ハッピーさん(@Happy11311)インタビュー ~東京電力福島第一原発収束作業の現場から、作業員の訴え

2014年02月08日(土) 堀 潤
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Jビジレッジ内のゴミの山 (2012年9月、林哲哉撮影)

---では、今の第一原発の収束作業はどのような段階なのでしょう。

今やっていることというのは、3年近く経ちますけれども、野田さんが宣言した12月16日の冷温停止状態、「100度いかないんですよ」という、そこまでしかできていません。強いて言うなら、環境中の放射線量がすこしずつ下がっていて、汚染の度合いが少し改善されたぐらいです。

正門に管理所ができたり、中に休憩所ができたりはしましたが、収束作業自体はむしろ進んでいません。建屋の中の調査が全然進んでいません。1号機、3号機のがれきの撤去がおわっただけです。

内部の放射線量は毎時1シーベルト、1000ミリを越えています。無人重機とか、短い時間での作業なので、人の入れる環境にはなっていません。燃料デブリがあることが問題なのですが、そこに辿り着く入り口にすらまだ到達していません。今できているのは、何とか循環冷却して現状維持する装置だけはつくったと。

生命でいうと、維持装置だけつくったと。つまり、まだ治療には至っていません。

すべて問題がおきてから対処するというスタンス

---昨年は汚染水の海への流出がクローズアップされました。安倍総理は「完全にブロックされた」と発言しましたが、現場の実態はどのようになっているのでしょうか。

敷地はもともとかなり汚れていたので、ホールアウトした汚染もあるし、土をはかればかなりの濃度で汚染も出てきます。そこに雨が降ればこれまでも側溝を通って海に出ていたわけです。この2年間。側溝を止めていた訳ではないので。今までも雨がふればずっと流れ出ていた。それがやっと測定し始めて表に出てきたわけです。

汚染された水は今までも海に出ていた。流れているのを完全にブロックしているというのではなくて、政府は「環境への影響は無いよ」と言っているわけですが、そこが僕にはよく分からないんですよね。海側への、環境への影響がないよというのも分からない。

ただ言えるのは、サンプリング数、測定場所が少ないんじゃないの? ということ。測定している場所もそこが妥当なの? ということですよね。把握するのに数ヵ所だけでいいの? と。

さらに、海の汚染実態の調査に関しても、東京電力がサンプリングしている水は海水の上水ですよね。海底の水を調査しているわけではないと思うのですが、底には相当たまっていると思います。そういう所を測定してしまうと公表しなければなりませんよね。

公表すると対策しなくてはいけない、だから計らない、というイメージです。これまでも、トラブルがあってやむを得ず対処するということが続いてきました。積極的に自ら投資して、安全性を上げていくという形ではないんですよね。今のイチエフの収束作業もそうで、積極的にいろんなところを調査しているわけではなくて、すべて問題がおきてから対処するというスタンスなんです。

---汚染水への対応がようやく始まりましたが、現場ではどのような課題を感じますか?

心配しているのはタンクの漏洩問題ですが、まずタンクのパトロール頻度を増やしています。今回のタンク漏れは、配管の継ぎ手から漏れている可能性が高いと。1万ヵ所以上あります。しかし、そこは線量を測っていません。まして、自分たちからわざわざ測るわけではありません。汚染水の問題は配管漏れの問題だけではないんです。

現場では装置をつくるときには、1年ぐらいもてばいい、という感覚です。応急処置が繰り返されています。放射性物質を除去するための装置でアルプスというものがあるのですが、本来であれば2012年に稼働すればといっていました。しかし、そのアルプスがコケてしまった。

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