技術力がある人間です。今は仕事が選べる時代なんです。」「実力がある人はフリーランスとして案件を渡り歩いています。あるときはベンチャーに行ったり、起業したりもする。企業相手のコンサルティングでは、週に1度の定例会議に出るだけで20万円、30万円と報酬をもらったりもしています。」

09. 「真のゆとり教育」が生んだ18歳天才プログラマー

私も(天才プログラマーに選ばれたのは)ほかの人に比べて才能があったというわけではなく、ただ単に小さいころから英語が読めたというだけだったとも思います。日本では、例えば大きな書店に行っても、書棚にある一番難しい本ですらその分野の入門レベルでしかありません。

10. ファッションで世界と戦うには – クリエイティブディレクター 源馬大輔

ファッションを例にとると、日本人の内需というのはつねに「外人コンプレックス」のもとで成り立っていた。だからポスターや雑誌を見ても全部外国人のモデル。だけどそれを作っている人たちはだれも英語を話せなかったりするんだよね。いままで内需が良かったからそれでも良かったと思う。でもこれから中国とかに外需を取りにいかないといけない状況の中で、同じようなやり方でモデルを選び、外国人コンプレックスの日本の広告を持っていってもなにも響かないと思う。

11. MBAとはどういう教育なのか

彼女もお世話になったyokichiさんの記事。MBAとはどういう教育なのか、10文字以内で説明できない人は今すぐ読んで下さい。エンジニアにも響くと思います。

12. 現役作家の、プロを辞める理由が他人事に思えない件

僕が知る限り、ここ三年ほどのあいだに出た作家さんの中で、大卒サラリーマン以上の年収を継続的に得られている人はほんの少ししかいません。いくつかの作品がヒットすることはあるし、けっこうな収入になりますが、それが続くことは稀です。執筆だけで人並みの生活を送ることは、もう不可能でしょう。五年前、十万部売れていた作品があったとしましょう。今なら、よくて五万部くらいかな。三万部かもしれません。来年はもっと減るでしょう。再来年も。三年後は……本になるかどうか、僕には確信が持てません。

13. 翻訳:Railsを学んだことで私はより良いデザイナーになった

「UIデザイナーはコードを書けたほうがいいか」という質問には、「需要と供給を勉強してください」と答えましょう。すなわち、コードの書けるデザイナーが何人市場にいるかで、コードの書けないデザイナーの価値は決まるのです。

インターフェイスは、動かない画面に貼り付けられた書類の束では決してなく、それは、インプットとアウトプットのフローなのだ。それが本当によいインターフェイスなのかどうかは、自分で使ってみるまで評価は下せないし、使ってみるにはまず作ってみないといけない。正確な評価・判断をしたかったら、実物に勝るものはない。

14. Web系の会社を解雇されて思った事

プロ意識が欠如した人の末路。一読の価値があります。そして、コメント(トラックバック)欄が匿名はてな村らしくて良いですね。たとえば以下のコメント:

キャベツの千切りもできないのに板前修業に行ったようなもんで、頭おかしいと思う。会社でなくあなたが。

同じくはてな匿名ダイアリーの「無能なプログラマの特徴」という記事もおすすめです。以下、ノンプログラマーにも理解できる部分の抜粋。

技術書を買っただけで満足するw / ブクマするだけで理解した気、分かった気になっているw / 技術書を英語で読めないw / 英語で会話できない、最低ラインといっていいTOEICで800すら取れないw / 技術情報の検索を日本語でやるw / 仕事以外の時間に勉強しないw / 根拠も外資の勤務経験もなく、海外のほうがエンジニアのキャリアパスがある、と信じて日本Dis w

15. これは水です

quipped先生再び。まだ読んだことが無い方、これほどのクオリティの文章も無料で読めるのですよ。そう、インターネットならね。英語が読めなくても、誰かが翻訳してくれる日本のインターネットならね。

16. 「大成功した卒業生の3つの秘密」をLinkedIn創業者が語る

「興味があることはたくさんあるけど、それをどうやって仕事につなげようか?」「もし自分が好きなことが何か、わからなかったらどうすればいい?」「たくさんあるやりたいことの中からどうやって1つ選べばいいのか?」昔からよくあるこれらの質問は・・・間違っています。先にあげた3つの質問はすべて、「自分」にむけられた質問で、1番大事な要素である「他人」に向けられた質問ではありません。

17. スタートアップの瞬間 Vol.13 / エバーノート日本法人会長 外村 仁

彼女もお世話になったhokayanさんのインタビューです。彼の人間力に影響を受けた人は数えきれないと思います。

18. 『パッション追求』病 / Passion"を追うのではなく、自分の"Effort"ができるものを追い求めよ

「パッション追求」病、別名「やりたいことが見つからない病」を患っている人は読みましょう。

何も最初から"Passion"なんて白馬の王子様を探し求めずに、興味があるものをちょっと我慢してやってみるという姿勢でも良いのではないだろうか。もし今やっている仕事に対して、その人の"Effort"が続くのであれば、その仕事がその人にとって運命の相手になるのかもしれない。

19. 新卒エンジニアのための先輩エンジニアによる一目置かれるエンジニアとして成長していくために必要なこと。

まさに「ぐだぐだ言ってないでコード書けよ、ハゲ」ですね。あと、コーディングが苦手だと嘆く人ほど、写経する努力をケチるのは何なのでしょうか。

20. Woops.Design

スマートフォンデザインでラクするために」や「神速Photoshop」の著者である石嶋未来さんのブログ。過去ログの量がすさまじいです。プロってすごい。

21. Your Design Is Wrong (And Here's Why)

数少ない英語記事です。アートはどうか知りませんが、グラフィックデザインには「正解」か「不正解」を客観的に判断する方法があります。カーニングがズレてる、余白のバランスがおかしい、アイコンがピクセルを跨いでいるなどの例を紹介しています。

Design errors separate stock-photo-slappers, clip-art-arrangers, and programmers-turned-wannabe-designers from real, world-class, totally-fucking-amazing professional visual designers.

(意訳) デザインに間違いがあるかどうか。それが、なんちゃってデザイナーと一流のデザイナーの差なのです。

22. HTML5Experts.jp > 斉藤 祐也

海外のフロントエンド事情にとても詳しい斉藤さんの連載です。彼のTwitterを見ていると、やっぱりプロってすごいと思うのです。ちなみにSMACSSを翻訳したのも彼です。

23. Sloppy UI

英語サイト。「不正解」なUIデザインが載っています。

24. Little Big Details

英語サイト。細かいところにこだわっているデザインが載っています。自分が知っているUIデザインのブログの中で一番おすすめです。

25. Empty States

Little Big Detailsの、「初期状態」版です。見れば分かります。

26. 高卒でバカなのに最高に楽しい僕の生き方と守りぬいてきたこと

バンクーバーで出会ったセナさんの記事です。彼の新しい事業、クリエーター向けのバンクーバー留学エージェント・Frogも応援しています。

どうすれば自分のやりたいことが見つかりますか?」なんて聞いて頂くことも多いのですが、目の前にあることを全力でやってたらそれが夢なり、目標なり、自分になる。これがとりあえず、僕が考えられるバカなりの答えです。

目の前にあるバイト一つに全力出せずに夢なんか見つかるんだろうか。目の前にある仕事一つに本気になれずに、目標とか立てられるんだろうか?目の前の事に手を抜いて、自分がやりたいことが見つかるんだろうか?

27. 東大法学部卒(31歳・無職)が半年でプログラマーになれたのは生存本能のおかげ

上達したいくせに、量をこなすことの大切さをナメてる人に読んでもらいたいです。

「学生時代にサークルのホームページを作ったことくらいしか経験がなかった」と話す平栗さんにとって、freeeへの就職はゼロからプログラミングを習得する過酷な日々の始まりでもあった。

「入社2日目に佐々木からRSpecのファイルを渡され、一言『これ(テストケース)増やしといて』と言われたのがプログラマーとしての始まりでした」

(中略) 1カ月ほどでRailsのCRUDにも慣れ、3カ月目には複雑な固定資産やユーザー権限管理などの機能を作れるようになる。半年が経つころには、銀行やクレジットカードの明細データの自動解析アルゴリズムや、300を超える口座との同期機能をほぼ独力で作れるまでになった。

(中略) この1年間で25万行をcommitしたという。最近になってようやく、週末に休みを取るようにした。

28. 生きたとおりに考えていないか?

「考えたとおりに生きなさい。そうしないといずれは、生きたとおりに考え始めてしまうから。」ポール・ブールジェ(フランスの小説家)

ちなみにわたしはナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」の信者です。「タイトルだけ知っている」という人は本を買って表紙から表紙まで読みましょう。わたしは一年半前にオーディオブックで読破しました。

29. NPOというキャリアはありですか?

20代後半といえば早い人であればすでに「仕事の型」ができ始めており、仕事の基礎スキルに加え、業界の知見や社内外の人脈を蓄え始め、あと数年すれば部下を持つようになる頃です。

質問者の方には厳しい言い方になって申し訳ないのですが、「いまだ特にやりたい仕事が見つかっていません」と言える時期はそろそろ過ぎようとしています。あと30年間以上どうやって食べていくかを最優先に考えるべきです。

塩野さんのキャリア相談・君の仕事に明日はあるか」は素晴らしい、本当に素晴らしい連載です。20代中盤の人に響く記事ばかりで、を何個つけても足りません。読みましょう。

30. Product Strategy Means Saying No

英語記事。Intercomのブログのクオリティは凄まじいです。プロダクトを良くするには機能を追加したい衝動を抑えよう、というありきたりな話なのですが、その説得力は群を抜いています。英語ができないとか甘ったれないで、彼らの他の記事も読みましょう。以下、この記事の意訳です。

31. 「スキルなし・実績なし」 32歳窓際エンジニアがシリコンバレーで働くようになるまで

バズったスライドです。

  1. 技術ブログをたくさん書いたら、技術の勉強にもなり、いつの間にか自分のメディアになっていた
  2. 身の丈以上の勉強会で発表したら、業界の有名な方々と知り合いになれ、度胸もついた
  3. おいしいタイミングでがんばったら、ブックマークやSTARがたくさんついたり、技術書を書くきっかけになったりした

32. 文章を「書ける人」と「書けない人」のちがい

また『希望の国のエクソダス』を書くにあたり、著者の村上龍は綿密な取材を行った。その様子は「取材ノート」としてまとめられて、出版されている。たった一本の小説を書くために、著者は目眩がするほど膨大なインプットを行っていた。

『まおゆう』を読めば、著者・橙乃ままれさんの広範な知識に驚かされる。中世~近代のヨーロッパ経済史、技術史、文化史、思想史、軍略……これらすべてに精通していなければ、この作品は書けなかった。一朝一夕で身につくものではない。知識は、息するように吸収し、血液のように絶えず自分の中を循環させておかなければいけない。

いわゆる「ビジネスパーソン」と呼ばれる人々は、知識を軽視しがちだ。問題を効率的に解決する方法や、アイディアの出し方……マニュアル化された「頭の使い方」をマスターすることに夢中で、知識の蓄積を後回しにしがちなようである。頭の使い方さえ身につけていれば、知識は必要になったときにキャッチアップすればいい、キャッチアップできると信じて疑わない。ビジネスの世界で求められる知識とは、つまり、その程度の浅いもので充分なのかもしれない。

(中略)すぐには役立たない知識を、毎日1ページずつ蓄積していったとする。1年で単行本一冊分になり、10年で辞書一冊分になる。三島由紀夫の愛読書は国語辞典だったというが、彼は非凡な天才だ。さて、凡人たる私たちは辞書を頭から読んでいって、内容を丸暗記できるだろうか?

知識を身につけるとは、本来、そういうことだ。

ビジネスパーソンのプロ意識は人間力重視、技術者のプロ意識は知識重視。それゆえ、ビジネスパーソンが技術者に転向するのは難しいのです。もちろん、「ビジネスパーソンに知識は必要ない」「技術者に人間力が必要ない」と言っているわけではありませんよ。あくまで「重視」の差なのです。

33. 考えることについて書くときに僕の書くN個のこと

quipped先生の文章術。デジタルネイティブのみなさん、かな漢字変換キーを安易に押してはいけません。「わかち書き」という用語を知らない人は、文章を書く前に文章の勉強をしましょう。わたしのおすすめは野内良三さんの「日本語作文術」という本です。

34. 斜陽産業で、それでも好きなことを仕事にするにはどうすれば良いのか

わたしは小野美由紀さんの文章の大、大、大ファンです。彼女はプロのライターさんですが、ライターで食べていくって本当に大変なんでしょうね。

このような考えの人は、「好き」というのは何か針のように尖っていて、好きなことで生きるというのは、それで突いた穴のように小さな点だと思ってるのかもしれない。

ライフワークは好きだけで成り立ち、ライスワークには好きが含まれない、そんな2項対立で、仕事というものを捉えていたら、それはつらい。

ノマド系の人の自己啓発本には「好きな事を仕事に!」とか「好きな事をして自由に生きてゆく」みたいなアオリが多くて嫌になるけど、100%好きを仕事にしなければいけない、みたいな強迫観念があると、それ以外のものは全部苦痛、のような気がしてきてしまう。

でも現実的に、「好き」を中心とした円を思い浮かべた時、「好き」と「好きじゃない」の間にあるのは「充実」という概念だ。

「好き」な仕事のほかに、自分が「充実する」仕事、というのがある。葛西さんにとって、プロダクション経営は嫌々やっている仕事じゃないだろう。好きとは1ミリ隙間があっても、きっとその奥深くには、充実があるに違いない。

好きな仕事の周りに、充実の仕事を敷き詰めて、何がいけないの?

35. Jeff Croft「web標準が成功しhtml名人は用済みになった」

自分のスキルの賞味期限切れなので就職市場で丸腰感で味わってる人を個人的に何人も知ってる

華やかな業界ほど流行り廃りも激しいものです。身の振り方を考えましょう。

36. 島田紳助の成功戦略~「X+Y」の公式

ある時期から急に売れ始め、大抵はその芸人のキャッチフレーズがどーんとウケて注目され、テレビや雑誌などのメディアに引っ張りだこになる。その年の流行語大賞も「ゲッツ」してかっさらうけど、次の年くらいにはぱったり露出が減りだんだん忘れられていく「残念!」で「ワイルド」な人たち。

島田紳助が本書で語る「成功戦略」によって、「一発屋」はなぜ現れてはすぐ消えていくのか、ずっと売れ続ける芸人との違いは何なのか、すべて納得のいく説明がつくのです。

大事なことなのでもう一度言います。華やかな業界ほど流行り廃りも激しいものです。身の振り方を考えましょう。

37. ゲーム系UIデザイナーの勉強を2年近くやって思った12のこと。

No. 03で紹介しためいこちゃんの、プロ意識にあふれた記事です。

英語を読む意志がないと、お話にならない

UI資料や、新しい情報は大体英語なので、読む気がないとそもそも勉強できません。 日本語訳の記事だと、かなり意味が違ったりするので本当に危険だなーと最近思います。

(中略) 私も今まで勘違いしていたのですが、日本語のUIデザイナーの記事を読むと、「側」というか、外枠飾りだけの事をさしてる事もあるので、ぜんぜん違うよ。って事を言いたい。

38. 岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは!から学ぶ幸せの哲学。

「何でもやってもらえるもんだ」と思っている人が多いんです。例えば、スランプになった選手というのは大体、ものほしげにこっちを見るんですよ。「何か教えてほしい、助けてほしい」という顔でね。言ってやれることはいっぱいあるんですよ。ボール蹴る時の動きとか走り方が悪いとかいろいろあるんですけど、たいてい言ってもダメなんですよ。コーチは何やかんやアドバイスしようとするのですが、「ほっとけ、ほっとけ」と言うんです。

スランプの泥沼にあえいでいる奴らが10人いるとするじゃないですか。泥沼であえいでいる時に早く手を出してバッと引き上げても、手を離したら大体もう1回落ちるんですよ。そして2回目に落ちた時というのは、中々上がってこない。これ放っておくと、10人いたら5人はそのまま沈みます。でも、5人は必死になってもがき苦しんで、自分の力で淵まではい上がってくる。その時に手を貸した奴は残ります。

その代わり5人はそのまま沈んでいきますよ。そいつらからは「あの人は何もしてくれない。ものすごく冷たい人だ」と言われますよ。だから僕はコーチに、「お前な、今お前が手を貸したら、『あの人はいい人だった』と言ってくれるけど、みんなまた落ちてしまうぞ。放っておいたら5人には『ひどい人だ』と言われるけど、5人は残るぞ。お前どっちをとる?」と言うんです。これはコーチにはちょっと酷で、人事権を持った監督でないと中々できないんですけど、それくらい誰かに頼るんじゃなくて、自分でやるという人がものすごく少ないんですよね。

39. (本) 小さなチーム、大きな仕事

最後の二つは、メールで彼女に紹介した本を紹介します。自分の中で、プロ意識と言えばこの本です。先ほど触れた「強いチームはオフィスを捨てる」も彼らが書いた本です。ちなみに37シグナルズは今月頭に社名をBasecampに変更しました

40. (本) 自分の中に毒を持て

いわゆる自己啓発本のなかで、自分が一番好きな作品です。

ぼくの前に出て開会の挨拶をされた坊さんの言葉に、臨済禅師という方はまことに立派な方で、「道で仏に逢えば、仏を殺せ」と言われた、素晴らしいお言葉です、という一節があった。有名な言葉だ。ぼくも知っている。確かに鋭く人間存在の真実、機微をついていると思う。

しかし、ぼくは一種の疑問を感じるのだ。今日の現実の中で、そのような言葉をただ繰り返しただけで、はたして実際の働きを持つだろうか。とかく、そういう一般をオヤッと思わせるような文句をひねくりまわして、型の上にアグラをかいているから、禅がかつての魅力を失ってしまったのではないか。

で、ぼくは壇上に立つと、それをきっかけにして問いかけた。

「道で仏に逢えば、と言うが、皆さんが今から何日でもいい、京都の街角に立っていて御覧なさい。仏に出逢えると思いますか。逢えると思う人は手を上げてください」

誰も上げない。

「逢いっこない。逢えるはずはないんです。では、何に逢うと思いますか」

これにも返事がなかった。坊さんたちはシンとして静まっている。そこでぼくは激しい言葉でぶっつけた。

「出逢うのは己自身なのです。自分自身に対面する。そうしたら己を殺せ」

あとがき

いかがだったでしょうか。

そもそもわたしは日本語のページをあまり読んでいません。プロ意識満々の記事など、はてブを見ればいくらでも転がっています。しかしここでは敢えて、「彼女にメールで送り、読んでもらった」という事実があるリンクだけを紹介することにしました。

必ず読んでもらいたいリンクは、LINEやFacebookではなくEメールで送ろう

LINEやFacebookメッセージなどに比べ、Eメールは個々のメッセージに重みがあります。Yコンビネーターの創業者ポール・グレアム氏は「Eメールは通信方法ではなく、TODOリストだ」と発言していますが、まさにその通りです。LINEやFacebookとは違い、Eメールでは個々のメッセージがTODO項目になるのです。

「Eメールはもう古い」と言っている人は、ハッキリ言って時代遅れです。英語圏で大成功したメーリス管理ソフト・MailChimpのCEOは、2ヶ月前のインタビューで次のように答えています。

(意訳) Eメールの力は弱まるどころか強まっています。昔は、友達と「ランチどうする?」「そうだな、中華は?」とEメールしていたものですが、チャットアプリの台頭でそんなメールは受信箱から消えました。昔はEメールで名言や都市伝説を回覧していましたが、Facebookの台頭でそんなメールは受信箱から消えました。昔は友達の子供の写真がEメールで送られてきましたが、Instagramの台頭でそんなメールは受信箱から消えました。昔は誰かの仕事の進捗状況がEメールで送られてきましたが、そういうのはイントラネットやYammerに流れました。

Eメールを殺すと謳われてきたものは、ぎゃくに私の受信箱を片付けてくれたのです。

つまり、しょうもないEメールは年々減っており、受信箱には本当に大切なものが残るということです。Eメールが本気を出し始めるのは、ソーシャルアプリ全盛期の今なのです。

必ず読んでもらいたいリンクはEメールで送りましょう。

社会人教育の仕組み作り

自民党政権になり、雇用の流動化が話題になっています。転職の35歳限界説が崩壊するだとかしないだとか言われていますね。

しかし、転職のための踊り場、すなわち社会人教育の仕組みが整わない限り、雇用の流動化など夢のまた夢です。冒頭で書いたように、

「普通の大学の文系卒で、新卒で営業職に就いた、帰国子女でもない日本人女性」のうち、(1)卒業後一年から二年の間に、(2)学校にも通わず、(3)まったく未経験の「技術職」に転向し、(4)新しい分野で講演が出来るまでに至る人

・・・の比率を2%から10%に上げるには、どのような社会人教育のシステムが必要か。こういう類の議論が抜けていては話になりません。

「類」と言ったのは、上記の比率はどうでもいい比率かもしれませんが、

「斜陽産業で長く経験を積んだが、運悪くリストラにあった40代のサラリーマンで、今すぐ成長産業に移れるほどスキルの無い人」のうち、(1)リストラから半年以内に、(2)成長産業に転職できるだけのスキルを積める人

・・・の比率は、雇用の流動性に直接影響を与えやしませんか。

そして、この比率の改善方法は社会人教育にあり、それには「新しい分野でのプロ意識」を育むことが必須であり、プロ意識の鍵はメンタリングにあり、良いメンタリングはメールからはじまるのです。

と、断言できる訳がございませんが、少なくともわたしはそう信じています。

最後に一言

ただのまとめ記事を書くつもりだったのに、どうしてか雇用や社会人教育にまで風呂敷を広げてしまい、議論の着地点を失ってしまったので、漫画の力を借りて無理やり締めくくろうと思います。良い子のみなさんは、こんな冗長な話は書かないでくださいね。論点はシンプルにしましょう。

さて、最近わたしがハマっている「キングダム」という漫画の10巻181ページに、こんなセリフがあります。

六将云々言う前に、とりあえず百戦ほどこなしてほしいものです。ねぇ、騰?

主人公が目標とする「六将」の王騎大将軍が、部下の騰将軍との会話の中で、まだ若い主人公についてコメントしたときのセリフです。

王騎大将軍にあやかり、一言わたしも言わせて頂きます。

雇用の流動化云々言う前に、とりあえず百通ほどメールを送ってほしいものです。あなたの生徒に。

ここで紹介させて頂いた、どれも素晴らしい記事を書いてくださった皆様、ありがとうございました。


他の記事を読む→