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【正論】朱子学の影引きずる朴氏の反日 筑波大学大学院教授・古田博司

【正論】朱子学の影引きずる朴氏の反日 筑波大学大学院教授・古田博司

2013.12.5 03:13
 わが日本国では、正当性と正統性を区別するのが難しい。「これが正しい!」と、正当であることを信じるのが正当性だ。だから異端からも正当な権力は生まれる。16世紀ごろまで、カルヴァン派はキリスト旧教にとって異端だったが、ここから当時のジュネーブの新教政権が出てくる。ゆえに、今の中国の「防空識別圏」も注意しなければならない。国際的異端者による正当性の主張だからだ。
 ≪異端ではないとの証求めて≫
 正統性はそうではない。「どちらが正しいか。こちらだ!」という選択を経て、選ばれたものが正統で除かれたものが異端である。韓国の朴槿恵政権の苦悩はここにある。韓国は対日独立戦争をしていない。日本統治時代は自然に始まり自然に終わった。北朝鮮の金日成氏は負け戦だったが、日本軍警と東満州で一応戦っている。
 国家の正統性は北朝鮮にある、と韓国の左翼政党や左翼教員組合は攻撃する。朴氏は自らの正当性を確保すべく、彼らを非合法として裁判に訴えた。同時に自分が異端でないことの証として反日を連呼する。慰安婦の像や碑を米国に建て続ける韓国系移民も同様だ。自分たちは国を捨てた異端ではないと故国に弁明しているのだ。
 こういうのは日本人にとっては迷惑千万である。日本では正統とか異端とか区別しない。神道と仏教はみごとに習合し、今ではキリスト教式で結婚式をしたりする。江戸の儒者たちも寛容だった。
 朱子学は南宋の朱子が作った儒教で、本来は排他性が強い。北方民族が攻めてきているし、朱子の住む中国南方では民衆は道教を拝み、仏教で葬式していた。それらはみな異端、儒教こそ正道だ、というのが朱子学の主張である。
 朱子学が江戸時代に普及し、儒者の伊藤仁斎などはこれを消化しようと29歳で引きこもりになり、8年たって世に出て塾を開いた。出てきてもやはり日本人だった。弟子が「先生、人の道とは?」と問うと、「情けじゃ」と答えた。「天理とは?」と尋ねると、「おてんとうさまじゃ」と語った。
 ≪正統コンプレックスの極み≫
 儒教立国した李氏朝鮮は苛酷である。元々排他性の強い朱子学を厳格に実践、仏教を弾圧し仏像の首をはね寺を壊し茶園を枯らし、僧侶を山に追いやった。法事など禁止だ。儒教の祭祀(さいし)をさせ、3年の喪に服さない民を捕らえ棍棒(こんぼう)で打ちすえた。異端になれば酷(ひど)い目にあうと彼らは骨身にしみた。
 だから韓国人は自らの歴史から学び続ける。「剣道も茶道もうちが正統で日本が亜流。孔子さまも韓国人、中国人ではない」。周りの国々が唖然(あぜん)とするウリナラ起源説をとうとうと述べる。これぞ正統性コンプレックスの極みだ。
 中国はそもそも朱子学が合わなかったので、陽明学の方が広まった。王陽明先生に弟子が意見を聞く。「先生、私はぜひとも古代の音楽を復元したいと思います」。先生はおっしゃる。「うん、しなくていいよ。それは全部、君の心の中にあるのだ」。これが陽明学の「心即理」である。思っているものは実在する。防空識別圏も、中国人が思ったわけだから、実在することになりかねないのだ。
 自己中心の彼らに怒りを浴びせたのが、後に清朝を建てた満州族のヌルハチだった。満州語では中国をニカン国、朝鮮をソルホ国と呼ぶ。ニカン国は「天下の主だ」と思い、ニカン人は毎年越境して略奪する。ソルホ国はわが国の国書の受け取りを拒否し侮蔑する。満州族のハーンは二代にわたり遠征して、両国を攻め滅ぼした。竜の衣はシナの皇帝にしか着られない。清朝ではこれをすべての役人に着せ、ニカン人を侮辱した。
 ≪朝鮮の伝統「告げ口外交」≫
 李氏朝鮮は、明国は滅んで野蛮人の清朝になってしまったのだから、明の正統性を継ぐのはわれわれだと解釈した。そこで「大明国の東の壁」と自称し、清朝から流れ込む文化を悉(ことごと)くはねつけた。
 李氏朝鮮の国内では、両班たちが朱子学の正統性を争っていた。朱子学の解釈権を握り、科挙の試験官を自派で占める。合格者は官僚になって、学閥は権力を手に入れる。儒者の塾は棍棒で武装し、敵方の打ち壊しまでした。朝鮮史では、これを「党争」という。
 三年喪や祖先祭祀など、朱子学の礼の実践ばかりした李氏朝鮮では、経世済民を考える暇がない。流浪の民が居ついた地方の知事が良い知事である。土地には所有権がなく、村には村界がなかった。町には民のための商店もない。
 そこに、今度は近代化した日本がやって来た。南下するロシアに対する安全保障として朝鮮を統治し、開発する必要があった。手の施しようもない李朝の王は臣下たちに丸投げし、諸外国に日本のことを「告げ口」して回った。朴槿恵氏の「告げ口外交」のように、上位者に悪口を言いまくることを韓国語でイガンヂル(離間事)といい、離間が目的である。韓国人同士が毎日国内でやっている。
 中国人も韓国人も世界史から学ばず、確かに自国史から学んでいる。彼らには「卑劣」ということが分からないのはそのためだ。(ふるた ひろし)
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