在日米軍:性犯罪に甘い処分 有罪の3分の2、収監せず
毎日新聞 2014年02月11日 21時49分(最終更新 02月12日 00時54分)
在日米軍で性犯罪で告訴された米兵のうち、軍法会議で訴追され、禁錮刑を受けて収監された兵士はわずかで、大部分は除隊や罰金などの処分だけで済まされていた。AP通信が情報公開請求で得た米軍資料で判明した。在日米軍の性犯罪に対する処分の甘さが浮き彫りとなった。
2005〜13年前半の間に、在日米軍の海軍と海兵隊の兵士が告訴された性犯罪の容疑事件は473件あったが、軍事法廷で審理されたのは約24.5%にあたる116件だった。収監されたのは68件のみだった。
一方、米国防総省の統計によると、米軍全体では兵士による性犯罪が軍事法廷で審理される割合は09年の42%から12年には68%まで増加した。APは「この傾向は在日米軍には当てはまらず、訴追率は低いまま」と分析している。
性犯罪に関与した疑いで処分されたことが確認された在日米軍の兵士244人のうち、禁錮刑を受けて収監された兵士は約3分の1程度にとどまり、残りは除隊や罰金などの処分だけで済まされていた。約30件では懲戒文書が送られただけだった。
海兵隊では、性犯罪での告訴270件のうち53件(約19.6%)で容疑者が収監されたが、海軍の兵士は203件のうちわずか15件(約7.4%)にとどまるなど、処罰の度合いにもばらつきがあることが明らかになった。空軍は告訴を受けた124件の性犯罪のうち、禁錮刑を受けたのは17件で、21件は文書による処分で済まされていた。
在日米海軍では軍事法廷を避ける動きが強まった。06〜09年では性犯罪は軍事法廷で裁くケースが多数だったが、10〜12年には裁判手続きを経ずに除隊などの形で済ます件数が軍事法廷に持ち込まれる件数の3倍に上った。
在日米軍が関係した性犯罪は1000件以上だが、APが告訴を確認できたのは597件。また、重大な性犯罪容疑620件以上のうち、少なくとも323件では被害者も軍に所属していた。被害者が民間人だったのは94件で、残る約200件は不明だった。いずれも国籍の内訳は明示されておらず、日本人の割合は不明。
在日米軍のアンジェレラ司令官は11日、「不適切な行動に対するあらゆる申し立てを真剣に受け止め、法に基づく責任を犯罪者に負わせている」と釈明した。