東証1部上場企業:経常利益46%増 4〜12月期決算
毎日新聞 2014年02月03日 21時45分
◇円安で輸出採算改善、個人消費に伸び
東証1部上場企業の2013年4〜12月期決算発表がピークに差し掛かっているが、SMBC日興証券の集計(1月31日まで)によると、発表を終えた517社(3月期決算企業の約38%)の経常利益は合計で前年同期比約46%増の12兆5960億円と大幅な増益となった。14年3月期通期の経常利益予想を上方修正した企業は82社にのぼり、下方修正した企業(31社)の2倍以上。円安で輸出採算が改善しているほか、景気の回復傾向を背景に個人消費が伸び、業績を押し上げている。
517社の売上高は合計で前年同期比10.7%増、本業のもうけを示す営業利益も同40.2%増、最終(当期)利益は同70.1%増となり、好調ぶりを示した。業種別でみると、経常利益が同390.3%増(前期の約4.9倍)になった鉄鋼の業績急上昇ぶりが目立つ。最大手の新日鉄住金を筆頭に各社とも円安で海外部門の収益が改善したほか、国内も「個人の購買意欲が高まり、住宅、自動車などの需要が増えた」(新日鉄住金の太田克彦副社長)。
株価回復で株式や投資信託の売買手数料などが増えた証券の経常利益は合計で前年同期の約4.4倍に膨らんだ。大和証券グループ本社の小松幹太最高財務責任者(CFO)は「(日本株が大幅に上昇した)昨年12月は想定以上の良い市場環境で、収益を積み上げた」と説明した。
一方で円安のデメリットに苦しんだ業種もある。全日空など空運は円安に伴う輸入燃料高が響き、経常利益が25・6%減少。ゴム製品も輸入する原材料高などを受けて2・8%の減益となった。
SMBC日興証券の太田佳代子クオンツアナリストは「円安で輸出業種はおおむね好調。国内では公共投資増加などで建設を中心に堅調な業績を示した」と分析する。ただ、足元では米国の量的金融緩和縮小も背景に新興国経済の先行き懸念が高まっている。
企業の間でも「米国の緩和縮小で南米経済などが衰退する可能性がある」(商船三井の田辺昌宏常務執行役員)と警戒の声が出ている。また、4月の消費増税後には自動車などを中心に駆け込み需要の反動減も指摘され、市場は企業業績への影響を注視している。【山口知】