9日投開票の東京都知事選で、田母神俊雄氏(65)が60万票余りを獲得した。支援者らは、従来の保守層よりも過激な傾向があり、愛国的なネットユーザーたちである「ネット保守」が予想を超える善戦を生んだと沸き立つ。これまで実態が見えなかった新たな保守層が、田母神氏の「基礎票」になって現れた、との見方もある。

 ■盛り上がる「ネット保守的発言」

 9日午後8時半過ぎ、東京・市谷の選挙事務所に姿を見せた田母神氏には、悔しさがにじんでいた。

 報道各社が舛添要一氏(65)の当選確実を伝えた直後に記者会見に臨んだ田母神氏は、はじめこそ「組織票がない中で一定の成果はあった。満足すべきかなと思う」と選挙戦を総括した。しかし、敗戦のショックからか、その言葉には次第に悔しさが募っていった。「やっぱり組織票は強いんだなあと実感した」「勝ち組についた方がいいと考えたのではないか」。会見を10分余りで終えると、事務所を去った。

 だが、午後9時を過ぎて開票が始まると、事務所の雰囲気は一変した。当初は「30万票は堅い」(陣営幹部)と見ていた得票を大きく上回る伸びを見せたからだ。支持者らは沸き立ち、陣営幹部は「負けた気がしない。戦後日本の欺瞞(ぎまん)、偽善にうんざりしている人たちがこれだけいる。新しい政治勢力の誕生だ」と興奮を隠さなかった。