2014年2月14日11時33分
裏付けのない話が独り歩きし、もっともらしいまとめサイトが多くのアクセスを集める。インターネットの世界に渦巻く玉石混交の情報は、既存メディアへの不信の表れとも言われる一方、真偽を判断する能力をそいでしまう側面も持ち合わせているという。「だってネットに載ってたもん」という流れと、どう共生していけばいいのだろう。
〈朝日新聞社に「進藤翔」記者はおりません〉
1月29日夜、朝日新聞デジタルにアップされた「お知らせ」。サイト内のアクセスランキングは一時的に1位になり、ネットでは「滑稽だ」「珍しいリリース」と話題になった。
発端は1月25日にあった籾井勝人NHK会長の就任会見だ。質問した記者が「朝日の進藤翔(24)らしい」といううその情報がツイッターで拡散。朝日新聞社は放置できないと判断し、公式サイトにお知らせを出した。
東京都知事選では、細川護熙氏を支援した小泉純一郎元首相が1月19日にツイッターを開設。著名人などの公式アカウントであることを証明するツイッター社の公認マークもつき、フォロワーは一時7万人を超えたが、小泉氏側が本人ではないとして「なりすまし」疑惑に発展、アカウントは削除された。その後、本人のものと確認され、約1週間後に小泉氏本人がスタッフを通じて再開した。
なりすまし、と言えばツイッターには「bot(ボット)」と呼ばれるアカウントがある。「ロボット」が語源で、自動的に発言する仕組みだ。著名人の名前の後に「bot」とある場合は本人ではなく、その人の発言録が流れていることが多い。善意のbotであれば良いが、悪質なbotでは本人の顔写真を使ってなりすまし、悪意のある発言を流すものもある。
真偽が怪しい情報が流れるネット世界の根底には「マスメディアへの不信」があると、ジャーナリストの津田大介さん(40)は言う。いまの若い人たちは新聞やテレビよりもネットを情報源にしていると指摘。その上で、ネットには“マスコミは情報操作している”という前提で、特定の話題の情報を集めた「まとめサイト」などで広告収入を狙う運営者と、「マスコミを正し、日本を良くすると義憤に駆られたユーザー」が集まり「共犯関係」を作っている、と解説する。
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