中国元外相の不思議な日本批判「国連でウソ八百を主張した」
サーチナ 1月20日(月)15時12分配信
中華人民共和国国連大使や駐米国大使、外商などを歴任した李肇星氏が19日、北京市内の首都図書館で講演と記者会見を行った。記者会見で李氏は、国連の会議で日本の若い外交官が「日本は国連に支払う費用が多いのに常任理事国ではない」と主張したことに触れ、同主張は「ウソ八百だ」として反論したと説明した。新京報、中国新聞社などが報じた。李氏は現在、日本の国会議員に相当する全国人民代表大会代表を務めている。
李氏は「国連で論争をしたことがありますか」との質問に応じて、「書記官のひとりが走ってきて、私に告げたことがある」と説明。李氏によると、同書記官は「日本の若い外交官が会議でウソ八百を言っています。大国は国連に対して費用を少ししか払っていないのに、権力は大きく、(安全保障理事会の)常任理事国だ。日本は費用を多く払っているのに違うと主張しています」と告げたという。
李氏は同書記官に「そんなことを報告する必要があるか。まず戦え。すぐに戻って、だれがそんなウソ八百の発言を許しているか問いただせ」と指示。
さらに、「国連は第二次世界大戦の廃墟の上に作られた。戦争に反対し平和を守るために築かれた。いまだに歴史を正確に認識していない国が、自分を引き上げようとしても不可能だ」と、論戦の道筋を教えた。
李氏によると、書記官は日本の外交官に逆質問し、承認させたという。
ただし、李氏は日本の外交官に何を承認させたかは、具体的に説明しなかった。李氏が記者会見で述べた当時の状況が正しいとして、◆日本の国連分担金は大きい◆日本は安保理常任理事国ではなく、常任理事国と比べれば権力が制限されている――ことは事実であり、通常の論理で言えば「ウソ」とは言えない。
国連の成立の経緯は日本も認めており、日本の外交官がそれに反論するはずがない。可能性があるのは、日本との論争になった際に中国側が国連の成立の経緯に言及し、日本側はその部分にかぎっては「承認した」ということだ。記事では記者の追加質問は紹介されていない。メディアも李氏の不可解な日本批判絡みの「昔話」を、そのまま受け入れてしまったと考えられる。
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国連広報センターによると、2013年の国連通常予算の国別分担率は多い順に米国(22.0%)、日本(10.833%)、ドイツ(7.141%)、フランス(5.593%)、イギリス(5.179%)、中国(5.148%)、イタリア(4.448%)、カナダ(2.984%)、スペイン(2.973%)、ブラジル(2.934%)だ。
米国、日本、ドイツの順位はこのところ変動していない。米国の負担金が、2013年の場合、6億1850万ドルと突出しているが、同国は2012年10月5日現在、滞納額が累計7億4400ドルに達するなど、滞納の多い国でもある。
国連が発表した2013年の分担金支払いの実績リストによると、中国は3月27日に、日本は同年5月28日に全額を支払っている。ドイツ、フランス、英国、ロシアも支払済み。同リストに米国は見当たらない。(編集担当:如月隼人)
最終更新:1月20日(月)15時12分
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