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浜岡原発 静岡県も独自に確認へ
2月14日 18時53分

浜岡原発 静岡県も独自に確認へ
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東海地震の想定震源域のほぼ中央にあり、3年前に政府の要請を受けて運転を停止した静岡県の浜岡原子力発電所について、中部電力は、運転再開の前提となる安全審査を原子力規制委員会に申請しました。
静岡県の川勝知事は、県として独自に安全性を確認して評価する考えを示しました。

新たに安全審査の申請が行われたのは静岡県にある浜岡原発4号機で、14日午前、中部電力の阪口正敏副社長が原子力規制委員会を訪れ申請書を提出しました。
浜岡原発は、東海地震の想定震源域のほぼ中央にあり、3年前の東日本大震災のあと、当時の菅総理大臣の要請を受け、運転を停止しました。
中部電力は、想定している最大規模の地震の揺れを、敷地の一部を除いてこれまでの1.5倍の1200ガルに引き上げたほか、最大規模の津波でも浸水しないよう、高さ22メートルの「防波壁」と呼ばれる壁を建設しています。
運転再開の前提となる規制委員会の安全審査では、地震や津波の想定や対策の妥当性が焦点になります。
阪口副社長は申請のあと、「いろいろ指摘を受けるかもしれないが、真摯(しんし)に対応し、安全性について地元への説明を尽くしたい」と話しました。
また、中部電力の水野明久社長は「原子力規制委員会の審査に真摯(しんし)に対応し、新しい規制基準に適合していると確認していただけるよう、最善の努力を尽くしていきます。浜岡原発の安全性と信頼性の向上に努め、当社の取り組みを地元をはじめ丁寧に説明し、理解してもらえるように全力で取り組んでいきます」というコメントを出しました。
規制委員会に安全審査の申請を行ったのは、10の原発の合わせて17基に上り、国内の原子炉の3分の1を超えました。

浜岡原発の津波地震対策は

中部電力浜岡原子力発電所は、3年前の東日本大震災のあとに当時の政府から地震発生の確率が高いとして運転の停止を求められ、4号機を含め3つの原子炉が運転を停止しています。
その後、中部電力は海側に高さ22メートルの防波壁の工事に着手したほか、重要設備の防水対策や非常用電源の増設など、自主的に33項目の対策工事を進めてきました。
また、新たに国が示した安全基準に適合するように去年9月には竜巻対策や大型の消火装置の設置など15の追加対策をまとめ、ことしに入り本格的な工事を進めています。
中部電力は、浜岡原発4号機について、地震や津波の対策の強化を求めた原発の新たな規制基準に対応するため、想定される最大規模の地震の揺れを、これまでの800ガルから1.5倍の1200ガルに引き上げ、重要な配管などの耐震補強工事を行っています。
また、敷地の一部の地盤が地震の揺れを増幅する特殊な構造であることを考慮し、まだ申請していない5号機とその周辺では2000ガルに引き上げています。
この地震の想定は、全国の原発の中でも最大クラスです。
さらに最大規模の津波についても、震災前の8.3メートルから21.1メートルに引き上げ、海沿いで高さ22メートルの「防波壁」と呼ばれる壁の建設を進めています。
最大規模の津波も、23.1メートルとした女川原発に次いで2番目に高い想定となっています。
中部電力は、地震や津波の対策のほかに、深刻な事故に備えて放射性物質の放出を抑えながら格納容器の圧力を下げる「フィルターベント」という装置などの工事を進めていて、およそ3000億円かけて新基準に対応するための工事を進めています。
中部電力は、これらの対策が来年9月に終わる予定の4号機について、まず安全審査の申請を行い、続いて3号機の申請を来年度中に行う方針です。
中部電力のこうした動きについて、静岡県や周辺の市と町は、停止中の原発にも核燃料があるので安全性の確認は必要として、14日の安全審査の申請に理解は示しているものの、運転再開につながるものではないとの考えを中部電力側に伝えています。

静岡県知事「県も独自に安全性を評価」

静岡県の川勝知事は「安全の基準に達しているか当然、国に審査してもらわなくてはいけないことだ。ただ、県は県として専門家の会議で安全性をチェックしていきたい」と話し、静岡県としても独自に安全性を確認して、評価する考えを示しました。
また、浜岡原発の運転再開については「使用済み燃料を保存するプールの容量が足りない状況にあり、今のままで再稼働は無理だ」と述べ、敷地内にたまっている使用済み核燃料の処理に見通しが立っていないことを問題視しました。

御前崎市長「安全審査は歓迎」

浜岡原発がある静岡県御前崎市の石原茂雄市長は「中部電力が進める安全対策を国に審査してもらうのは、地元自治体としても歓迎すべきことだ。再稼働の議論はあくまでその先の話で、中部電力には今後もさらに工事を進めてもらい、さらなる安全性の向上を求めていきたい」と述べました。

牧之原市長「永久停止の姿勢変わらず」

市の4分の1が浜岡原発から5キロ圏内にあり、浜岡原発の永久停止を求めている牧之原市の西原茂樹市長は「中部電力が自主的に行ってきた対策を国が第三者の目でどう評価するか、興味深く見守りたい」と述べました。
また、浜岡原発の運転再開の是非について「今回の申請と浜岡原発の再稼働とは別で永久停止の姿勢は変わらない。もし、安全審査に合格したとしても再稼働が議論になるなら、国はほかの原発よりさらに厳しい審査を実施する必要があるのではないか」と述べました。

中電は再稼働の時期示さず

中部電力の増田博武原子力部長は「新たな規制基準は、福島第一原発の事故を踏まえているので基準に適合すれば問題ないと、審査を行う原子力規制庁から回答を得ている。ほかの電力会社と同様の審査のプロセスを踏めば、安全性に問題ないという認識だ」と述べました。
また浜岡原発4号機の運転再開の時期については「今回の申請はあくまで新しい規制基準に適合しているどうかの審査であり、今はまだ再稼働について申し上げる段階にない」と述べ、具体的な時期を示しませんでした。

「政治的に判断すべきでない」

菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で「原発の再稼働は、安全性を最優先に、独立した原子力規制委員会が、世界最高水準の新たな規制基準を基に判断していくというのが安倍政権の基本方針だ。浜岡原発も、ほかの原発と同様に厳正な審査が行われるだろう」と述べました。
また菅官房長官は、記者団が「浜岡原発は、東日本大震災が発生した2か月後に、当時の菅総理大臣の要請によって運転を停止したが、どう考えるか」と質問したのに対し、「原発を再稼働するしないを政治的に判断すべきではなく、原子力規制委員会の厳正な審査に委ねるべきだ」と述べました。

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浜岡原発 運転再開前提の安全審査申請 (2月14日 12時18分)

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