大阪府予算:出直し市長選影響 市と連携4件の計上見送り

毎日新聞 2014年02月15日 00時45分(最終更新 02月15日 01時09分)

 橋下徹大阪市長(大阪維新の会代表)の辞職表明に伴い、大阪府・市が2014年度に連携して実施する予定の事業のうち、府が少なくとも4事業・計約4億3300万円の予算計上を見送ったことが分かった。また、連携事業のうち7事業程度が府だけの計上となる可能性があり、実施の遅れなど影響が出そうだ。橋下市長と松井一郎大阪府知事(維新幹事長)は府市の二重行政解消を目指して一元化を進めており、予算編成時の辞職が府にも影響を及ぼしている。

 市では、橋下市長が提案する政策的な新規事業は計上しない方針で、人件費や生活保護費など義務的経費に絞る「骨格予算」に組み替える。府が14日発表した来年度の一般会計当初予算案で、市の未計上を受けて府も計上を見送るのは▽10校ある市立特別支援学校の府への移管(約3億円)▽大阪市のメインストリート「御堂筋」のイルミネーション延伸工事(9200万円)▽大坂の陣400年イベント(約2820万円)▽水辺を生かした中之島地区活性化事業(1300万円)。いずれも政策的な色合いの強い新規事業で、府幹部は「予算がついたと思ったら、やっぱりつかないとなり、錯綜(さくそう)した」と話している。

 15年4月に府に移管予定の市立特別支援学校は、多額の経費が掛かるシステム統合の設計・改修が遅れる懸念がある。中原徹府教育長は「移管の日程がずれる可能性もある」と述べた。また、東京−大阪間の全線同時開業を目指すリニア中央新幹線について、促進会議設置や調査費など府市が各450万円計上するはずだったが、市の分は不透明だ。府の担当部は「年度当初は府と経済界だけで話を進める可能性がある」とした。橋下市長が主導する「なにわ筋線」調査費(400万円)、カジノを含む統合型リゾート施設の誘致活動(210万円)なども、府だけで開始することになりそうだ。新市長による補正予算成立を待つと、一部で事業発注が遅れる可能性もある。

 14日に記者会見した松井知事は「致命的な影響にはならない。(事務作業をする)部局には苦労を掛けるが、市長が当選すれば間違いなく間に合わせる」と語った。【山下貴史】

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