♯10〈日影・小さい蔵〉
更新日時 2013年10月01日
展示会場として「小さな蔵」を選んだ小林正樹さん。始めは蔵の荷物を
すべて出してしまおうと思いましたが、ふと一緒に展示したら
どうなるか…と思い立ち、使ってみることにしました。
小林さんは日頃から真鍮(しんちゅう)を作品の素材にしていますが、
ギャラリー用でない蔵で展示するのは初めて。
「この土地に残っているものを使って作品を創ることは、白いギャラリーに
展示するのとは全く違って深い意味を感じます。長い時を経てお互いに
共有するものがあるのも不思議ですよね。
でもこの道具懐かしいねえ、なんていいながら見てくれる地元の方もいて、
それだけでもよかったのかなと思っています」
作品のタイトルは『多すぎる幸せ』。
昔から大切に使われていたであろう杯や徳利、箪笥にお茶道具、
小林さんの真鍮の作品以外はすべてこの蔵のものを使っています。
2階への階段を上がると、たくさんの四つ葉のクローバーと蔵の道具たちが
まるで祝宴でもしているかのよう。
その土地と、そこに暮らす人々と一緒に創りあげる、
中之条ビエンナーレならではの作品のひとつです。