茶房(喫茶店)を装い、飲み物を配達して売春を行う「チケット茶房」の女性従業員は労働者に当たるのだろうか。2010年初めから、光州市内のチケット茶房で働いていた女性(27)は同年6月、オートバイで飲み物の配達に向かう途中、交通事故に遭い、急性硬膜下血腫と脳出血のため植物状態に陥った。女性の母親は勤労福祉公団に療養費の支払いを申請した。ところが同公団は「不定期的に収入を得ている人は労働者と認められない」として請求を却下したため、母親は11年、裁判所に提訴した。主な争点となったのは、チケット茶房の女性従業員も労働基準法に定める労働者と見なせるか否かということだ。女性はチケット茶房の店主との間で、配達した飲み物の代金の40%を受け取るという契約を交わしていた。このチケット茶房のコーヒー1杯の値段は2500ウォン(現在のレートで約240円)だった。
ソウル高裁行政11部(崔圭弘〈チェ・ギュホン〉裁判長)は先月末、一審の判決を破棄し、原告の訴えを認める判決を下した。高裁は判決理由について「女性は飲み物を決められた価格で配達し、収入の全てを事業主に渡さなければならず、事業主は女性を指揮・監督していたと見なせる。女性は基本給や固定給を受け取ってはいなかったが、飲み物の配達による収入は勤務時間に比例している」と述べた。その上で「公団は女性が『チップ』を受け取ったという点を挙げ、フリーランサーに相当すると判断したが、チップを受け取っていても労働者と見なせる」と付け加えた。