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道路建設をめぐって、経済効果に加え、避難路の確保といった防災面の効果が…
道路建設をめぐって、経済効果に加え、避難路の確保といった防災面の効果が強調されるようになった。
東日本大震災から教訓をくみ取るのは大切だ。しかし、安易に「防災」を持ち出し、建設の口実にする風潮が広がっていないか。
財政は火の車で、既存道路の維持・改修すらおぼつかない状況だ。避難訓練などソフト面の対策を強化しつつ、建設の必要性とコストをしっかり吟味しているか。国土強靱(きょうじん)化の旗を振る国だけでなく、現場の自治体にも考えてほしい問題である。
かつて民主党政権が「すぐに完成する見込みがない」といったん待ったをかけながら、結局事業を継続した国道の予算が膨らんでいる。安倍政権になって拍車がかかっている。
見直し方針を貫けなかった政府がまず問われるべきだが、自治体が激しく反発し、巻き返しに動いたのも事実だ。国道の建設では、都道府県や指定市が費用の3分の1を負担するだけで済むことが背景にある。
「災害時の代替道路だ」と自治体が建設の意義を強調しながら、地元住民が「いらない」と指摘する国道も含まれているようだ。必要性の低い事業に資金を投じ、将来世代にツケを回すのは許されない。
大型プロジェクトの推進でも「防災」がキーワードだ。
福岡県は、山口県と結ぶ「関門海峡道路」構想について、6年ぶりに調査を再開し、国にも再開を働きかけ始めた。今も国道トンネルと高速道路橋があるが、経済活性化への期待とともに「大規模災害時に備える3本目のルート」と位置づける。
関門海峡道路は80~90年代の全国総合開発計画に盛り込まれた「6海峡プロジェクト」の一つ。道路財源の無駄遣いが問題になった08年、国が全ての調査を中止した経緯がある。
調査は結構だが、効果だけでなく費用も厳しく見積もるべきだ。巨額の負担を残した本四架橋の二の舞いは許されない。
近畿から四国、九州までの10府県が昨秋、協議会を立ち上げた構想は、もっと壮大だ。
6海峡プロジェクトに含まれる紀淡海峡道路を視野に入れ、高速道路や新幹線で結ぶという。「自民党への政権交代で、国土強靱化というチャンスに挑戦する」(事務局の和歌山県)と意気込む。
多額の資金を使わずにすむ効果的な防災・減災対策を練って政府に進言する。自治体にはそんな役割を期待したいが、ないものねだりなのだろうか。
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