松井臨時コーチ(左)が打撃投手を務め、長嶋終身名誉監督(後方)が見つめる中、快音を響かせる井端=サンマリンスタジアム宮崎で(沢田将人撮影)
|
 |
前中日の井端弘和内野手(38)が12日、巨人の国民栄誉賞コンビに熱烈歓迎された。居残り特打で松井秀喜臨時コーチ(39)に打撃投手を務めてもらい、長嶋茂雄終身名誉監督(77)に今キャンプで一人だけ、打撃の個別指導を受けた。初実戦となる13日の紅白戦を前に、新チームのレジェンドと濃密な時間を過ごした。
前にゴジラ、後ろにミスター。加入1年目の井端が長嶋終身名誉監督が見守る中で、松井臨時コーチの投げる球を打った。「久々に僕も力んで緊張した。今までの中では一番かな」。経験豊富なベテランにとっても予想だにしない状況だった。
松井臨時コーチとの対戦は20分間に99球。「ボールが素直で打ちやすかった」と振り返る一方、ボール球にも手を出した。「せっかく投げてもらっているし、うまく(バットで)拾えればいい」。業師ならではの、しぶとい打撃を披露。松井コーチに「ケガ明けと聞いていたけど、まったく問題ない。ボール球も振ってくれて、思いやりがあるね」とたたえられた。
続いて、すぐ右の打撃ケージに移ると、もっと驚く事態が待っていた。近寄ってきたミスターに話し掛けられ、突然、身ぶりつきの打撃指導が始まった。「大きいの(長打)は要らない。体重を乗せて、反応良く」。右斜め後ろや真横、さらには投球を止めさせて前から、じっくりとスイングをチェックされた。21分間、ときおり声をかけられながらマシン打撃に打ち込んだ。
打ち終わってからはゴジラの直接指導も受けた。2人の教えは共通で「下半身から始動して、打ちたい方向にきっちり力が入るように打て」。効果は抜群だった。「うまく感覚をつかめた。頭で分かっていても体でできていなかったことを再確認できた」と感謝した。
手厚い指導を原監督は「ある意味、新入生歓迎でしょ。名誉監督の期待を込めて」と評した。巨人1年生の井端は「まさかですよ。僕みたいなバッターはなかなか教えたがらないでしょ。あの特打だけで(プロ)17年間で一番疲れた」。当惑しながらも充実した時間を過ごし、より一層、新チームに溶け込んだ。 (小林孝一郎)
◆菅野投球再開32球 長嶋さんもホッ
背中の張りでブルペン入りを回避していた巨人・菅野智之投手(24)が12日、6日ぶりに投球練習を再開した。直球など32球を投げたが、この様子を長嶋終身名誉監督が熱心に視察。成長を確認し、2年目のジンクスを吹き飛ばすことへの太鼓判を押した。「感覚としては良かった」と菅野。13日の打ち上げまでに再開できなければ宮崎残留の可能性もあったが、最悪の事態は回避。「ブルペンに入れたことで一歩前進と思います」とホッとした表情を隠しきれなかった。
胸をなで下ろしたのは長嶋終身名誉監督も同じだった。背中などを触り「もっと体を大きく使って投げろ」とアドバイスすると、「いいね。やりそうな感じがする」と断言。「球が重く感じる。背中を見ていて感じたよね」と2年連続のフル回転を信じてならないようだった。 (川越亮太)
この記事を印刷する