しつけ、というと面倒くさい、カワイソウ、という方もいますが、何事も始めが肝心です。
小型犬にしろ大型犬にしろ、室内飼いにしろ室外飼いにしろ、いずれは一緒にドライブや旅行、公園デビューもしたいものです。
小さいうちは良いですが、しつけをしていない犬は、犬も家族も不幸です。
大人になってからが大変なのです。
また、我侭な育て方をすると老犬になって体の動きが緩慢になったりした時も大変です。
しつけができていれば、犬も飼い主もどこにいても楽しい時間を過ごすことができますよ。
犬と快適で楽しい生活を送るためには、飼い主が犬に信頼されるリーダーとなることが大切です。
犬には群れで生活をするオオカミの血が流れています。
オオカミには、群れの安全や食事を確保する十務をもったリーダーが存在します。
この「リーダーを必要とする習性」が、犬にも受け継がれているのです。
信頼できるリーダーがいない犬は、不安でつねに落ち着きがなく、攻撃やむだぼえなどの問題行動を起こしやすくなります。
もちろんリーダーではない飼い主の指示には、耳を傾けようともしません。
これでは、犬との楽しい生活などとても望めないでしょう。
飼い主がリーダーとなるには、日ごろのふるまいを通じて、犬に「この人は自分より立場が上で信頼できる」と認識させる必要があります。
また、犬と快適に暮らすためには、しつけを通じて人間社会で生きるルールを犬に教えることも必要です。
しつけは、犬が来たその日から始めます。
わがまま放題に育った後では、問題行動の矯正が困難になるからです。
犬が来た最初の3ケ月間は、とくに重点的にしつけをします。
その3ヶ月できちんとしつけることができれば、その後ははとんど手がかからない犬に育つといっても過言ではありません。
しつけは愛情と、ときには厳しさをもって行なうよう心がけましょう。
犬のしつけは「フセ」や「マテ」の練習だけではありません。
玄関のチャイムや自動車などの騒音、商店街などの人ごみ、ほかの犬や動物など、犬が人間社会で出会うことになるさまざまな刺激に、
子犬の頃からならすことが大切です。
犬の性格は、社会化期(生後4〜12週)のあいだに学習したことを元に、およそ1年で固まります。
この時期に外の世界に触れず、成犬になっていきなり刺激に遭遇すると、犬は大きな恐怖心や不安を感じることがあります。
車の音などが怖くて散歩に出られなかったり、はかの犬や人間に過剰な書戒心を抱いたりする、社会性がない犬になってしまうのです。成犬になってからでも社会性は育めますが、一度身についた書戒心などを取り除くのはとても困難な作業になります。
子犬の頃から社会性を学ばせることが大切です。
犬の社会化は、犬まかせにしてはいけません。
2回目のワクチンが終わったら、飼い主が子犬を抱っこして外の世界を見せることで、社会化を手助けする必要があります。
ただし、社会化を意鼓するあまり、怖がる子犬をむりやりドッグランなどへ連れていってはいけません。
ほかの犬に攻撃されるなどの経験が、子犬に忘れることが難しいトラウマを与えるおそれがあるからです。
飼い主は子犬のようすを見ながら、犬をさまざまな物事に触れさせて、社会性を育みましょう。
お年寄りや子ども、中高年の人や赤ちゃんなど、さまざまな年代の人々に犬をならしましょう。
散歩などに出たとき、犬が怖がらないなら、いろいろな人々に声をかけてもらったり、触ってもらう機会をできるだけ多くつくります。
小さな子供には、犬の顔の下からやさしく触ってもらうようにしてください。
帽子をかぶった人やメガネやマスクを善用した人、制服やコートを着た人などにもなれるように、まわりの人に協力してもらいましょう。
子犬が苦手な掃除機の排気音や玄関のチャイムなど、犬と一緒に遊びながら聞かせてならしましょう。
ほかの犬や猫や鳥などにもならしましょう。
ただし、3度目のワクチンを受ける前は、ほかの動物と接触することで、犬が感染症にかかるおそれがあります。
ほかの動物とは体を接触させないように、飼い主が抱っこをして見せるにとどめるなどの工夫をしましょう。
動物を見せながら、犬をなでて怖い存在ではないことを教えます。
たくさんの犬種だけではなく、いろいろな年齢の犬にもならす練習をしてみましょう。