■石破茂・自民党幹事長

 なぜ(1999年の)能登半島沖の不審船事案で、イージス艦が出ていながら工作船を取り逃がしたのか。我が国の領土を急迫性の武力攻撃によらないで侵害する勢力に対して、防衛出動ができるかと言えば、できない。警察権には限界がある。警察権に限界があり防衛出動もできないとするならば、隙間を埋めるのは立法府の責務だ。それをやらないで、自衛隊に「とにかくなんとかしろ」というのは政治の怠慢以外なにものでもない。今、安保法制懇(安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会)でそれをやらなきゃいけないということになっている。

 安全保障政策は、戦争をするためにやっているのではない。「戦争なんてどうせないや」と言って法律や装備、運用の隙間を埋めないでいれば、必ず戦争という恐ろしいことが起きる。そうならないよう、主権独立国家として次の時代に引き継ぎたい。(京都市での講演で)