PC遠隔操作:片山被告側、無実を強調…東京地裁初公判
毎日新聞 2014年02月12日 21時49分(最終更新 02月12日 23時04分)
パソコン(PC)の遠隔操作事件で威力業務妨害罪などに問われた元IT関連会社社員、片山祐輔被告(31)の初公判は12日午後も東京地裁(大野勝則裁判長)で続き、被告・弁護側が冒頭陳述で改めて全面無罪を主張した。捜査の過程で無関係の男性4人が逮捕されたことを引き合いに、弁護人は「5人目の誤認逮捕事件だ。完全に無実」と強調。被告も遠隔操作の被害者だったと位置づけ、検察側との対決姿勢を鮮明にした。
◇検察と全面対決
この日の法廷では、被告本人による異例の冒頭陳述も行われた。プログラマーである片山被告は、遠隔操作ウイルス作成のために使われるプログラム言語に関して「ちんぷんかんぷんではないが、ウイルスのような高度なものを私が作ることは不可能」と説明。自身のPCから作成の痕跡があったと検察側に指摘された点には「痕跡を仕込むのも消すのも自在だった真犯人にPCを遠隔操作され、私が犯人に仕立て上げられた」と反論した。
用意した書面の読み上げは約1時間にわたり、最後に「よく分からない根拠で拘束され続けている。人生の浪費が耐えられない。どうか保釈申請を認めてください。もう疲れが限界です」と訴えた。
主任弁護人の佐藤博史弁護士も、約640点の間接証拠を基にした検察側の立証を「決定的な証拠は一つもない。壮大なゼロだ」と批判。片山被告がウイルスの情報が入った記憶媒体を首輪に貼り付け、神奈川・江の島で猫に装着したとする検察側の主張に対して「貼り付けに使われたテープから、別人のDNA型が検出された」と指摘した。
法廷では、この防犯カメラの映像も再生された。片山被告が辺りを見渡しながら猫に接触し、写真を撮るような姿がモニターに映し出された。これに対し弁護側は「首輪を付ける場面が映っていない」などと主張した。
起訴状によると、片山被告は2012年6〜9月、殺人や襲撃など9件の犯行予告をしたとされ、ウイルス供用罪でも起訴されている。【山本将克】