結婚式や披露宴を挙げない「ナシ婚」の増加に、ブライダル業界が頭を痛めている。娘3人いれば家が傾くと、「派手婚」で知られる名古屋も例外ではない。式を挙げるカップルも格安の式場を選んだり、招待客を絞ったり。「名古屋婚」が様変わりしつつある。

 ■式・披露宴なし 増加

 東京、大阪、名古屋のブライダル関連3社と「次世代ブライダル協議会」を設立する――。結婚式の情報サイト運営会社「みんなのウェディング」(東京都中央区)は1月31日、都内で記者会見を開き、発表した。業界初の試みとして、親族の未成年の招待客の食事代を3月末まで無料にするキャンペーンを始める。

 狙いは、「ナシ婚」の増加に歯止めをかけることだ。厚生労働省によると、年間の婚姻件数は約67万件。「みんなのウェディング」は、このうち結婚式や披露宴を挙げるのは半数程度にとどまるとみている。

 同社が昨年2月、婚姻届だけで結婚を済ませた20~30代の女性約300人にインターネットで式や披露宴をしない理由を尋ねたところ、「経済的事情」が20・3%と最多。次いで挙式前に妊娠する「おめでた婚のため」(18・7%)、「セレモニー的な行為が嫌」(18・4%)の順だった。

 ■親族のみ、費用20万円

 結婚式の派手さで有名な名古屋にも、「ナシ婚」が影を落とす。純白のウエディングドレス姿の女性モデル3人が名古屋市の中心街・栄で昨年11月、若いカップルや子連れの親子にキャンディーを配って歩いた。

 企画したのはウエディングドレスのレンタル会社「305(サンマルゴ)」(名古屋市北区)。西川誠司社長(44)は「子どもたちにウエディングドレスを見てもらい、結婚式にあこがれを持ってもらいたい」と話す。足を止める人は多かったが、冷めた反応も。モデルと記念撮影をした愛知県あま市のフリーターの女性(18)と同県瀬戸市の高校3年の男子生徒(18)のカップルは「結婚式に何百万円もかけるのはもったいない」と口をそろえた。

 式を挙げるカップルにも変化が見える。愛知県犬山市の鈴村藍美(あいみ)さん(24)は昨年12月、会社員の夫・忠士さん(34)と名古屋市中区の結婚式場「ノード・ダモーレ名古屋丸の内」で式を挙げた。招待客は親族のみの9人。式の費用は約20万円で、披露宴はしなかった。

 それでも、鈴村さんは「無事に式を終えられてよかった。式場はきれいだし、進行も満足」と喜んだ。2人には挙式前の昨年8月に生まれた長女がいる。忠士さんは式の費用を抑えた理由について、「子どもにお金をかけてあげたいから」と話す。