「ビットコイン」普及の分岐点 高い利便性も…資金洗浄懸念
SankeiBiz 2月11日(火)8時15分配信
インターネット上の新たな投資・決済手段として仮想通貨「ビットコイン」が日本でも使われ始めた。国境をまたいで瞬時に送金できる利便性や、政府に関与されない金融商品として世界中に広がった。一方、消費者保護や違法取引の防止などの課題から法規制を導入すべきだとの機運も高まっており、普及していくかどうかの分岐点を迎えている。
「1日1回はお客さまが支払いで使います」。音楽イベントなどでにぎわう東京・六本木のレストラン「ピンク・カウ」。横尾明香音オペレーションマネージャーは、ビットコインの広がりを実感する。昨年7月に日本で初めてビットコインでの決済を導入した当初は1週間に1人いるかいないかだった。
決済の仕方は簡単だ。店員がタブレットに飲食代を入力するとQRコードで表示。客がスマートフォンの専用アプリで読み取れば店の口座に送金される。「クレジットカードのように手数料を支払う必要もない」とオーナーのトレイシー・コンソーリさんは利点を説明する。
世界の利用可能店を掲載したホームページ「コインマップ」によると、日本で利用できる飲食店や語学学校などは十数カ所だが、欧米では数百カ所あり、流通額は1兆円規模に達する。
脚光を浴びたのは昨年3月のキプロスの預金封鎖。政府に把握されない資産の逃げ場として注目されて買いが進み、当時1BTC(通貨単位)=10ドル程度から200ドルまで上昇。これを機に世界で認知され、米連邦準備制度理事会(FRB)が「期待が持てる」との声明を出した後の11月下旬には1200ドルまで高騰。しかし12月に利用が急拡大する中国で中央銀行が警告を出すと500ドルまで急落した。
ただ価格の乱高下はさほど問題ではない。取引の実態がつかみにくく麻薬取引やマネーロンダリング(資金洗浄)の温床になっているとの指摘もあり、1月末には米ニューヨーク連邦地検が闇サイトの利用者に提供したとして取引所の経営者らを訴追。先週末には東京を本拠とする取引所のマウントゴックスがシステム障害を理由にビットコインの引き出しを停止した。
「ネットで一度広がったものを当局の規制で止めるのは難しい。むしろ安全に使える枠組みを構築すべきだ」とブラウン・ブラザーズ・ハリマンの村田雅志通貨ストラテジストは話す。課題はあるが、国際送金などで利点が大きいのも事実だ。
規制について、米国は取扱業者に免許を与えて監督する検討に入った。一方、中国やロシア、インドネシアはビットコインでの決済を禁止するなど新興国勢は警戒姿勢を強める。
「ビットコインの性質が変わることになる」。国際基督教大学の岩井克人客員教授は、政府の管理を受けない反体制的な思想に基づき生まれたビットコインの本質を覆すと指摘する。しかしマイナー通貨が政府の手を借りて多くの人に使ってもらえる土壌が整備されるのは、メジャー通貨に転身する兆しにも見える。(万福博之)
最終更新:2月11日(火)8時15分
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