PC遠隔操作:12日初公判 間接証拠めぐり対決

毎日新聞 2014年02月10日 21時09分

 ◇片山被告と事件を結びつける直接証拠なく

 2012年に男性4人が誤認逮捕されたパソコン(PC)の遠隔操作事件で、威力業務妨害罪などに問われた元IT関連会社社員、片山祐輔被告(31)の公判が12日から東京地裁(大野勝則裁判長)で始まる。片山被告と事件を結びつける直接証拠がないとされる中、間接証拠の積み上げで有罪立証を図る検察側に対し、弁護側は全面的に無罪を主張する。

 「(捜査当局が)誤認逮捕に学ばず、暴走した事件だ。片山さんの無実を明らかにしたい」。10日夕、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した主任弁護人の佐藤博史弁護士はこう強調した。この日にあった公判前整理手続きで、16人の証人尋問を実施することが決まったという。

 片山被告は昨年2月に逮捕されてから一貫して否認を続けている。検察側が請求する証拠は約640点に上るが、弁護側は「証拠は脆弱(ぜいじゃく)でいくら積み重ねても有罪には届かない」として、全て証拠採用することに同意した。

 検察側が最重要視するのは、PCなどに残されていたデジタルデータだ。事件では「iesys.exe(アイシス・エグゼ)」と呼ばれる遠隔操作ウイルスが使われており、片山被告の職場のPCにウイルスを作成したことを示す文字列などが残っていたとされる。

 さらに、神奈川・江の島の猫の首輪からウイルスの設計図が保存された記憶媒体が見つかっているが、このことが公になる以前に片山被告が携帯電話で「江の島 猫 首輪」と検索したことも確認されたとしている。

 これに対し弁護側は▽片山被告のPCは遠隔操作されていた可能性がある▽片山被告はウイルス開発に必要なコンピューター言語を使えない−−などと反論する方針だ。

 片山被告は12年6〜9月、ウイルス感染した他人のPCから、殺人などを予告するメールを送ったなどとして起訴されている。【山本将克】

 ◇片山祐輔被告が起訴された遠隔操作事件一覧

予告日   犯行予告の内容       利用されたPC使用者

6月29日 ★横浜市の小学校無差別殺人  東京都の元大学生

7月29日 ★大阪市の商店街無差別殺人  大阪府の男性

8月 1日  日本航空の旅客機爆破      〃

   9日  東京都の漫画イベント襲撃  愛知県の会社

  27日 ★東京都の幼稚園襲撃     福岡県の男性

  同日  ★子役タレント殺害        〃

最新写真特集