ハッピーさん(@Happy11311)インタビュー ~東京電力福島第一原発収束作業の現場から、作業員の訴え

2014年02月08日(土) 堀 潤
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---事故原因について伺いたいのですが、福島第一原発の1号機の宿食室にはホワイトボードがあり、そこには3月11日の出来事が時系列で作業員の手によって記録されています。

5時半前の記述で、「OS=オーバースケール、シューシュー音がする」というものがあります。実は、津波の前に地震の揺れによって既に放射能漏れが起きていたのではないかという指摘もありますが、そのあたりは現場の作業員としてはどう考えていますか?

事故原因については、ごった返す中にいて、わからないんです。東電さんが来て、上の人が来て、僕らは作業側として指示にしたがって行動するのみでしたから。ベント作業して。マスクをしていた。

3号機の爆発の日は、2号機の対応をしていました。ちょうど爆発前、2号機の圧力が上がっていたので、指示があり撤退したんです。その後、2号機が落ち着いたので作業を再開していたら、3号機が爆発しました。

そんな中でしたから全然、状況を把握できていないんです。

健康の心配よりもまずは生活

---事故からまもなく3年が経過しますが、ハッピーさんは、どのような思いで現場の作業を続けているのでしょう。

説明するのが難しいですね、自分の気持ちについては。

現場はそれほど、悲壮感が漂って逼迫しているというわけではないんですよ。雇われた期間は生活を維持する事ができるので。被曝も生活も両方気になるといったらいいんでしょうか。自分の健康を心配するよりも、まずは生活を心配します。被曝の状況について具体的なイメージがないんです。僕自身にもそんなにはありません。

それよりもまず第一に、生活です。そこで働ける期間が決まれば、現場では冗談も言いますし、笑い声もある。多少は被曝したりして、緊張感もありますが、世間一般にあるような悲惨なイメージではありません。

健康の事を考えながら作業している人は少ないと思います。もちろん心配している人もいますが、本当に心配な人はそもそも来ていません。かといって、別にそういう教育をしているわけではありませんから、普通の工事として参加している人が大半です。

---作業員は地元の人が多いのですか?

徐々に減ってはきています。地元からの雇用率が以前は7割近くだったんですけど、今は5割近くに減ってきています。地元雇用率が減っているのは、再稼働にむけて各地で工事が始まっているからです。線量を考えて4年目、5年目を目指してイチエフを離れるわけです。

それに、賠償金があるうちは生活が成り立つので、声をかけてもなかなか来ない。賠償金で生活が成り立っていますから。

---福島県内で取材をしていると、土建業者の経営者たちが人手不足に悩んでいると良く耳にします。原発作業員の現場はどうですか?

作業員を集めるのはかなり難しいですね。東電管内ですと、再稼働にむけて新潟県の柏崎刈羽原発の工事が始まりますし、オリンピックにむけての工事も始まります。

安倍政権が掲げる公共投資が増えていけば今後さらに作業員はそっちにいってしまうし。除染作業も期限がなくなってきているので、随分人が流れていきました。

---除染作業の方が現場としては人気なのですか?

単価の問題ですね。除染の方が単価が高いんです。その辺の問題もあるので、なかなか人を集めるのに苦労しているというのはありますね。

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