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【経済】

ガス+蒸気 高効率火力拡大 震災後、原発3基分以上

 大手電力会社の火力発電所で二〇一一年三月十一日の東日本大震災以降、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた高効率の「コンバインドサイクル(複合発電)方式」の導入が進んでいる。この三年間、東京電力など六社で計約四百十七万キロワットが整備されたことが本紙のまとめで分かった。民主党政権が「原発ゼロ」の達成目標時期として掲げていた三〇年代までには、さらに千七百万キロワット以上の整備が予定されている。 

 東電が国の原子力規制委員会に再稼働申請をしている柏崎刈羽原発6、7号機の出力(それぞれ約百三十六万キロワット)と比べると、コンバインドサイクル火力発電は震災後の三年間で約三基分、加えて三〇年代までに十基分以上が整備されることになる。

 政府は、月内に閣議決定する見込みのエネルギー基本計画案で、発電コスト低減や地球温暖化対策のために「コンバインドサイクル火力発電など液化天然ガス(LNG)の高度利用を進める必要がある」と指摘している。高効率火力発電の急速な普及は、原発再稼働の必要性にあらためて疑問を投げかけそうだ。

 コンバインドサイクル方式は震災以降これまでに、東電の川崎火力発電所(川崎市)や関西電力の姫路第二発電所(兵庫県姫路市)、中部電力の上越火力発電所(新潟県上越市)など六つの発電所で導入された。三〇年代までには、北海道電力の石狩湾新港発電所(北海道小樽、石狩両市)など九電力の発電所でコンバインド化が予定されている。

 コンバインドサイクル発電は、発電設備の新増設や、老朽化施設の改修の際に導入されている。改修前の従来施設の発電能力を差し引いた「純増」分は、震災後から現在までで約二百二十万キロワット。今後、三〇年代までの純増分は約八百六十万キロワットになる見込みだ。

 コンバインドサイクル方式は、ガスタービンや蒸気タービンだけを回す従来型よりも発電効率が高まる。LNGを使った場合の発電効率は、ガスタービンだけを回した従来型は40%台だが、最新式のコンバインドサイクル発電では60%にまで引き上げられる。効率が上がる分、使用燃料は減り、二酸化炭素(CO2)も削減できる。

 

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