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韓国は嫌い 日本は大好き!「中国人若者匿名座談会」〈新潮45〉

Book Cafe 矢来町ぐるり 2月10日(月)16時51分配信

■「一期一会」という言葉

 ――日本だけ特別扱いということではなく、勉強における得意、不得意によって決めるということなんですね。ところで、中国にいたときに抱いていた日本のイメージについてですが、中国の若者は幼い頃から愛国教育で日本との戦争の歴史を学んでいるのと同時に、日本のアニメにも親しんで育った「80后(バーリンホー)」(80年代生まれ)や「90后(ジウリンホー)」(90年代生まれ)世代ですよね(中国では06年から外国で制作されたアニメのゴールデンタイム〈夜7時〜10時〉での放送がすべて禁止になっている。以降、外国産アニメなどはネットを通じた海賊版の違法視聴が常態化している)。愛国教育と日本のアニメ文化の両方に同時進行で触れてきたわけですが、いざ来日したらこんな点にギャップを感じた、ということはありましたか?

張: 東京は中国より発展しているというイメージがずっとあったんですけれども、今住んでいるところは東京の西のはずれで、すごく田舎っぽいところなので、そのギャップは大きかった(笑)。それから、東京の電車の人身事故の多さにびっくりしました。上海では人身事故はほとんどなく、もしあったらニュースになるくらいです。初めて人身事故に出くわしたとき、その影響で電車が40分も50分も遅れたときは、もっとびっくりしました。あと、東京ではJRのダイヤの間隔が思ったより長いですね。

黄: 私も東京の西武線を利用していたとき、通勤快速とかすごくいろいろな種類の電車があって、行き先もバラバラで困りましたね。日本の地下鉄と電車(JR)のシステムは本当に複雑怪奇です。

張: 大学の集まりなどで感じるのは、日本人は会議がすごく好きで、何時間も話し合うけれど、なかなか結果が出ないということ。以前、ゼミの授業中に旅行について会議をしたんですけど、そのときも長引いてしまい、結局、研究発表する時間がなくなってしまったんですね。なんで私はこんなに長時間、ここに座っていなければいけないんだろう、なんて思ってしまった(笑)。

 ――上海ではそういうことはない?

張: ないですね。中国人の気質は欧米に似ているのかもしれませんが、最初にタイムテーブルがあって、それに向けて順番に決めていくやり方で、もし時間内に決められなければまた次回に回すというシンプルな形態です。また、リーダーが一度決めたら、ほかの人はそれに従います。日本では自分の意見をはっきりという人が少なく、リーダーもなかなか決定できないように思います。

黄: 同感です。また、日本では誰かに会ったときの挨拶をとても重視しますよね。研究室の友だちに会ったら「お疲れさまです」とか声をかけてくれますが、最初は違和感がありました。今では私も自然にいえるようになったし、メールでもお世話になっていない人に「お世話になります」と書くんだ、とわかるようになったのですが(笑)、中国にはそういう形式的な挨拶は存在しない。せいぜい「やあ」とか「おお」という程度ですね。

張: おもしろかったのは、学生寮でシャワーを浴びたあと、すれ違った人から「お疲れさまです」っていわれたこと。えっ、これもお疲れさま? って(笑)。

李: 来日してみて初めてわかったことは、日本人は他人に迷惑をかけないように、という意識が非常に強いということ。とくにゴミの分別方法が難しく、私は来日5年目にしてようやく習得しました。それ以外だと「一期一会」という言葉に驚きました。中国ではこの漢字のままの四字熟語はありませんので。日本語の意味は理解できますが、日本人と中国人の考え方はだいぶ違うと思いました。

 ――どういうことでしょう?

李: 中国では、とくに商売をする場合、末永く関係を作りたいという前提があります。一回だけ会うのは中国人からすると、ある意味では騙してもいい相手といえます。日本の「一期一会」は一回きりの関係だけれども、その一回を大事にしようという意味ですよね。中国では未来がない一回だけの関係は、結局は縁がなかったのだというふうに捉えます。仲よくなった人は「身内」ですから一生懸命尽くしますが、それ以外は「他人」です。

黄: たとえばトイレなどの水回りの工事をするのにも、まず親戚や親しい人の中に工事業者がいないか調べて回ります。適当な業者に頼むと騙されるかもしれないから。

 ――社会制度がシステマティックになっていないということでしょうか?

黄: その通りです。他に、日本は安全な国ですので、電車に乗るときにカバンのポケットを開けたままでもお財布を盗られる心配があまりないし、携帯電話を置き忘れてしまっても戻ってきたりします。北京に帰省しても、つい日本にいるときと同じような行動を取ってしまうので、いつも母に叱られます(笑)。

李: 中国ではこういう(ポケットが大きくて開いたままの自分のカバンを指さしながら)カバンは絶対に持ち歩けないよね。私は大学時代、何度も自転車を盗まれたことがありますよ。

一同: そうそう(笑)。

張: 日本は安全で、安心して生活できる国。たとえば中国はPM2・5の問題がありますけど、日本は空気がすごくおいしいと感じます。なんでみんなマスクをするのかな。私は上海に戻ったら空気が汚いのでマスクをしますけど、母から「お前、日本人みたいになったね」といわれました(笑)。中国では誰もマスクなんかしないですから。

李: PM2・5の中で生きられるのは選ばれた強い人間ですからね(笑)。

黄: 日本人の友だちを中国の屋台に連れていくと、すぐにお腹を壊しちゃう。日本社会の安心、安全、安定性はお金を払っても買えないものだとつくづく思います。夜遅くに外出しても平気だし。

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最終更新:2月12日(水)14時54分

Book Cafe 矢来町ぐるり

 

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