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【社会】

作業員「本音書けない」 東電アンケート 元請け経由回収

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 東京電力が、福島第一原発で働く作業員の待遇面など労働環境改善のために実施しているアンケートを、元請け企業を通じて回収していることが分かった。作業員たちの話では、下請け企業の中には、作業員の回答を提出前にチェックしたり、回答の内容を指示したりするところもある。作業員からは「こんなやり方では実態は分からず、改善につながらない」という声が上がっている。 

 アンケートは、東電が事故後に福島第一原発で働く作業員を対象に始めた。作業員の立場は弱いため、回答者が特定されないよう、匿名で、通常は所属会社や元請け、年齢なども記載しなくていい。

 東電はアンケートの記載内容に配慮しながら、回収する段階では元請け任せに。回答用紙は「作業員→所属する下請け→上位下請け→元請け」というように会社を通して回収。東電へは元請けからまとめて郵送されるという。

 作業員が特定される恐れを小さくするためには、作業員が線量計を借りに立ち寄る東電の管理施設に、回収箱を置くなどして直接回収をする方法も考えられる。

 ある作業員は「(上位下請けから)下手なことを書くなというプレッシャーがある。従業員の書いた内容を全部確認してから封筒に入れ、提出させられた」と話す。線量計の不正使用を目撃しても見なかったと書くよう指示された作業員もいたという。

 東電の担当者は「回答用紙は作業員が記入して封筒の封をする。中身は(元請けなどに)見えないようになっている」と回収方法は適切だとする。

 東電は作業員を安定的に確保するため、昨年十二月の契約分から元請けへの支払いを増やし、日当をかさ上げすると発表。作業員に適切に行き渡っているかどうか、今後アンケートで確かめるという。

 だが、作業員からは「会社にチェックされているかもしれないと思うと、変なことは書けない」との声も上がっている。

 

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