実際、朝鮮日報が資本市場研究院の調べとして、昨年1〜9月の韓国の輸出総額は2・7%伸びたが、サムスンの輸出を除くと、3・6%の減少だった、と報道。まさにサムスンを除けば、輸出大国の地位は揺らぎ、サムスンがつまずけば、韓国がつまずくという構図だ。
これに対し、日米欧など先進諸国で1企業に経済全体が依存しているという歪な国はひとつもない。例えば、日本の場合、トヨタ自動車は製造業最大手で世界の自動車産業の頂点に立つが、GDPや時価総額全体に占める割合は微々たるものだ。これは日本の経済が重層構造になっている証しである。
朴政権は発足当初、情報通信技術と科学技術をベースに新しい製品・サービスを創出する「創造経済」を掲げるとともに、財閥・大企業重視を是正する方針を打ち出したが、その成果は現れていない。
「サムスンはスマホの次が見えておらず、現時点で業績が再び急上昇することは考えられない」。韓国経済に詳しい専門家はこう前置きした上で、「今回の減益で“錯視現象”という言葉が韓国でも広く使われるようになり、『これではダメだ』という機運が増しているのは良いことだ。しかし、財閥偏重のツケは重く、産業構造を転換するのは相当時間がかかる」と指摘している。
copyright (c) 2014 Sankei Digital All rights reserved.