歴史の書き換えが始まった!
〜コミンテルンと昭和史の真相
対談 小堀 桂一郎   中西 輝政
2007.12.9
 本書はコミンテルン史観に立ち、現在の日本が戦後一貫してその脅威にさらされ、破壊されてきたとし、これを打ち破らなければ未来は無い、という内容である。
 勿論、現在は第三インターナショナルやコミンテルンそのものは存在しないが、その謀略が中国共産党やロシア、日本共産党などによって継続されている、とするものである。特に中国による対日工作を中西氏は”チナミンテルン”と呼んでいるようである。

 これらの嘘に塗れた圧倒的な対日歴史観包囲網を打破する為に、漸く公開され始めた機密文書を根拠として歴史の真実を明らかにしようというのが主旨である。その文献として挙げられているのが
 『ミトローヒン文書』 未邦訳 冷戦末期に持ち出されたKGB本部の機密文書
 『GRU帝国』 未邦訳 GRUによる張作霖爆殺事件などが書かれているという
 『ヴェノナ』 未邦訳 米陸軍省特殊情報部が1943年以降に解読したソ連情報部暗号の解読内容
 『マスク』 未邦訳 英国MI5が監視していたソ連の対英浸透工作
である。この他に、
 『大東亜戦争とスターリンの謀略』 三田村武夫 著
などが挙げてある。
 取り敢えず一通り読んで考えてみたいと思う。その他、ヴェノナとレフチェンコ証言を付き合わせると実名が或る程度浮かび上がってくるとの記述も『ワールド・インテリジェンス』などに有り、流石に過去のものではあるが、それらを眺める事で、現在進行形の対日工作も或る程度見えてくるかも知れない。などとちょっと期待しているところだが、真相というのは中々分からないものである。

 冷戦時代のマッカーシズムは不当な弾圧だったとして非難されることが多いのだが、中西輝政氏の主張では、ヴェノナ文書やミトロヒン文書により、ジョセフ・マッカーシー上院議員の”赤狩り”が寧ろ、カウンター・インテリジェンスとして正しかったとしている。インテリジェンスの深奥など自分には到底分からないが、もしそれが事実なら随分衝撃的なことである。
 そして現在の日本を顧みれば、スパイ防止法一つ無く、カウンター・インテリジェンスは公安警察が一人気を吐いているものの、多勢に無勢、法整備の遅れで常に劣勢という状況である(多分)。折角逮捕しても微罪で帰国するのを見送るのみである(と、ものの本には書いてある)。ということは、ヴェノナやマスク、ミトロヒン文書に書かれている事態よりも更に日本の情勢は悪化しているのかも知れない。しかし、その実態はさっぱり分からない。分かるとすれば、半世紀後くらいに機密が解除され、公にしても支障が無くなった頃なのであろうか。




第一章 大東亜戦争とコミンテルン
 一 インテリジェンス・リテラシーとは何か
  『諸君!』連載・中西輝政論文の意義/三田村武夫『戦争と共産主義』の功績
  /インテリジェンス・リテラシーの欠如
 二 張作霖爆殺事件はコミンテルンの謀略だったのか
  ほとんどが伝聞だった/コミンテルン謀略説を追う
 三 世界は如何なる原理で動いているか
  第一次世界大戦から重用されだした偽写真、偽文書宣伝工作
  /田中上奏文はソ連が作った偽書だった/何故日本人には歴史の真相が届かないのか
第二章 戦後史とコミンテルン
 四 戦後日本はコミュニストが作った
  日本近現代におけるコミンテルン介入し/「コミンテルン憲法」/チナミンテルンと日中国交正常化
 五 ハーバート・ノーマンの正体
  シロタ親娘の暗躍/都留重人とノーマン/ノーマンらの著作はコミンテルンの宣伝活動だった
  /ノーマン工作員説を受け容れない日本言論界の保身
 六 「目に見えない力」が今、明らかになりつつある
  マッカーシーは正しかった/近衛上奏文とノモンハンの真実
 七 ”初期マルクス”は生きている
  レーニン主義の三つの眼目/人間の心の支えを破壊するマルクス主義
  /福澤諭吉が説いた「怨望」という悪癖
  /日本を破壊する三つの情念〜「悪平等主義」「伝統日本への憎悪」「アジア主義」

資料 近衛上奏文


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