紅白戦でダニルソン(左)と激しく競り合う矢野=タイ・チェンマイで(布藤哲矢撮影)
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【チェンマイ(タイ)木村尚公】名古屋グランパスの矢野貴章(29)が、新天地の右サイドMFとして躍動している。11日は11対11の実戦形式練習で得点を挙げた。かつてはワールドカップ(W杯)にも出場した日本代表FW。ここ数年の不振から脱出しようと、新ポジションで精力的な日々を送っている。
その右足はまださびついてはいない。本気モードで行われる実戦形式練習。矢野は後方からの1本のパスで抜け出し、力強くシュートを決めた。4年前の南アフリカW杯にFWとして招集されたエリートストライカーが、MFへのコンバートをきっかけに輝きを取り戻そうとしている。
「試合に出られるならポジションはどこでもいい。やらなきゃいけない年だし、やれば見てくれると信じている」。12年は2得点、13年は1得点。点取り屋としては屈辱的な成績でレギュラーすら失った。まだ29歳。復権への思いは熱い。
配置転換を決断した西野監督は「矢野は直線的に強い選手。スピードがあるし、ディフェンスにもいいものがある」と説明。ゴール前での仕事がメーンになるFWと、攻守への貢献が求められる右サイドMFでは役割が全く異なるが、献身性と縦への強さを買って転向を指令したという。
練習ではドリブルでゴールへ迫ったり、セットプレーから得点するシーンが目立つ。ポジションが変わっても、元FWらしく自ら得点を狙う姿勢は健在。矢野は「いつでもゴールを狙う気持ちは持ち続けたい」。
9日のバンコク・ユナイテッドFCとの練習試合でも好クロスで磯村のゴールをアシスト。ゴールにからむ攻撃型サイドプレーヤーとして存在感を発揮している。
右サイドMFのポジション争いは現状、矢野と3年目のMF田鍋とのマッチレースの様相を呈している。開幕まであと2週間余り。矢野の新境地開拓アピールは続く。
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