中国:南京事件 世界記憶遺産への申請準備始める 市当局

毎日新聞 2014年02月14日 18時48分

 【上海・隅俊之】中国・江蘇省南京市当局は、日中戦争時に旧日本軍に多数の中国人が殺害された南京事件に関する当時の資料を、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に申請する準備作業を始めると表明した。13日付の上海紙、東方早報が伝えた。

 世界記憶遺産を巡っては、鹿児島県南九州市が特攻隊員の遺書などを登録しようとしており、反発した韓国では政府が従軍慰安婦関連の資料を登録する計画を発表。中国でも外務省当局者が「日本軍国主義の侵略の歴史の美化」などと日本での動きを批判していた。

 南京市公文書館は11日、1937〜47年に中華民国の南京市政府などが作成した文書183点を公開した。旧日本軍による「犯罪的な行為」を示すものとしており、今後、申請に向けた資料の整理を行うとみられる。

 南京市当局は2012年にも事件に関する紙資料や写真などを記憶遺産に申請する方針を示しているが、申請のめどはたっていないとみられ、今回の動きもどこまで具体化するのか不透明だ。

 中国外務省は14日、外国記者を対象に南京市の「南京大虐殺記念館」などを案内する取材ツアーを行うと発表した。先月も、満州事変の発端となった柳条湖事件(1931年)の現場付近にある博物館などへの取材ツアーを行っており、日中間の歴史に関する国際的な情報発信を強めようとしている。

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