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2012年12月7日23時7分
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「5時に帰る社会にしよう」ゼクシィ編集長の少子化対策

写真:「ゼクシィ」の伊藤綾編集長=東京都千代田区の編集部、赤田康和撮影拡大「ゼクシィ」の伊藤綾編集長=東京都千代田区の編集部、赤田康和撮影

 【赤田康和】新年企画班は、フェイスブックの特設ページで、日本が抱える課題を解消するためのユニークなアイデアを集めている。結婚情報誌「ゼクシィ」編集長の伊藤綾さん(39)は、少子化問題の解決策として「みんながほぼ午後5時に職場を離れる社会」を提案している。

フェイスブックページ「オルタナティブ・ニッポン」特集「ビリオメディア」

 伊藤さんは自身も4歳の双子の男児の母。かつては終電まで仕事をする日々だったが、出産を機に「ほぼ午後5時に会社を出る編集長」を実践している。早く帰ることで夕食など家族が一緒に過ごす時間が増え、余裕が生まれ、子育てをしやすくなり、子どもも産みやすくなる、と考える。

 早く帰れば、仕事の生産性もあがるという。「オフの時間が長くなり、アイデアも浮かびやすくなる。多くの商品やサービスは、消費者のためにある。消費者のニーズも、ビジネスパーソンから消費者に戻る時間をつくることで、より理解できるようになる」と伊藤さんはいう。

 伊藤さん自身も「立てて置けるしゃもじ」や「かわいらしいデザインのドライバー」「カラフルな洗濯ネット」などのアイデアを家での生活の中で思いつき、付録にしたところ、その号の売れ行きが伸びたという。

 「お鍋の取っ手やふたのねじがよく緩むため、ドライバーは台所にあったほうが便利と気づいたんです。でも、普通のドライバーは武骨なデザインで台所に似合わない。そこで、かわいいドライバーセットを作ろうと、考えました」

 伊藤さんは、自身を含む今の父親や母親たちには子育てのモデルがない、と指摘する。「私たちは昭和の価値観親で育てられた。でも、その価値観を今の子育てには活用できない。たとえば、終身雇用が保証されない時代に、受験戦争に勝ち抜け大企業に入れる子にすることに、どれほどの意味があるのか。むしろ、最近は『強くてたくましい子、数十年後に一人の力で生きていける子にしたい』という親が多い。でも、どう育てたら、そういう子になるのかはみんな分からない」

 子育ての世界でも、高度成長期につくられた「成功パターン」が通用しない問題が起きている。だから、子を育てる親は、孤独感にさいなまれる。定時に退社することで、親たちは精神的なゆとりを取り戻せる、というのだ。

 伊藤さんはさらに、母親だけでなく、父親も、結婚していない人も、誰もがみな「ほぼ定時に帰る社会」を提唱する。「みんなが早く帰ることで、子を持つ女性が会社の中で孤立しないメリットがある。また、子育てに限らず、定時に退社して映画を見るなど好きなことをすることでもっと他人を愛することができるようになる。ビジネスパーソンとしては、顧客を愛することにつながる」

 伊藤さんは、男女雇用機会均等法が施行された前後に就職した世代(今は50歳前後)を、女性たちが結婚しても働くようになった「両立1.0世代」と位置づける。

 40代は、子どもを産んでも仕事を続けてきた。だが、保育園に預けたり祖父母の手を借りたりして、まるで子どもがいないかのように働いていた「両立2.0世代」。

 自身を含む、30代からは「定時退社をして家族と食事をとりつつ、ハイパフォーマンスで働く両立3.0世代になる必要がある」。「家庭と仕事の両立の道を切り開いてきた先輩たちからバトンを受け取り、さらに道を切り開くのは世代の責任でもある」と伊藤さんは話す。

 伊藤さんの提案への感想や意見は、フェイスブックの特設ページ「オルタナティブ・ニッポン」(https://www.facebook.com/Anippon2013)で読んだり書き込んだりできる。

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