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» 2014年01月21日 08時43分 UPDATE

Samsung減益に揺れる韓国経済 財閥企業偏重のツケ重く (2/3)

[産経新聞]
産経新聞

 約2年ぶりの減益といってもマイナス幅は一けたであり、赤字になったわけでも年間決算でもない。それでも韓国メディアが大騒ぎするのは、サムスンの業績低迷はそのまま韓国経済の凋落(ちょうらく)につながるためだ。

十大財閥がGDPの7割を占める歪さ

 韓国のGDPの約7割は現代自動車など十大財閥企業が占めており、なかでもサムスンはその2割に達する。1月8日付の朝鮮日報の社説(電子版)も『サムスン電子の業績がなければ、韓国経済は昨年マイナス成長を記録していたといわれるほど、国の経済全体に占めるサムスン電子の影響力は大きいのだ』としている。

 しかも、サムスンの主力スマホ「ギャラクシー S4」については、米紙ウォールストリート・ジャーナルやイスラエルのベングリオン大学がデータ通信を傍受される恐れがある脆弱(ぜいじゃく)性を抱えていると指摘。スマホ市場全体の伸び悩みとともに、低価格を武器とする中国メーカーの攻勢が激しさを増す中、自社製品の“欠陥”も重なり、苦戦を強いられている。

 また、サムスンの快進撃を支えてきた一昨年来、ウォン安政策も是正され、ウォン高が進む中、サムスン、さらには韓国自体の国際競争力は著しく低下しつつある。

サムスン、現代自抜きの指標作成へ

 9日付の朝鮮日報によると、韓国政府はサムスンと現代自を除外した経済指標を発表する準備を進めているという。経済の実態を正確に反映させるのが狙いで、記事中で企画財政部の関係者は「韓国経済はサムスンと現代自に過度に依存し、統計がゆがめられる錯視現象が起きているとの指摘がある。政府としてもそれがどの程度かを確認する必要があると考えた」と述べた、としている。

 最近、韓国ではこの「錯視現象」という言葉が頻繁に使われている。実際はサムスンの業績にもかかわらず、経済全体が好調と錯覚してしまうもので、危機感を募らせる関係者は少なくない。

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