NHK会長:「就任会見のことは聞かないで」初の定例会見
毎日新聞 2014年02月13日 21時11分(最終更新 02月13日 22時54分)
就任記者会見の従軍慰安婦をめぐる発言などで批判を受けたNHKの籾井勝人(もみいかつと)会長(70)が13日、就任会見(1月25日)後初めての定例会見を開いた。前回、私見として話した内容をすべて取り消すとしたうえで「済んだこと」「就任会見のことはあまり聞かないでいただきたい」と質問を拒む場面もあった。
記者会見は国会の参考人招致が続き、6日の予定が1週間延期。この日も衆院予算委出席のため1時間遅れの午後5時に開始した。
具体的な取り消し部分を問われた籾井会長は「再び個人的見解に触れることになるので差し控えたい」と述べた。7日の参院総務委員会で従軍慰安婦問題▽特定秘密保護法▽靖国神社参拝▽番組編集権▽国際放送の5項目を取り消したことを指摘され、「国会でうそを言うわけにいかない」「国会で申し上げた通り」と認めた。就任会見で「オランダに飾り窓がある」と従軍慰安婦がいたと受け取れる発言について、「誤りでは」と事実関係をただす質問が出た。籾井会長はこれにも「控える」と回答しなかった。
質問のたびに、隣の上滝賢二理事から10回以上メモが渡され「個人的な意見は差し控えたい」と繰り返した。
最後は「大きく学んだことは私見を述べてはいけないと教えていただいたことだ」と、皮肉を込めて話し、軽く一礼して会見場を去った。
NHKによると、12日午後5時までに籾井会長の発言に対し、視聴者から電話やメールで約9600件の批判的意見が寄せられた。また、東京都知事選の応援演説で対立候補を「人間のくずみたいなもの」と批判したNHK経営委員会の百田尚樹委員については約1400件、就任前に右翼団体元幹部の自殺をたたえる追悼文を寄せた長谷川三千子委員については約1000件が寄せられており、ともに約8割が批判的な意見だった。NHKは「定例会見の通例」として動画撮影を認めなかった。【岩崎信道、青島顕、臺宏士】