1.これからの日本とPPS(新電力)について
これからの日本のエネルギー政策を考えるにあたって、特にローカルな自治体から始められる施策として、私たちはPPSという新電力に注目しています。新電力=PPS(Power Producer & Supplier)とは、「特定規模電気事業者」、つまり2000年4月の電力自由化以降に電力事業に新規参入した、新たな電力事業者のことを指します。現在では、大手ガス会社や商社、再生可能エネルギーを扱う会社など、多様な新規事業者が、安定的で低コストな、バラエティに富む電気を供給しています(ただしPPSと契約できるのは現在のところ50kw以上の大口の需要者のみです。PPSのリストは経済産業省HPからご覧になれます: http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/genjo/pps/pps_list.html)。これまで総じて一般的な認知度は低かったのですが、現在の制度の中でも、東京電力や関西電力といった一般電気事業者以外の会社から電気を買うことは可能です。たとえば、経済産業省や国土交通省など、防衛省の一部を除く全ての中央官庁、また立川市や国立市などのいくつかの地方自治体も、すでにPPSから電力を購入しています。電力自由以降に可能となったPPSの活用は、単なるコスト削減のみならず、今後の日本の危機管理体制の構築や、再生可能エネルギーの普及に関しても、有効な側面を持つと考えています。
2.ポスト3・11の日本とPPSのメリット
PPSはこれまで、主としてコスト削減のメリットから導入が進められてきました。しかし、2011年3月11日の東日本大震災以降の状況の中では、PPSには電源分散による災害リスクの軽減や、新たな市場を牽引することでの中長期的な電力不足の解消など、コスト削減以外にも多様なメリットがあると考えられます。2012年4月現在、PPSには東京電力の値上げを忌避したり反発したりした企業や自治体からの需要が殺到し、新たな電力供給は難しい状況です。しかし、今後も発送電の分離やスマート・グリッドの普及、新たな環境基準の設定など、適切な制度設計が行われるならば、PPSの活用による分散型の電力システムの構築は、今後の大きな可能性を秘めていると考えられます。今後も日本の安定的なエネルギーシステムの一端を担う存在として、PPSには大いに期待するべきだと考えています。
これからの日本のエネルギー政策を考えるにあたって、特にローカルな自治体から始められる施策として、私たちはPPSという新電力に注目しています。新電力=PPS(Power Producer & Supplier)とは、「特定規模電気事業者」、つまり2000年4月の電力自由化以降に電力事業に新規参入した、新たな電力事業者のことを指します。現在では、大手ガス会社や商社、再生可能エネルギーを扱う会社など、多様な新規事業者が、安定的で低コストな、バラエティに富む電気を供給しています(ただしPPSと契約できるのは現在のところ50kw以上の大口の需要者のみです。PPSのリストは経済産業省HPからご覧になれます: http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/genjo/pps/pps_list.html)。これまで総じて一般的な認知度は低かったのですが、現在の制度の中でも、東京電力や関西電力といった一般電気事業者以外の会社から電気を買うことは可能です。たとえば、経済産業省や国土交通省など、防衛省の一部を除く全ての中央官庁、また立川市や国立市などのいくつかの地方自治体も、すでにPPSから電力を購入しています。電力自由以降に可能となったPPSの活用は、単なるコスト削減のみならず、今後の日本の危機管理体制の構築や、再生可能エネルギーの普及に関しても、有効な側面を持つと考えています。
2.ポスト3・11の日本とPPSのメリット
PPSはこれまで、主としてコスト削減のメリットから導入が進められてきました。しかし、2011年3月11日の東日本大震災以降の状況の中では、PPSには電源分散による災害リスクの軽減や、新たな市場を牽引することでの中長期的な電力不足の解消など、コスト削減以外にも多様なメリットがあると考えられます。2012年4月現在、PPSには東京電力の値上げを忌避したり反発したりした企業や自治体からの需要が殺到し、新たな電力供給は難しい状況です。しかし、今後も発送電の分離やスマート・グリッドの普及、新たな環境基準の設定など、適切な制度設計が行われるならば、PPSの活用による分散型の電力システムの構築は、今後の大きな可能性を秘めていると考えられます。今後も日本の安定的なエネルギーシステムの一端を担う存在として、PPSには大いに期待するべきだと考えています。
3.温暖化のリスクと原発事故のリスクについて
しかし、供給力の問題と合わせてよく指摘されるのは、PPSによるCO2の排出の問題です。現在、PPS大手の主力としている電源はLNG(液化天然ガス)発電や火力発電であり、原発の排水による海水温度の上昇などいくつか争点はあるものの、やはり原子力発電と比較してCO2の排出が多いという点で、地球温暖化による環境破壊への懸念が指摘されます。しかし、政府が2011年4月に福島原発の事故処理の際、近隣諸国への事前通告なしに海に大量の汚染水を廃棄したことは、国際的にみても深刻な「環境破壊」だと言えます。つまり、特に東日本大震災による福島原発事故以降の現在には、環境配慮の問題に関して、CO2排出による中長期的な環境リスクの問題と、原発事故による放射性物質の拡散のリスクの問題、その双方を比較考量する必要があります。その上で、具体的な社会状況の中で、どちらのリスクを重視するか、高度な政治的な判断を行うことが求められていると言えるでしょう。
4.火力発電の活用と再生可能エネルギーの普及へ
しかし、供給力の問題と合わせてよく指摘されるのは、PPSによるCO2の排出の問題です。現在、PPS大手の主力としている電源はLNG(液化天然ガス)発電や火力発電であり、原発の排水による海水温度の上昇などいくつか争点はあるものの、やはり原子力発電と比較してCO2の排出が多いという点で、地球温暖化による環境破壊への懸念が指摘されます。しかし、政府が2011年4月に福島原発の事故処理の際、近隣諸国への事前通告なしに海に大量の汚染水を廃棄したことは、国際的にみても深刻な「環境破壊」だと言えます。つまり、特に東日本大震災による福島原発事故以降の現在には、環境配慮の問題に関して、CO2排出による中長期的な環境リスクの問題と、原発事故による放射性物質の拡散のリスクの問題、その双方を比較考量する必要があります。その上で、具体的な社会状況の中で、どちらのリスクを重視するか、高度な政治的な判断を行うことが求められていると言えるでしょう。
4.火力発電の活用と再生可能エネルギーの普及へ
2012年4月現在の段階では、私たちとしては、次に事故が起これば文字通り日本の崩壊を招きかねない原発を、新たな客観的な安全基準の設定や規制官庁の発足も待たないままに稼働させるリスクは、合理的に考えてとても許容できないと考えます。よって、過渡的な火力発電の増加による中長期的な温暖化のリスクについては、CO2排出量の少ない施設の新設や、新たな環境配慮基準の設定によって負担を軽減することで対処すべきだと考えています。特に、PPSのLNG発電や最新型の火力発電は、一般電気事業者の旧型の石炭火力に比べCO2の排出量が非常に少なく抑制できることが指摘できます。また、複数の事業者が競合する分散型の市場が、再生可能エネルギーの普及発展の可能性に強く貢献することも挙げられるでしょう。現在普及の進んでいる蓄電池についても、これを災害時の避難所となる小中学校等の施設に早急に配備することで、再生可能エネルギーの普及を地震など有事の際の危機管理とリンクさせる、有機的な体制作りも可能です。これまでの日本に多くみられたような、補助金による助成へのぶら下がりの施策を念頭に置くのではなく、市場の持つ活性力を十分に活かすことで、意識ある自治体の施策が、今後の日本のエネルギー政策の礎を作っていくことが望ましいと考えています。
5.今後の日本のエネルギーシステムの発展へ向けて
以上のように、私たち「武蔵野エネルギーシフト」は、現在の電力不足、電気料金の値上げ、電源の一極集中といった状況を踏まえ、発送電の分離等も含めた電力システムの改革や新たな環境配慮基準の設定が必要だと考えています。ただし、繰り返し強調したいのは、「従来の電力会社かPPSか」といった対立を煽るような認識は正しくない、ということです。簡単な悪玉を設定して制度改革を唱えることは、長期的にみて有効な制度の構築には繋がらないと考えます。あくまでも日本のエネルギーシステム全体の安定的な維持・発展のために、これまでの過度な一極集中を改め、電力供給の多様化やサービスの向上、エネルギーコストの適正化を図るべきだと考えています。
5.今後の日本のエネルギーシステムの発展へ向けて
以上のように、私たち「武蔵野エネルギーシフト」は、現在の電力不足、電気料金の値上げ、電源の一極集中といった状況を踏まえ、発送電の分離等も含めた電力システムの改革や新たな環境配慮基準の設定が必要だと考えています。ただし、繰り返し強調したいのは、「従来の電力会社かPPSか」といった対立を煽るような認識は正しくない、ということです。簡単な悪玉を設定して制度改革を唱えることは、長期的にみて有効な制度の構築には繋がらないと考えます。あくまでも日本のエネルギーシステム全体の安定的な維持・発展のために、これまでの過度な一極集中を改め、電力供給の多様化やサービスの向上、エネルギーコストの適正化を図るべきだと考えています。