村山元首相:「村山談話継承」を強調…韓国で講演
毎日新聞 2014年02月12日 22時05分(最終更新 02月12日 23時37分)
【ソウル大貫智子】訪韓中の村山富市元首相は12日、韓国国会内で講演し、日本の植民地支配を謝罪した村山談話(1995年)について「私の後継内閣すべてが継承すると誓約し、安倍内閣も最終的には継承すると言っている」と述べ、村山談話は日本政府の一貫した立場だとして韓国側に理解を求めた。韓国内では安倍晋三首相が村山談話に疑義を呈しているとの見方が強く、韓国側は講演を歴史問題での前向きな対応を日本側に求める機会にしようとしたが、思惑ははずれた格好だ。
村山氏は講演で、94年に首相に就任する際、翌年が戦後50年にあたることから、歴史問題での新たな取り組みを政権の最重要課題と考えていたと説明。村山談話は「国民的コンセンサス(合意)を得ている」と訴えた。
さらに、民間募金などで元従軍慰安婦への償い事業をする「アジア女性基金」を首相在任中に設立するなど、日本として慰安婦問題に取り組んできたと、理解を求めた。
村山氏は、韓国の進歩系野党・正義党の招きで訪韓した。講演会には与党・セヌリ党代表で、韓日議員連盟の黄祐呂(ファン・ウヨ)会長や最大野党・民主党の幹部ら与野党議員が出席した。
韓国メディアの関心も高く、聯合ニュースは村山氏の講演内容を速報。講演後の記者会見には日韓の記者ら約100人が出席した。韓国側の記者からは、安倍首相が村山談話を否定しているとの見方が相次いだが、村山氏は同調しなかった。
韓国政府は「村山氏の説明次第では(日本全体が歴史問題に後ろ向きとの)韓国国民の日本人への認識を変えられるかもしれない」(韓国外務省幹部)と、重視していた。朴槿恵(パク・クネ)大統領との会談も検討されたが、韓国側は安倍首相との首脳会談が実現しない中で村山氏との会談に応じれば、日本側で否定的な反応が出かねないと判断。13日に鄭※原(チョン・ホンウォン、※は火へんに共)首相と会談することとした。