中国電力の上関原発計画が争点となる上関町議選(定数10)が11日告示され、16日投開票される。計画が浮上して8度目の選挙で、福島第1原発事故以降、同計画はストップし、原発の新増設は国の判断待ちで先行き不透明な状況。急速に進む過疎高齢化対策も大きな課題で、今のところ原発推進派9人、反対派4人の13人が出馬の動きを見せている。
今回から定数が2減の10。立候補が予想されるのは推進派が現職7人、新人2人の計9人。うち新人2人は今月に入って地域や団体に推されて出馬を表明した。反対派は現職1人、元職2人、新人1人の計4人。反対派元職1人は出馬を取りやめる可能性もある。党派別は反対派新人1人の共産以外は無所属。現在の構成は推進派9人、反対派3人で、推進派2人、反対派1人が勇退する見込み。
推進派議員の一人は「過疎高齢化を食い止めるには原発財源による町づくり以外にない。町民に広がる原発への不安を払拭したい」といい、別の推進派議員は「われわれの判断で原発計画はどうにもならない状況。今は定住、福祉対策や観光振興が大事」と話す。
一方、反対派議員は「福島の事故以降、町幹部と議会で原発に頼らない町づくりを話し合ってきた。今こそ脱原発の町づくりを実行する時期だ」と訴え、「豊かな自然を守りながら、若者定住や高齢者福祉対策、人材育成を進めて自立した町づくりを推進すべきだ」と強調する。
上関原発計画は1982年に浮上。過去7度の町議選では原発推進派が多数を占めてきた。09年4月に始まった準備工事は、2011年3月の福島第1原発の事故後、中止され、中電の公有水面埋め立て免許延長申請も山口県が先送りの判断をしている。
上関原発などの新増設について安倍晋三首相は昨年暮れ、「今は考えていない」と発言したが、見直し中のエネルギー基本計画案で原発を「ベース電源」に位置づけており、新増設に含みを残している。
同町は農漁業が主産業。人口は今月1日現在で3270人と計画浮上時から半減し、高齢化率は51.05%(昨年末)と県内最高。町予算は今年度一般会計当初予算約39億円で、自主財源は約2割。これまで同町に入った原発関連交付金は約70億円で、中電からの寄付金も07年から計24億円に及ぶ。町はこれらを財源に高齢者福祉センターや温浴施設の整備、福祉バスの運行などに取り組んできた。
投票は午前7時から午後6時まで町内11カ所で行われる。開票は午後8時から町中央公民館であり、同9時半ごろに新町議が決まる見通し。昨年12月2日現在の選挙人名簿登録者数は3031人(男1372、女1659)。
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