パソコン遠隔操作事件 被告は無罪主張2月12日 10時42分
パソコンの遠隔操作事件で威力業務妨害などの罪に問われているインターネット関連会社の元社員に対する初公判が東京地方裁判所で始まり、被告は「事実無根です」と述べて無罪を主張しました。
インターネット関連会社の元社員、片山祐輔被告(31)はおととし、誤認逮捕された男性4人を含む複数のパソコンを遠隔操作し、インターネットの掲示板などに殺害や爆破の予告を書き込んだとして、威力業務妨害などの罪に問われています。
東京地方裁判所で開かれた初公判で、片山被告は、起訴された内容について「徹頭徹尾、事実無根です」と述べ、弁護団も無罪を主張しました。
検察は冒頭陳述で、「被告の勤務先のパソコンを解析したところ、遠隔操作するプログラムを開発した痕跡が多数発見された。また、犯人のメールに書かれたとおり、江の島の猫の首輪に記録媒体が付けられていたが、防犯カメラの映像などから20分ほどの間にこの猫に首輪を付けることができたのは被告だけだった。被告は周囲に人がいなくなってから猫に接触し、写真を撮ったあとガッツポーズをしていた」などと述べました。
この事件では、被告の犯行を直接裏付ける証拠はなく、データの解析結果や当時の被告の行動などを基に有罪を主張する検察と無罪を求める弁護団が全面的に対立しています。
弁護団は、「被告も真犯人によって遠隔操作された被害者だ」と主張していて、午後は片山被告が事件とは無関係だとする内容をみずから法廷で1時間近く述べる予定です。
異例の展開たどった事件
この事件では、他人のパソコンを遠隔操作して、インターネットで殺人などの犯行予告が送りつけられたうえ、4人の男性が誤って逮捕される異例の事態になりました。
おととしの6月から9月にかけて、インターネットの掲示板などに横浜市の小学校の襲撃やイベントでの無差別殺人、それに航空機の爆破などの犯行予告が相次いで書き込まれました。
警察はインターネット上の住所に当たるIPアドレスなどを基に4人の男性を逮捕しましたが、いずれもパソコンのウイルス感染などで第三者が遠隔操作して書き込むことができる状態になっていました。
その後、東京の弁護士などに「真犯人」を名乗る犯行声明のメールが届き、その後も捜査をやゆする内容のメールが送りつけられました。
警察は「4人を誤って逮捕した」と認め、検証結果を受けて警察庁長官が謝罪する結果となりました。
逮捕された男性らは、不起訴となったり起訴が取り消されたりしたほか、横浜市の事件で、保護観察処分を受けていた男子大学生も、処分が取り消されました。
その後、去年の元日以降、真犯人を名乗る人物から報道機関などに再び複数のメールが送りつけられます。
このメールに書かれたとおり、神奈川県の江の島にいる猫の首輪に記憶媒体が取り付けられているのが見つかり、中には遠隔操作ウイルスのプログラムが入っていました。
近くの防犯カメラには猫に近づく不審な男が映っていて、警視庁などはこうした映像などを基に捜査を進めた結果、去年2月に片山被告を逮捕しました。
その後、検察は威力業務妨害や脅迫などの罪で起訴しますが、片山被告は「全く身に覚えがない」と一貫して無実を主張します。
この事件では、被告の犯行を裏付ける直接の証拠はなく、裁判の争点などを事前に整理する手続きでも、検察と弁護団の主張が大きく対立して起訴から12日の初公判まで1年近くに及びました。
[関連ニュース] 自動検索 |
・ パソコン遠隔操作事件 被告「私もまた被害者」 (2月12日 18時54分) |
[関連リンク] |
|