爆問太田が「明日ママ」脚本を痛烈批判 「見え見えで陳腐。書き手の技術不足」

2014/2/ 5 18:15

   日本テレビ系の連続ドラマ「明日、ママがいない」について、児童養護施設の描き方などが議論になっているが、爆笑問題の太田光さん(48)もこの論争に「参戦」した。

   クレームを付ける側に「ドラマの制作現場が委縮する」「面白半分でクレーム入れてるんじゃないか」などという批判が多かったが、太田さんは内容への批評を展開した。

「孤児の文学の王道通り。キャラクターが紋切り型」

「明日、ママがいない」公式サイト
「明日、ママがいない」公式サイト

   「明日ママ」への言及があったのは、2014年2月5日放送のラジオ番組「爆笑問題カーボーイ」(TBSラジオ系)でのことだ。

   番組冒頭から、「3話全部見た」と明日ママの話題を切り出した。

   太田さんはドラマの内容に違和感を覚えているが、「世間が感じてる違和感とちょっと違うんだよね」という。

   問題の1つとして取りざたされているのは、芦田愛菜さん演じる「ポスト」のあだ名の由来が「赤ちゃんポスト」であることだが、「見てると逆説なんですよ全部。ポストは芦田愛菜が気に入ってるあだ名であって、だからこそそれがヒロイズム的な名前として、象徴としてある」と主張する。

   さらに三上博史さん演じる施設長が、施設の子供に対し「お前らはペットと同じだ」などと言うせりふがあったことも問題視されたが、これも「見え見えの逆説なんだよね。この人は本当は心優しい人で、そのうち人の痛みを知る、あるいはこの先絶対善人になるって明らかにわかる」。太田さんはその「見え見え」が嫌なのだという。

「古いなと。そのパターン。わかりやすすぎるんだよあまりにも。言ってみれば赤毛のアンにしろトム・ソーヤーにしろ、ハイジにしろ、孤児の文学ってあるわけですね。それの王道通り、むしろそれより陳腐ですよね。キャラクターが紋切り型」

慈恵病院などの主張には「さらに子供が傷付くんじゃ…」

   ドラマの中では、同じ学校に通う女子や親たちが、施設の子供に冷たい人々として描かれている。太田さんはそこが特に気に入らないようで、「俺がクレームを入れるとしたらそっち側だなと思う」という。

「施設にいる子たちだけがクールで、人間の本当の優しさを、大切さを知っていて、彼女たちだけが心が澄んでいる。普通の人たちだってちゃんとしてるって言いたくなるような。あまりにも(施設外の人間の描き方に)愛情がないなと」

   ドラマへの批判の中には「施設が悪く描かれている」というものもあるが、「見てる限りは施設ばっかり良く描いてる。こっちばっかり善として描いてる。俺はそこが物足りないし、新しくないなと思うんだよね。俺の主観だけど、作品としてつまらないっていうことなんですよ」と一刀両断した。

   慈恵病院などが「ポストというあだ名や施設長がペット呼ばわりすることに子供が傷付く」と主張していることについても理解を示す一方で、「子供がフラッシュバック起きてるとか、ドラマが近付くと恐怖で泣き叫ぶ子供たちが出てきたって、宣伝っていうか声高に言うことによって、さらにそれ(子供が傷付くこと)って生まれませんかってのは一つの疑問としてある」と、大声でドラマ批判を繰り返すことも問題では、と指摘した。

「大衆性がものさしになっているのもテレビの良さ」

   太田さんは、一連の騒動は「視聴者に逆説が通じなかった」ことが原因とみているが、それは視聴者の読解力の問題ではないとする。「あの枠(水曜22~23時)で脚本を書けるっていうのはよっぽどの立場だし、やっぱりそれなりの腕じゃなきゃ。(視聴者に)文句を言わせないぐらいのわかりやすさ、逆説でももっとわかりやすくしないとだめ」と、「書き手の技術不足のせい」と見る。

   今回のようなテレビ番組へのクレームに対し、「倫理観を求めすぎるとテレビがつまらなくなる」という声は根強いが、「テレビっていうのはそこまで(ひどいことを)できなくていい分野だと思う。大衆性がものさしになっているのもテレビの良さ」とし、「今回の件は総じていいことだなと俺は思う」と、騒動への理解を示して話を締めくくった。

   これまで「明日ママ」問題にはナインティナインの岡村隆史さんがラジオ番組で、ダウンタウンの松本人志さんがテレビ番組で言及しているが、「今回の抗議でドラマの制作現場が委縮する。取り入れたかったものを自主規制することもあり得る」(岡村さん)、「乗っかって面白半分でクレームしてくるものまで対応しちゃうと、テレビはどんどん面白くなくなる」(松本さん)と、クレーマーに対しての批判だった。

   太田さんの内容批判や騒動への理解は新鮮に受け止められたようで、ネット上では「この件、話題になってる事を話題にする人ばかりでドラマそのものの批評が少なかったので興味深い」「番組批評による視点はありそうでなかったし、成程と思わされた」などと書き込まれている。

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