成長戦略の一環として公的年金に株式などを積極的に運用させてはどうか、という議論がある。政府の有識者会議が昨年11月にまとめた提言に基づくものだ。
日本経済が安定的に成長していくため、市場や産業に潤沢な資金が回るための仕組みを整えることは必要だ。しかし、老後の生活に欠かせない公的年金に、民間の資産運用会社と同じようにリスクマネー供給の役割を期待することはできない。
年金制度を長期的に信頼されるものとするために何をすべきか。公的年金の運用改革はそうした視点に立つべきだ。
運用改革の提言が主な対象としているのは、国民年金と厚生年金を合わせた約120兆円の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だ。
有識者会議の提言報告書はまず、GPIFの国内債券への資金配分比率を現状の6割から引き下げ、株式や外国債券などの比率を上げるよう求めた。提言の背景には、海外の公務員年金の多くが株式などで積極的に運用しているという実情がある。
だが、米国の自営業者や会社員が加入する社会保障基金は全額を国債で運用している事実もある。公的年金といっても運用の考え方や中身はさまざまだ。特定の国や基金の事例を改革の手本とすることには無理がある。
株式などの運用比率を短期間で引き上げ、損失が発生するといった事態になれば年金制度への不信をさらに助長するだろう。厚生労働省が近く公表する年金財政の検証結果を受け、現実的で手堅い運用を目指すべきだ。
報告書はまた、公的年金に運用の専門家を増やす必要性を強調している。GPIFの人員は約80人にすぎず、常勤している運用の専門家もほとんどいない。運用責任は理事長一人に集中する。
これでは約120兆円の資産を預かる陣容として心もとない。運用の中身を変えることより、信頼できる体制を築くのが先決だ。
報告書は、公的年金の投資対象をベンチャー企業などに広げる必要性も指摘した。長期の運用成績を改善するだけでなく、成長のカギを握るベンチャー企業や再生途上の企業に資金を回すという観点で、意義ある提言だろう。しかし、その場合でも、専門家の採用や育成などの体制づくりが前提となることは言うまでもない。
公的年金、年金、GPIF、リスク運用
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