都知事選:20代の24%が極右の田母神氏を支持

61万票を獲得し4位に
20代の得票率は2位、30代も3位
元航空幕僚長、侵略戦争を擁護し解任

都知事選:20代の24%が極右の田母神氏を支持

 今月9日に行われた東京都知事選挙で、安倍晋三首相が積極的に支援した舛添要一候補が圧勝した。「脱原発」を公約した首相経験者の細川護熙候補は、安倍首相の政治的な師匠に当たる小泉純一郎元首相の支援を受けたにもかかわらず、予想されたより票が伸びず、3位にとどまった。

 だが、今回の選挙結果をめぐり、知識人たちが衝撃を受けたのは、脱原発派候補の没落よりも、極右の候補者だった田母神俊雄・元航空幕僚長(航空自衛隊のトップ)が、若年層から高い支持を得たということだ。

 田母神氏は4位となったが、61万票を獲得し、朝日新聞が行った出口調査では、20代の得票率が舛添氏に次いで2位、30代でも3位になった。田母神氏は「日本は大東亜戦争のおかげで、人種が平等な社会が100-200年早く訪れた」などと言った主張を繰り広げる極右派で、今回の選挙では政党の支持を受けられなかった。それでも若年層から高い支持を得たのは、中高年層よりもむしろ若年層の間で右傾化の傾向が進んでいるということを示したといえる。

 田母神氏は2008年、現職の航空幕僚長でありながら、日本の侵略戦争を擁護する論文を発表した。「日本は侵略国家であったのか」というタイトルの論文で「大東亜戦争により、アジアの幾つかの国が白人国家の支配から解放された」「日米の戦争はルーズベルト大統領の策略によって引き起こされた」などと主張した。

 田母神氏は戦争放棄をうたった「平和憲法」についても、露骨に不満をあらわにした。これまでにも極右的な主張を繰り広げる人物は少なくなかったが、自衛隊の責任者の中で、帝国主義時代の政治に介入した軍人たちの主張を繰り返した人物は田母神氏が初めてだった。自民党の議員ですら、田母神氏の発想は「帝国主義時代の軍人たちのクーデターと変わらない」として、解任を求めた。

 田母神氏は「第2の石原莞爾」とも呼ばれた。石原莞爾とは、満州事変を画策し、戦争を主導した関東軍の参謀だ。

 田母神氏は今回の選挙も、極右的な歴史観を披歴する機会として積極的に活用した。また、遊説では日本の侵略戦争を擁護しない教育を「自虐史観」と批判し、靖国神社への参拝も擁護した。田母神氏の主張はいわゆる「熱湯浴」を通じて拡大再生産された。ネット右翼とは、インターネットを中心に活動する極右派の若者たちを指す造語だ。嫌韓デモを主導するなど、活動範囲をオフラインにまで広げている熱湯浴が、田母神氏を通じて政治勢力化を試みた、と評する声も出ている。

 都知事候補のうち、簡易投稿サイト「ツイッター」で話題になった比率(今月5日現在)を見ると、田母神氏は33%を占め、舛添氏(20%)を圧倒した。朝日新聞は「田母神氏の支持率が、戦争を知らない20代の間で高かったのは、インターネットを活用したためだ」との見方を示した。田母神氏は渋谷や原宿など、若者が集まる地域で集中的に遊説を行った。元都知事の石原慎太郎・日本維新の会共同代表や、極東国際軍事裁判(東京裁判)を否定する発言をしたNHK経営委員の百田尚樹氏などの極右派も、田母神氏を支持する演説を行った。

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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