屋島を望む久米池=高松市新田町
キュウリの花に似たアサザ
香川県高松市新田町の久米池には、アサザが自生している。スイレンのような葉をつけ、5月中旬から10月中旬ごろまで黄色い花が咲く。キュウリの花に似て親しみやすいが、アサザの自生は県内では珍しく、どこでも見られるものではない。
久米池では、堤防工事の際に周辺の調査が行われ、発見された。環境保全の必要性を感じた古高松土地改良区は、活動グループを組織。水利組合や地域自治会、周辺小中学校などの協力を得て「アサザの里・久米池」が誕生した。
工事が終わるまでの3年間、70回ものワークショップを開いた。現在も年3回ほど活動を続け、担当区域を分けて草刈りや花などの植栽を行っている。
「ため池は地域の資源。みんなで使うものは、みんなできれいに」と話すのは、同土地改良区理事長の菰渕将鷹さん(67)。特に力を入れているのは水質の浄化だ。「EM菌」と呼ばれる有用微生物群を使っている。微生物は水中の汚れを分解して浄化する上、アサザの栄養になり成長を助ける。アオコの発生や悪臭などの問題も解消された。堤防には遊歩道が整備され、手入れの行き届いた池は、散歩やジョギングをする人たちの目を楽しませている。
(ライター・鎌田佳子)