集団的自衛権:首相発言、前のめり…公明が警戒

毎日新聞 2014年02月12日 21時25分(最終更新 02月13日 01時10分)

衆院予算委で質問に答える安倍晋三首相=国会内で2014年2月12日午後0時1分、藤井太郎撮影
衆院予算委で質問に答える安倍晋三首相=国会内で2014年2月12日午後0時1分、藤井太郎撮影

 集団的自衛権の行使容認をめぐり、安倍晋三首相の発言が次第に前のめりになってきた。首相は今国会冒頭の施政方針演説では「対応を検討する」との表現にとどめたが、論戦の本格化とともに、憲法25条で定めた国民の「生存権」確保のためにも行使は不可欠だと主張。改憲しなくても解釈の変更で行使は可能だと訴え、行使容認に慎重な公明党は神経をとがらせている。【影山哲也、青木純】

 「憲法の要請で認めている生存権の中で議論している。今までの(解釈の)積み上げのままで行くのであれば、そもそも安保法制懇を作る必要はない」

 首相は12日の衆院予算委員会でこう発言。自身の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が4月にも容認に向けた報告書をまとめることに改めて期待感を示した。

 また6日の参院予算委では、米艦船が攻撃された際に共同展開中の日本の艦船が対処しない具体例を挙げ「日米同盟に対するダメージは計り知れない」と指摘。日米同盟堅持の観点からも行使容認の必要性に言及した。

 首相は1月24日の施政方針演説で集団的自衛権に言及したものの「対応を検討する」との表現にとどめた。ところが、国会での論戦が進むにつれて踏み込んだ発言が目立つようになってきた。

 方向性が一致する日本維新の会やみんなの党との連携が視野にあるためと見られるが、公明党に一定の配慮を示してもいる。行使容認の手順について、憲法解釈の変更▽行使容認に必要な関連法の整備▽行使するかどうか個別事例ごとの政策判断−−の3段階を経ると説明し、実際に行使に踏み切るにはいくつもハードルがあると強調したのがその例だ。

 しかし公明党は「憲法解釈を直ちに変えなければいけないという認識は持っていない」(井上義久幹事長)と慎重姿勢を崩さない。公明党の太田昭宏国土交通相は12日の衆院予算委で「安保法制懇の報告書が出た後に、与党間や国会での論議をさらに深めていくことが重要だ」と述べ、首相の積極姿勢にやんわりとクギを刺した。

 閣内対立に発展する事態を避けようと自民党幹部は同日、「閣内での議論と並行して自民、公明両党間でも議論の場を設ける」と発言。公明党に配慮した丁寧な議論が必要だとの考えを示した。

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