ハッピーさん(@Happy11311)インタビュー ~東京電力福島第一原発収束作業の現場から、作業員の訴え

2014年02月08日(土) 堀 潤
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---長期的に廃炉作業を進めていく上で、技術の継承や教育をどうしていくのかというのはこれからの深刻な課題ですね。

一般工事と違うのは、だんだん雇用条件を、法的な書類も含めて、厳しく管理してやらなければならなくなります。暴力団排除も厳しいので、身分の調査も結構厳しくなるし・・・。

原発業界は大手メーカーもありますけど、実際に人を集めているのはその下の下なので、そこは小さな会社です。平成28年からは、社会保障制度を導入しなければなりません。そうなると今まで以上に管理費がかかってきます。

ピンハネ、ピンハネといいますが、正当なものであればそれぞれの会社も利益をあげなくてはやっていけない。普通にやっている会社は一人当たり1000円とか2000円ぐらいしか抜けません。それではとてもやっていけない。5人、10人ではやっていけないんです。そういう問題も含めて、収束作業はちょっと上の組織もそうですが、人集めのシステムを変えていかなければいけません。

時限立法でもよいので、人材バンクセンターのようなシステムを設けて、そこに資格とか経歴とか職種とかを登録して直接雇うようにしなくてはいけないと思います。今の形のままでいくと「労働者を守る」という名目の政策は、そういう法律ができればできるほど、会社自体がなくなっていくので、一方で、どうやって人を集めるのかという問題が大きくなっていきます。

実際に、そういう潰れそうな会社の人たちが人集めをやっている。その人たちがいなくなると、人集めができなくなり、どんどん闇に潜ってしまうんですよ、建設業界というのは。元請けからの会社のマージンは裏でやると。

実は今、作業員を逼迫する環境になりつつあります。小さな会社も中小企業も守りながら、今の収束作業をやっていかないと難しいというのがジレンマです。

いつも言っているのですが、この本は今までの僕の目でみたものをフラットな気持ちで書いているので、それをどう判断するかは、読者の皆さんにお任せしています。何かを少しでも感じ取ってくれたらいいなと思います。

福島での大きな事故と収束と、未だに故郷に帰れない人が大勢いるということを、ひとりでも多くの人に、心の片隅に留めておいてもらいたい、という気持ちで一杯です。

〈了〉

 

ハッピー@Happy11311
20年近くのキャリアを持つ原発作業員。福島第一原発で作業中に東日本大震災に遭い、事故発生当初から現在まで断続的に収束作業に従事する。

著者: ハッピー
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汚染水問題、東電の工程表の欺瞞・・・今起きていることは全て予見されていた。3.11からほぼ毎日のようにツイッター上で綴られた、福島第一原発作業員による事故の収束作業日記。

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