本日は意志力についてお話しします。意志力とは選択する力です。この意志力を、常に最高に発揮するアスリートのような状態に保つには、生理的、心理的、社会的な三つのプロセスで考える必要があります。この三つのプロセスは、自ら鍛えることができますので、今日は、どこにいても、年齢に関係なく、そのプロセスを鍛える方法があることをお話しします。
心理学者 スタンフォード大学講師
ケリー・マクゴニガル 氏
意志力とは選択をする力です。しかも自らの価値観やゴールを見定めて、難しい選択や相反する目的があっても、最適な選択ができる能力です。
目的を定めても、身体のどこかで、“ちょっと違うぞ”という気持ちになることがあるかもしれません。また、プロジェクトを進めたいと考えても、頭のどこかで“少し先延ばししてもいいのではないか”と思うこともあるかもしれません。あるいは、設定した目的に相反する気持ちが湧き起こったり、邪魔をする自分に出会ったりすると、“目標を達成する力が自分にはないのではないか”と思うことがあるかもしれません。しかしそのように、相反する気持ちを持っているのはごく普通のことなのです。脳神経学者は、「私たちの中には相対する自分がいて、脳の働きがそれを引き起こしている」と言っています。私たちの中には、二つの相対する自分がいて脳の状態によって、全く違った人間であるかのような反応を示すからです。
それというのも、我々は、二つの脳の間を行ったり来たりしています。
脳の一部には、直感に従って動く生存能力に関わる部分があります。ぱっと考え、すぐに行動に結びつける。そして、痛いことは避け、いつもできるだけ快楽を求めます。
つまり、ゴールにたどり着くのを邪魔する人間が自分の中にはいるのです。
一方、脳の別な部分は、時間をかけて考えることを好みます。長期的な目標や関心に照らし合わせて考えようとする部分です。この部分は、いろいろな視点から考えることを得意とし、難しい選択でも、長期的に望んでいるところに一歩近づけてくれる働きです。
このことは、ぜひ覚えておいてください。
みなさんは脳だけでなく、身体も二つの面を持っていることをご存知でしょうか。
自律神経がどう機能しているかを考えてみてください。一番良い選択はしていないかもしれない、今気持ち良ければいい、ストレスや痛みを避けたい、実際にストレスを受けているなどの状態があります。こういう時は、いやなことを先延ばししたり、誘惑に負けてしまったり、難しいことは選択できない自分になっています。一方、身体の中のもう一つの部分で、よりバランスの取れた神経系統が機能している場合は、より長期的な目標が何なのかを考えたり、誘惑に打ち勝とうとしたり、集中力を高めて難しいことでもやり遂げようという自分になっています。
脳で起こっていることと、心臓、あるいは呼吸は密接に結びついています。ストレスに負けていると、心臓はバクバクと鼓動を打ち、呼吸も速くなります。反対に、一番良い選択をする時は、呼吸もスムーズで心拍数もゆっくりになります。
一番良い決断をしようとするならば、身体も最適な状態に持っていく必要があります。意志力を科学的に調べると、朝起きた時が一番良い状態になりやすく、良い決断もでき、モチベーションも高くなっています。集中力も朝は高いはずです。最近のハーバード大学の調査によると、一日の後半や夜の方が朝よりも倫理的な決断はしにくい、ということが明らかになりました。
良いリーダーは、他の人ならあきらめるような場合でも、意志力を発揮できることが分かっています。難しいことでもやり遂げるのがリーダーの務めですが、ときには、その意志力がなくなってしまう場合があります。これを意志力の崩壊と呼びます。
では、この意志力を、常に最高に発揮できるアスリートのような状態を保つには、どうすればよいのでしょうか。
心理学者 スタンフォード大学講師
ケリー・マクゴニガル 氏
講演日:C&Cユーザーフォーラム&iEXPO2013基調講演(2013年11月15日開催)より
H.I.さん
サテライト会場だったため、ご本人の声での講演が聞けませんでした。
会場では、動画のアップもされるというお話でしたので楽しみにしているのですが、まだの様なので早めにアップされる事を期待しております(もちろん、肉声での英語版をお願いしたいです)
2014年02月10日 15:35
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