Marumo ISDB Splitter ver. 0.2.24 を公開しました。ダウンロードは [URI] からどうぞ。今回の更新内容は次の通りです。
やはり昨日のバージョンにはバグが残っていました。これがラストになると良いなと思いながらの修正版です。
PCR 探索処理で収束を早くするために、可能な場合は PCR を一度のファイルアクセスで 2 地点評価するようにしたのですが、その片方で PCR のラップアラウンド対策を入れるのを忘れてしまっていました。結果、本来はシーク目標よりも後ろの箇所を遥かに手前であると解釈して、映像が当分の間更新されなくなるなどの異常挙動を示すことがありました。
今回のバグでは maki (@maki_rxrz) さんから PCR ラップアラウンド系のサンプルを提供していただいたことで原因特定および修正までの時間が短縮されました。とても感謝しています。
Marumo ISDB Splitter ver. 0.2.23 を公開しました。ダウンロードは [URI] からどうぞ。今回の更新内容は次の通りです。
今回の更新は ver. 0.2.20 以降でシークと追いかけ再生に発生している問題を修正することを目指したものです。
一応ある程度問題は解消されると確認の上での公開のつもりですが、最近のバグ修正でバグを埋めてしまう状況を振り返るとちょっと自信が無くなっています。
一点だけ、MPC-HC / 付属 LAV Filters 環境で、一時停止状態でシークした場合、映像にシーク前のものが表示されたまま更新されないことがあります。この症状については手元で確認済みです。
ただし、こちらはスプリッター側の問題の可能性が低く、アプリケーション又はデコーダ/レンダラが原因の可能性が濃厚なため、スプリッター側では対処できそうにありません。
余裕ができたら調べるかもしれませんが、一時停止を解除して再生を行えば正しいシーク位置からの再生が行われ、特に深刻な問題という訳でもないので当面は放置する予定でいます。
Marumo ISDB Splitter ver. 0.2.22 を公開しました。ダウンロードは [URI] からどうぞ。今回の更新内容は次の通りです。
今回の更新では 2ch DTV 板 TS 関連ソフト総合スレ Part13 の 45 以降[URI] で報告していただいたバグおよび不具合の修正をしました。
ver. 0.2.20 の更新の際に私は次のような内容を書いていたのですが……
これまではシーク時に見つけた I ピクチャに合わせたタイムスタンプをシーク成功位置としてアプリケーションに返して、シーク後の再生ではサンプルのタイムスタンプが 0 以上となるようにしていたのですが、今回からシークは必ず成功したこととして、指定時間よりも前のサンプルに関しては負のタイムスタンプを付けて下流フィルタに渡すように変更しました。
実はサンプルに付けていたタイムスタンプがきちんと補正されておらず、ver. 0.2.19 までと同じシーク後の再生開始位置を 0 原点とするタイムスタンプで下流側フィルタに流していました。そりゃシーク後の再生位置がずれますよね。これが一つ目のバグ修正の方です。
もうひとつの問題修正の方ですが……はい、蟲師に負けました。蟲師ってホント良く縮むのですよね。CM 部分とかと比べるとビットレート半分以下ですから……。
これまではファイルを開いた際に取得した区間毎の PCR からシーク位置を固定算出していたのですが、今回の変更からシークオフセットを仮決定した後、実際にそのオフセットの PCR を確認して目標位置から極端にずれていないか確認して、ずれていた場合は取得した PCR を元にシーク先を再計算するように変更しました。
一応手元ではテストをして対策コードを入れていますが、素材によってはシーク時に無限ループに落ちてフリーズしてしまうものもあるかもしれません。このバージョンも人柱向けということでお願いします。
iShares が東証に上場している「iシェアーズ 先進国株式ETF (MSCI コクサイ) (1581)」[URI] の先週末 12/27 時点での基準価額と市場取引価格の乖離率が面白いことになっているのでその紹介記事です。資産運用・株式投機に興味がない人にとっては退屈な話になるかもしれません。
まず、問題の ETF の乖離率の過去一ヶ月間の推移を示したグラフを上に示します。この ETF は NY に上場しているティッカーシンボル TOK [URI] を JDR という仕組みを利用して東証にも上場したもので、規模の大きさや運用コストの低さなどから人気があり、実際の資産価値と市場取引価格の差異を示す乖離率の数字は概ねプラス側で推移している銘柄だったのですが……、先週木曜日 12/26 から乖離率が急上昇を始め、12/27 の終値では乖離率 9.38% と 10% に迫るほどとなっています。
次に、東証上場の同種の ETF (MSCIコクサイ指数に連動することを目標としているインデックスETF) の 12/27 東証終値での基準価額と取引価格の乖離を比較してみたグラフを上に示します。東京証券取引所に上場されている MSCIコクサイ指数との連動を目指す ETF は他に三菱UFJ投資信託の運営している「MAXIS 海外株式 (MSCIコクサイ) 上場投信 (1550)」[URI] と日興アセットマネジメントの運営している「上場MSCIコクサイ株 (1680)」[URI] の二つがありますが、それらはここまで極端な乖離率の上昇を示してはいないようです。
ここで少し解説です。投資信託というものは顧客からお金を集めて株式等の有価証券等を共同購入することで少額からの分散投資を可能にするものです。投資信託が保有する有価証券等の資産の合計を全顧客の投資した口数で割ったものを基準価額と呼び、基本的に投資信託の値段は基準価額と同じになります。
しかし ETF のように取引所に上場されている投資信託の場合、基準価額での投資信託購入は通常できず、取引所で「この値段ならば売っても良い」という人と「この値段ならば買っても良い」という人が折り合った値段で売買が行われます。こちらを取引価格と呼びます。
取引価格と基準価額の間の差を比率で表したものが乖離率で、取引価格が基準価額を上回っていれば正の数字で、取引価格が基準価額を下回っていれば負の数字で示されます。取引価格は基準価額と一致しないものとは言え、基準価額からかけ離れた値段では売りたいと思う人も買いたいと思う人も減っていくので、出来高の多い ETF であれば乖離率は±2%ぐらいに収まって、取引価格は基準価額に連動することになります。
一般の企業の株式であれば収益や売上、景気状況と色々な要因があるので一株あたり純資産と株価の比率 (PBR) だけで評価することはできないのですが、ETF であれば中身の有価証券は同一指数への連動を目指す以上大体似通った構成にならざるを得ないので基準価額と取引価格の乖離率を見て割安・割高を判断することが可能です。
つまるところ、何が言いたいかというと……
「iシェアーズ 先進国株式ETF (1581)」は現在異常なまでに割高になっている。「MAXIS 海外株式 (1550)」と比較するとその差は 7% 以上にも及ぶ。サヤ取りの好機である。
ということが言いたかったのです。「iシェアーズ先進国株式ETF」は貸借銘柄で信用売りが可能ですので、信用口座を保有している方にとってはサヤ取りの機会が転がっている訳です。
「iシェアーズ先進国株式ETF」を空売りし、信用売玉の建値に釣り合う額だけ「MAXIS 海外株式」を購入する等しておけば、この乖離率の差が将来解消された時に利益を得ることができます。
しかし、誰がこんなスンゴイ高値で買ってるのでしょうね。受け渡し日が翌年の2014年になる26日から上昇を開始していることから、NISA で新規口座開設された方々が乖離率とかマーケットインパクトを気にせず「国際分散投資・インデックス運用・低コストETF」と教え込まれて買い進んでるのかなと邪推していますが……
個人的には、MSCIコクサイ指数連動の投資信託なら ETF じゃない普通の投資信託の三井住友トラストアセットマネジメントの「外国株式インデックスe」[URI] の方が投資効率が良いのじゃないかなと思っているところだったりします。分配金の問題(特に二重課税)と乖離率さえなければ「iシェアーズ先進国株式ETF」は最強なんですけどねー。
1/5 追記。結果報告です。12/30 の終値で「iシェアーズ 先進国株式ETF (MSCI コクサイ) (1581)」の乖離率は 0.61% まで縮小してある程度スプレッドは解消されてしまいました。私もこの数日の値動きから少しばかり稼がせていただきましたが、意外に乖離が解消されるまでの期間は短いのだなというのが正直な感想です。
ただし、乖離が最終的に解消されるまではかなり派手な値動きがありまして……当日の日中チャートで確認できますが、前場で乖離率 21.68% となる 6700円を記録し 6400円で引けてから、後場に入って20分とたたない内に 5600円まで下落という姿を見ると相場って怖いなと思います。
さて、結果だけ見るとサヤ取りで儲けて良かったねという話なのですが、後から調べてみると 12/29 から 1581 の信用売りでは逆日歩 (品貸料) が発生していたらしく、12/30 に救出されなかった場合、逆日歩が原因で損失に転落ということもあり得たのかと気付いて少し慌てました。
言うまでもないことだとは思いますが、「投機は自己責任でね」を新年相場でも忘れないようにお願いします。
Marumo ISDB Splitter ver. 0.2.21 を公開しました。ダウンロードは [URI] からどうぞ。今回の更新内容は次の通りです。
昨晩 (ver.0.2.20a) の修正点以外にも未発火の問題が ver. 0.2.20 には存在していたので、その修正版になります。2ch DTV 板 / TS 関連ソフト総合スレ Part12 でも報告をいただいているように、シーク後に再生が停止(プレイヤー上では現在位置が更新されていくが、一切絵が更新されず、音も出ない)してしまうことがあるというバグが入ってしまっていました。
同スレッドの 930 で報告をいただいている MPC-HC の一時停止中のシーク問題については手元ではちょと再現ができなかったのですが、症状および 0.2.20 では発生せずに 0.2.20a でのみ発生との条件から今回の修正点と同様の原因で発生していた問題ではないかと想定しています。このバージョンでも同様の症状が発症する場合は報告をいただければ再調査する予定でいます。
Marumo ISDB Splitter ver. 0.2.20a を公開しました。ダウンロードは [URI] からどうぞ。今回の更新内容は次の通りです。
暫くぶりの更新ですが、2ch DTV板 TS 関連ソフト総合スレッド Part12 の 847-855 で要望の出ていた Qonoha の区間リピート再生で問題が出ないように、シークの取り扱い方を変更してみました。
これまではシーク時に見つけた I ピクチャに合わせたタイムスタンプをシーク成功位置としてアプリケーションに返して、シーク後の再生ではサンプルのタイムスタンプが 0 以上となるようにしていたのですが、今回からシークは必ず成功したこととして、指定時間よりも前のサンプルに関しては負のタイムスタンプを付けて下流フィルタに渡すように変更しました。
どうも他のソース公開スプリッタフィルタの挙動等を見る限りでは、そちらの方が DirectShow フィルタとして一般的な挙動のようなので、シーク時の挙動をそちらに揃えてみた結果、Qonoha の区間リピート再生での問題が解消したというのが正直なところです。
一応手元では軽くテストしていますが、ひょっとしたらバグを見落としている可能性もあるので、このバージョンは人柱向けという扱いにしておきます。何か問題があったら旧バージョン [ver. 0.2.19] に戻してバグレポートを送っていただけると助かります。
12/29 追記。ver. 0.2.20 に酷過ぎるバグがあったため、アーカイブへのリンクを ver. 0.2.20a に対するものに差し替えています。ver. 0.2.20a では AX ファイルのバージョンリソースを ver. 0.2.20.1 に更新していますので、手元のバージョンが ver. 0.2.20.0 の方は再ダウンロードをお願いします。
酷過ぎるバグの内容ですが、ver. 0.2.20 はファイル全体を際限なくバッファしようとしてメモリを食いつぶしていました。32bit OS 環境ではすぐ落ちて使い物にならない状況だったと思います。
言い訳にもなりませんが、手元環境が 64bit OS で日ごろ再生しているファイルが 2〜5G 程度のものだったため気付いていませんでした。申し訳ありません。2ch DTV 板 TS関連ソフト総合スレで症状報告をしてくれた皆様、ありがとうございます。
文化庁の文化審議会 著作権分科会では、今期、出版関連小委員会というものが設置され、出版者に電子書籍に関する何らかの権利を与えて、ネット上での海賊版等に出版者が対応できるようにするべきではないかという件についての検討が行われています。
この出版関連小委員会は、5月13日に開催された第1回から先月末の7月29日に開催された第6回まで、短期間で集中的な審議が行われており、そろそろ報告書作成に向けたまとめに入りそうかなという状況になっています。なかなか楽しそうな話が聞けそうだったので、これまでの全六回を傍聴して、非公式議事録 [ 第1回 | 第2回 | 第3回 | 第4回 | 第5回 | 第6回 ] も一応作成していたので、どんなことが話し合われていたのか、そしてどんな報告書にまとまりそうなのかということを感想と共に書いておくことにします。
この出版関連小委員会が設置された直接の理由は、昨年、「出版者に対して『版面権』という著作隣接権のようなものを与えるべきで、議員立法によってその実現を目指すべきではないか」という動きが持ち上がり、民主党・自民党の超党派の議員連盟によってその実現に向けた動きが現実化しはじめたという事情にあります。
この「版面権」に関して、主に国内外で海賊版被害のうち大きな比率を占めているマンガの著作者から「版面」と「原稿」は区別可能なのか、「版面権」と言いつつ「原稿の著作権」が削られるのではないかという懸念が持ち上がり、また書籍の利用者側からも「隣接権」という新たな権利の創設は著作物を利用するさいに必要な許諾を得なければならない者が、これまでの著作権者一人から、著作権者と著作隣接権者の二人に倍増し、利用に際してのハードルが高くなるという問題意識も表明されていました。
このような背景事情から、文化庁の文化審議会に「場」を設けて、この問題に関係する利害関係者・有識者の方々に委員としての出席し議論してもらうことになったという「場」が、この出版関連小委員会です。
出版関連小委員会の委員構成は、出版者(講談社・集英社・医学書院)、著作者(作家・写真家・漫画家・絵本作家)、法律家(弁護士・大学教授)が主なグループで、おそらくは議論に参考意見を出すために、印刷や取次、消費者団体、経済団体から一名ずつ参加という状況でした。主なグループがどういったことを主張していたかを私が理解した範囲でまとめたものが次の表になります。
| グループ | 主張 |
| 出版者 | ネット上で行われている違法配信を出版者の意思で止めたい。 出版物に関する一定の権利を出版者が持ちたい。(ただし手続き・費用・義務等は最小化したい) |
| 作者 | 現在持っている権利をできるだけ維持したい。(出版者との契約時、本来は弱い個人である作者の立場をできるだけ強く保つために) 違法配信は止めたいし、出版者が対応してくれるのならばありがたいが、その為に差し出す権利は最小化したい。 |
| 法律家 | 国内の法体系の整合性を取りたい。 法理論的に説明可能な制度にしたい。 海外の制度との調和も取りたい。 実務(契約交渉や訴訟)上の問題が少ない制度にしたい。 |
こうした方々が参加していた委員会ですので、上の表の主張部分を見れば大体想像が付くように、出版者側は自分たちの希望を盛り込んだ形になるような制度を推して、権利者側がその制度に対してソレは良いがコレはダメ等と云々し、また法律家側も法制度全体の整合性や法理論的な説明が可能かという観点から諸々コメントを出すという形で進みました。
具体的な議論の進み方としては、現行法で紙の出版物に関して用意されている「出版権」を電子出版に対応したものに拡張(中山提言)する、あるいは「出版権」に類似した、電子出版に対応した権利として「電子出版権」を創設する(経団連提案)という二つの案を中心に検討を進めようという形になるまでが第2回まで、第3回からは具体的な権利の内容について検討していき、7月末の第6回の時点で小委員会の主査を務めておられる日本大学大学院の土肥一史教授から「これまでの議論を踏まえて、次回は事務局から報告書案を一旦まとめて欲しい」という趣旨の発言がされました。これが現時点までの確定事項です。
今後は、次回か、遅くても次々回までには報告書案がまとめられ、その後政府において報告書の内容に従った著作権法改定案の形として、次回の国会に提出され、著作権法改定が行われるというのが、過去の著作権法の改定事例を踏まえての予測となります。
議論の軸の一つとして据えられた中山提言は次のような内容のものでした。
現行法の「出版権」という権利は「頒布目的での複製」を特定の事業者にのみ認める契約を、著作権者と出版者が結ぶことで発生します。この権利は排他的な権利、つまり独占権ですから契約外の事業者がそれを侵して「頒布目的の複製」を行った場合にはこの独占権を盾に複製の差し止めや複製物の破棄を法的に求めることができます。つまり、出版権を持つ者が自身の判断で海賊版に対応できるようになるわけです。
現在の出版権は「紙」の出版に関する「頒布目的の複製」に関する権利しかありませんが、これを電子書籍の配信等についても独占的な契約とすることで配信等に関する権利も持てるようにしようというのが「中山提言」の根幹です。
ただし、出版権は契約さえすればそれで認められるものではなく、著作者から原稿の引き渡しを受けて6ヵ月以内に出版を行う義務があったり、継続的に出版をおこなう義務があったり、重版の際に著作権者が内容の更改を求めたら、それには応じなければいけなかったりといった義務も同時に負うことになります。
出版者がこれらの義務に違反した場合、著作権者は出版契約を解除して出版権を出版者から取り上げることができます。こうした出版義務違反を理由とした出版契約解除に関して、著作権者側にペナルティは発生しません。
出版義務を出版社が順守できれば問題ないのですが、ネット上での無許諾配信では、雑誌連載の誌面からスキャンして(翻訳版セリフを付与して)配信するということが行われています。雑誌掲載の時点では、雑誌という媒体の特性上「継続出版義務」を果たすことができないため、出版権の設定契約は通常行われていません。このため、雑誌掲載から単行本が出版されるまでの間は、出版者は海賊版対策が不可能になってしまいます。
こうした背景から、「中山提言」の3番目の項目、「特定の版面に限定した権利」というものが提唱された訳です。この権利は出版権とは分離して、つまり出版義務とは切り離した形で権利行使が可能な何らかの権利を用意する必要があるという趣旨で提唱された項目なのだろうと私は理解しています。
小委員会では、この「中山提言」の3番目の「特定の版面に限定した権利」が議論の焦点となりました。
まず、「中山提言」ではこの権利を設ける理由を「企業内複製等、出版とは言えない行為にも対応するため」と説明していたので、既にそれらの行為の包括許諾を担っていた日本複製権センターの理事を務めている委員や契約の相手方となっている企業団体からの委員から反対を受けました。さらに、出版者からも「既存のビジネスの慣行に大きな変化をもたらすことは望んでいない」とそこまでの権利は求めていないと否定されてしまいました。
加えて「特定の版面」という形で、著作者からの抵抗が強かった「版面権」を連想させる言葉が入っていたこともあり、漫画家・絵本作家・写真家等の著作者からも反対を受けました。
最終的に「特定の版面に限定した権利」は小委員会の委員から支持を得ることはできず、捨てられることになった訳ですが「中山提言」に連名していた委員は最後の抵抗を試みます。「電子版に対応した出版権は、既存の紙に対する出版と一体のものとして設計して、紙だけでも出版義務を果たしていれば出版義務違反にはならず、出版者が電子書籍の出版権を維持可能にすべきだ」と主張します。当初は「出版権は一体のものとして設計して電子版の出版義務を守れない等、一部でも出版義務違反があれば出版権全体を消滅させることができる」と説明していたのにもかかわらずです。
そうまでして「出版義務」を最小化した形での権利を出版者に持たせたかったのかと、感服することこのうえありませんが、こちらも作者側から「そこまで出版者を信頼できない」と、また法律家側からも「電子出版を行わない者が電子版の出版権を持つのはおかしい」と否定されてしまいました。
第6回の主査の発言を聞く限りでは、出版関連小委員会報告書としては次のような形のまとめとなるのかなと推測しています。
この点について、非常に示唆深い主査の発言があったので、紹介しておきます。「電子出版に関して、制度が調えられたにも関わらず、あえて紙のみの契約しかしなかったのであれば、それは電子版の海賊版に対して権利行使できなくても仕方がないのでは」という趣旨の発言 [URI] がありました。
電子書籍に関して、新刊の amazon での配信遅れにやきもきしている一般消費者の立場としては、これならば電子書籍の流通がすこしは進むのでは、紙・電子同時配信も盛んになるのではないかと期待できるのですが……電子版の契約に対する不信から、あえて「紙のみ」に拘って契約をしている著作者としては複雑な立場だろうなと思います。
一方、文化庁でのこうした議論を受けて、「電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟」(出版者団体からのロビーイングを受けて設立されているものと邪推)では……「中山報告の実現のためにも、議員立法でやろうじゃないか!との方針を確認」(馳浩 公式ブログ 8/6 記事 [URI])だそうです。
なんと言うか、本当に露骨な動きですね。よっぽど「特定の版面に対象を限定した権利」に未練があるんだろうなと思わずにはいられません。
Marumo ISDB Splitter ver. 0.2.19 を公開しました。ダウンロードは [URI] からどうぞ。今回の更新内容は次の通りです。
TMPGEnc MPEG Smart Renderer4 で編集した MPEG-2 TS ファイルで複数音声の選択ができなくなるという報告があり、サンプルを提供していただけたので対応してみました。
原因は、上記ソフトウェアで出力した TS からは PMT の記述子が完全に消えており、ISDB 規格外のデータとなってしまっていたのが原因なのですが、対応は不可能ではなかったので対応してみました。
不具合報告&サンプル提供してくださった方に、感謝します。