周到な「シナリオ」か、単なる「手控え」か――。鈴木宗男・元衆議院議員(66)の収賄事件をめぐる再審請求で、検事と証人のやり取りを記した複数の尋問メモが証拠提出された。証人は公判でほぼメモに沿って証言。法曹関係者からは、「誘導尋問のおそれがある」との指摘も上がる。

 製材会社「やまりん」の元専務(67)は、2004年3月5日の証人尋問を数日後に控え、東京地検の検事と向き合っていた。

 「こう質問するから、こう答えたらどうか」

 検事はこういって尋問メモを差し出したという。鈴木氏の有罪の決め手となりうる「全量回復」の口利き依頼をしたと自分が証言することになっていた。

 さらに、尋問メモには検察側の質問にとどまらず、鈴木氏の弁護士が質問しそうな項目もずらりと並んでいた。元専務が取り調べの際、調書の内容に納得できず、帰ろうとすると検事が腰にしがみついてきたことがあった。その時のことは、こう書いてあった。

 〈元専務〉「検事が追いかけてきて押し問答のようになり、押しくらまんじゅうのような形になったのです」