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2014/1/7

「日本の学力」（「中村俊一の教育BOX」放送内容）

２０１４年１月７日（火）新年最初の「中村俊一の教育ＢＯＸ」の放送内容です。ただし、放送そのままではありません。

１月６日（月）の朝日新聞の朝刊に、インドネシアのスラバヤで開校したＰＴ　ＲＩＳＳＨＩＫＡＮについての記事が掲載されました。教育２０１４「世界は　日本は」の特集の一部として取り上げられました。ありがたいですね。励みになります。

朝日デジタル：インドネシア　http://www.asahi.com/topics/word/インドネシア.html

日本は超少子高齢社会を迎えつつあります。市場は縮小し、高齢者を支える労働人口は減少し、非常に憂慮される時代が目前です。親日国家が多い東南アジアの国々で、学力向上に貢献し、教育を通してより親密な関係を結べば、将来の日本にとって必ず役立つ時がくると思います。

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今夜は日本の学力についてお話をします。昨年、ＯＥＣＤ（経済協力開発機構）が成人の学力と１５歳の学力について国際比較した結果を発表しました。

まず、成人の学力調査の結果から見ましょう。ＯＥＣＤは、１６歳～６５歳を対象に初めて実施した「国際成人力調査（ＰＩＡＡＣピアック = Program for the International Assessment of Adult Competencies Survey of Adult Skills）」の結果を発表しました。

この成人力調査というのは、大人が社会生活をおくる上で必要な能力や学力を測るもので、基礎的な問題が中心です。その結果によると、なんと、日本は「読解力」と「数学的思考力」の平均得点が、参加した２４の国と地域のうちトップでした。すごいでしょう。日本が両方とも１位というのは、とてもうれしいですね。

参加した国や地域は、欧米の先進国、それ以外の地域では、オーストラリアと日本と韓国でした。ちなみに、韓国は言語能力が１２位、数学的思考力が１５位でした。

文部科学省の分析では、「基礎を重視してきた戦後の日本教育に加えて、企業の人材育成の成果もでたのではないか」とされています。新入社員教育などは熱心に行っていますよね。学生気分を一掃して、社会性や責任感やサービス精神などを自覚させていくところは、すごいなと思います。

しかし、気になる点もあります。

年代別の比較によると、日本の中高年層の学力は他国を大きく上回るのですが、１６歳～２５歳の若年層はその差が小さいのです。これは、ゆとり教育世代の学力低下の問題が、まだ尾を引いているのかもしれません。やはり、読み書き計算（そろばん）は小さい頃に徹底しておく必要があるように思います。

他ﾉ特徴は､読解力と数学的思考力に関して、下位層、つまり、あまりできていない層の割合は、他国はすべて１０％以上でしたが、日本は読解力で５％以内、数学的思考力で８％以内になっていました。上下の幅が小さいのが日本の特徴ですね。

それでは次に、１５歳の学力結果についてです。ＯＥＣＤが２０１２年に６５カ国・地域の１５歳、約５１万人を対象に実施した学習到達度調査（ＰＩＳＡ　ピザ）の結果を見てみましょう。

日本の平均点は、「読解力」「数学的リテラシー（数学的応用力）」「科学的リテラシー（科学的応用力）」の全３分野で、２０００年から現在と同じ調査方法になって以来、過去最高でした。国・地域別順位も２回続けて上昇し、学力の向上傾向がくっきり表れましたね。脱ゆとり教育が実を結びつつあるようです。よい傾向ですね。

具体的には、日本は数学的応用力７位（前回９位）、読解力４位（前回８位）、科学的応用力４位（前回５位）と順位を上げて、「ゆとり教育」から脱却し、学力の復活が明らかになっています。

２０００年代の前半は、フィンランドが１位・２位を独占して、フィンランド教育がもてはやされていましたね。ところが今回は、フィンランドは数学的応用力１２位、読解力６位、科学的応用力５位とランキングを大幅に下げています。スウェーデンはもっと大幅に低下力して、たとえば読解力（８位→１０位→１９位→３６位）と深刻な事態です。（この件については２月に放送予定です）

しかも、今回は上位がほぼアジアの国々に独占されているんです。数学的応用力では、１位上海、２位シンガポール、３位香港、４位台湾、５位韓国、６位マカオ、７位日本とすべてアジアの国でしょう。

次に、読解力では、１位上海、２位香港、３位シンガポール、４位日本、５位韓国、６位フィンランド、７位アイルランドと、これも５位までアジア独占です。

さらに、科学的応用力では、１位上海、２位香港、３位シンガポール、４位日本、５位フィンランド、６位エストニア、７位韓国と、やはりアジア勢が強いですね。

ところで、何か気付きませんでしたか。

そう。１位が全て上海ですし、１位から３位が、上海、シンガポール、香港に独占されています。

上海は２００９年から参加しだしたのですが、前回も全て１位、今回も全て１位です。アメリカのタイム誌の電子版には、「中国はズルをしている」と題した記事が掲載されましたね。

中国は「上海」「香港」「マカオ」と都市単位での調査だと批判して、「上海は中国の他地域に比べて教育水準が大幅に高い。また富裕層が多いため塾などに多額の資金を投入できる。塾などにかかる金は他の地域の一般的な労働者の１年分の収入以上だ」と指摘したそうです。

それに対して、ＯＥＣＤの担当者は「上海の結果が中国全体を表すとは考えてない。調査対象となる生徒たちの学校の教育の質の差はすでに評価の考慮に入れている」と説明しています。この上位３つ地域はＯＥＣＤの加盟国ではありません。（次回からは中国は国として参加予定）

したがって、ＯＥＣＤの加盟国だけで見たら、日本は数学的応用力２位、読解力１位、科学的応用力１位となります。ですから、大人も子供も日本はＯＥＣＤ加盟国の中でトップレベルなんです。日本の教育もがんばっているようで、うれしいですね。

ゆとり教育からの脱却が順調に進んでいるように思えます。しかし、そのように学力向上が見られる日本ですが、大阪にはもっと頑張ってもらいたいですよ。

２０１３年の文部科学省が発表した小中学生の全国学力テストランキングでは、大阪は４７都道府県中４５位と最下位のあたりを低迷しています。せめて全国平均ぐらいになってほしいですよね。がんばれ！大阪！です。

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今夜は昨年発表されたＯＥＣＤの学力調査のお話をしました。ＯＥＣＤの加盟国の中では、日本の学力は大人も子供もトップレベルです。日本の基礎基本を重視する教育の上に、考える力を育てる力をつける脱ゆとり路線はどうやら軌道に乗り始めたようですね。

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今週の１１日（土）午後５：３０～３０分の特別番組「中村俊一の教育ＢＯＸ、新春スペシャル第１回」が放送されます。ラジオ大阪さんは、毎年特別枠を取ってくださいます。感謝いたします。

ゲストは、京都大学副学長・京都大学医学部附属病院長の三島理晃先生にお越しいただき、医師としての生き方など、さまざまなお話をうかがいます。お楽しみに！

２月１日（土）第２回・１５日（土）第３回の放送を予定しています。ぜひ、お聴きください。

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2013/6/18

大阪府立高校の採点ミスに思うこと

最近、少々多忙にて、ブログの更新ができずにおりました。

さて、今週６月２１日（金）テレビ東京（関西ではテレビ大阪）の２２：００～放送される「たけしの日本のミカタ」に、２０秒ほどだと思いますが出演します。

二宮尊徳の像についてお話ししています。以前、ラジオ大阪の「中村俊一の教育ＢＯＸ」（このブログ２０１０年３月分）で放送した内容についてコメントしています。

６月９日（日）にわざわざ収録にいらっしゃいました。今回は没にはならないようです。よろしければご覧ください。

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ＭＳＮサンケイニュースより（２０１３．６．１８付）

『今年行われた大阪府立高入試で採点ミスが相次いだことを受け、大阪府教育委員会が、一部の試験でマークシート方式の導入も含めた再発防止策を検討していることが１８日、分かった。採点や集計時の教員の負担を軽減することでミスをなくすのが狙い。府教委によると、公立高入試でのマークシート導入は全国でも異例という。

　今年の府立高入試では全１５３校（定時制含む）のうち、約３分の１の５４校で１１４カ所の採点ミスがあり、本来は合格なのに不合格とされるなど、計４人の合否判定に影響があった。

　現在、試験はすべて記述式で行われているが、府教委幹部は、今回のミスについて「ヒューマンエラーとしかいいようがない」としており、採点ミスの原因分析を進めるとともにチェック体制の見直しを始めた。

　そのなかで、マークシートの導入や答案用紙を採点しやすいレイアウトにするなどの対応策が浮上しており、マークシートで機械の読み取りによる採点が行われれば、教員の負担軽減につながることが期待される。今後実施上の問題点や対象科目などを検討し、８月中にも具体策をまとめる方針。

　平成２１年春の県立高入試で１５００件以上の採点ミスが発覚した兵庫県教委では、再発防止策として採点、集計する期間を入試当日の１日から３日間に延長させたほか、答案用紙に小計欄を設けるなどの改善を図った結果、ミスは確認されていないという。』

マークシート？採点ミスが起こる受験システムを見直す必要もあるのではないでしょうか。

今年の高校入試は、①２月９日（土）大阪府私立高校入試　→　②２月２０日（水）・２１日（木）大阪府公立高校前期入学者選抜試験　→　③２月２６日（火）前期発表　→　④３月１１日（月）大阪府公立高校後期入学者選抜試験　→　⑤３月１８日（月）後期発表　でした。

この入試日程には、公立高校の現場にも、中学校の現場にもかなりのストレスが掛かっているようです。

まず、今年の大きな問題は、普通科の２クラス８０名が前期で選抜され、残りが後期で選抜されるようになったことです。

中位から上位の普通科高校の受験を志願する場合、前期・後期ともに同じ学校を受ける傾向が多いはずです。ですから、学力中位から上位の人気校は、のきなみ４倍～６倍の競争率になりました。

要するに、４００人から４８０人が前期を受験するのです。そして、合格発表は異常な風景が見られます。合格者が圧倒的に少ないので、素直に喜べません。合格者はむしろ気を遣って喜びを隠します。なにせ、不合格者が３２０人から４００人もいるのです。妙な空気が流れます。

そして、不合格の３２０人から４００人が、気を持ち直して、１２日後の後期受験にもう一度チャレンジするのです。２度の受験機会があると胸を張れるシステムでしょうか？

実際に、中学校では前期試験後合格発表までは、やはりそわそわして勉強に集中できない子どもがいたとのことです。また、いくら不合格になる生徒が多いとは言え、やはり不合格に落ち込む子どもも多くいました。

しかも、前期試験は英数国の３教科、後期試験は英数国理社の５教科です。１２日間で理社の勉強にも集中しなければなりません。同じ学校で、試験科目が違うなどというのは変ですね。このことは、文理学科（前期３教科）・普通科（後期５教科）をもつトップ１０の公立高校にも当てはまります。

前期の３教科入試は問題がないでしょうか。大学入試センターは５教科受験で、今後、理科も２教科受験が検討されています。中学校の卒業の段階で３教科入試というのは、そもそも良いのでしょうか。

私学も３教科型の入試に対応するところも現れていますから、理社の大阪の学力は低下するかもしれません。理社は基礎教養です。基礎教養を疎かにするのは問題です。とくに、理科離れが問題となる日本にとって、科学技術立国を標榜する日本にとって、理科を試験科目に入れないなんて問題であると思います。

また、前期の英語、国語、小論文は女子が強い傾向にあります。女子の方が、中学校では精神的な成長速度が一般的には速いとされています。男子は高校生で伸びます。ですから、普通科の前期試験の男女の合格比率は、女子の方が高い傾向が出ています。

また、前期が３教科入試なのは、高校の物理的な時間の問題とも聞いています。前期入試→国公立大学入試→学年末試験→後期入試と短期間での処理が大変であるので、前期入試は３教科にしていると聞いたことがあります。また、理科・社会の問題を複数回分作成するのが難しいとも聞いています。

公立高校で前期・後期試験を２度実施する学校現場は、その業務の多さ、また、正確さを要求されるだけに、おそらく悲鳴を上げているのではないでしょうか。ミスが出る素地は十分あるように思います。高校に在籍している生徒たちの面倒をみることも大切ですよね。特に、国公立大学受験生のケアは大切です。

私立高校の授業料無償化により、私立高校に下位～中位層の生徒が流れました。そして、公立高校の定員割れが特に下位層の普通科の学校で起こりました。その原因は、最近の生徒は、最後まで受験せずに、早い段階で進学校を決めてしまいたい傾向にあるからだそうです。この点を解消するための、府教委の入試制度の変更なのでしょうが、おそらく問題が噴出していることでしょう。

そこで提案です。

１．前期入試・後期入試ともに、学校単位の試験は１回入試とする。（これで、複数回受験実施の学校の負担が減らせる）

２．前期入試・後期入試ともに、５教科入試とする。（１回入試ならば、５教科でも負担は少ない、前期は易しい問題にする）

３．前期入試は、専門学科・普通科の区別なく、学校に選択させる。（おそらく、学力下位の学校が前期に、学力上位の学校が後期にシフトするでしょう。これで、学力下位層の私学への流失が防げます）できれば、後期入試は、学力の高い学校に選択を推奨する。（最後まで５教科受験して、学力の高い状態で高校へ進学できる。定員割れはおそらくない）

４．前期入試で、定員割れを起こした学校は、後期入試で定員充足の２次試験を同時に実施する。（これでも集まらない学校は統廃合すべき）

５．文理学科（グローバル科など）と普通科の合格基準は、上位１６０名文理学科、下位１６０名普通科など、と明確に決めればよい。私学がしていることを公立ができない理屈はない。また、ボーダーゾーンは文理学科・普通科両方に設定すればよい。

以上　長年、大阪府の公立入試を外から見てきた経験を踏まえての提案です。ご検討くだされば幸いです。

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人生は二度ありません。一つの道を選択すれば、他の道は捨てなければなりません。あれもこれも選べません。結婚すれば、独身生活の気楽さを捨てなければなりません。絶えず人生は選択の連続なのです。

だったら、受験だって同じです。受験は一発勝負でよろしいのではないですか。失敗しても、大学受験があります。やり直しはいつからでもできます。また、どんな結果であれ、選んだ道をわが人生として一生懸命に歩むことが大切なのです。同じ学校で、２度の受験機会を公立高校入試で与える必要があるでしょうか。

人生は一度きり、だから、その都度、真剣に生きなければなりません。そのことをちゃんと教えてあげることが大切だと思いますね。

タカキニュース.info

2013/6/3

大阪府立三国丘高等学校の大学合格力ランキング修正（週刊ダイヤモンド）

２０１３年６月１日号の週刊ダイヤモンドに「『大学合格力』ランキング　１６８９校」が掲載されていました。

立志館ゼミナールが拠点としている大阪南部の公立高校の雄は、三国丘高校です。立志館ゼミナールからも、今年、１３５人／３２０人が合格しています。約２．４人に一人が立志館生になりますね。もちろん、地域ＮＯ．１の進学実績です。

立志館ゼミナール高校部へも、三国丘高校生がたくさん通ってくれています。今年の三国丘高校の現役生の京大合格者数は１３人でしたが、そのうち三国丘高校の立志館現役生は５人でした。みなさん、よく頑張りましたね。

さて、それで週刊ダイヤモンドの「大学合格力」全国高校ランキングベスト１６８９校の大阪府を見ました。すると、三国丘高校は１０位でした。昨年の５位から大きく後退しています。

大阪南部の雄である三国丘高校さんには、大阪南部の府民の期待は大きいものがあります。残念ですね。しかしよく眺めていて、あれ？と思いました。卒業生の数が違うではありませんか。ここ数年、入学者定員は３２０名だったはずです。

それが、卒業者数３８０名となっているじゃありませんか？これでは分母が大きくなるので、合格力が低く出てしまいます。そこで三国丘高校に卒業者数を問い合わせてみると、３１６名とのことでした。えらい、違うぞ！

そして、ランキングの見方に従って、計算をし直してみると、合格力が３６．０から４３．３にアップします。そこで、この数字から、正確なランキングを調べると、大阪府で４位、昨年より１つアップしますね。そりゃそうだよな。おかしいと思った。どういう手違いか、卒業者数が今年は間違って計算されていたようです。

ちなみに、大阪府のランクをあげますと、１位北野、２位天王寺、３位大阪星光、４位三国丘となります。

三国丘高校の全国ランクも９５位から、３６位とアップします。三国丘高校は大丈夫です。地元のみなさまご安心くださいませ。

さて、今年の立志館ゼミナール生の合格者数が１０名以上いたその他の高校の大阪府ランキングを、ダイヤモンド社掲載のままの順位（７４位まで）でお知らせします。

５位清風南海、１２位生野、２０位岸和田、２２位清教学園、２４位清風、２７位鳳、３０位泉陽、３２位初芝富田林、３３位帝塚山学院泉ヶ丘、３８位富田林、３９位住吉、４０位近畿大学付属、４１位桃山学院、４３位今宮、５０位和泉、５４位泉北、６６位浪速、６９位狭山、７４位上宮です。

詳しくは、週刊ダイヤモンドをご覧ください。図書館に行けば見られると思います。今週中なら、在庫のある店もまだあるはずです。

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ちなみに、大阪府の学校協議会委員歴は２００４年から、もう１０年、今までに公立７校・私立１校になります。現在拝命している４つの公立高校は、上記の中にランクインしています。どの学校のＨＰにも学校協議会委員の名前は掲載されていませんので、具体的な学校名は伏せます。

その中でも、最も学校協議会委員を長く続けている高校は、今年で４人目の校長先生になります。その間、劇的な学校変革時にも学校協議会委員としていろいろ具申しました。その学校は、目標を明確にして、スタートが切れたことにより、急成長をしています。教員の皆さんの意識が向上し、組織が一致団結すると、学校はどんどんよい方向に変革するものだと、あらためて納得しました。

学校協議会委員をお引き受けした理由はただ一つ、立志館から入学したたくさんの生徒たちが、充実した高校生活を過ごし、卒業後の進路（大学進学）の希望がかなうように、高校へ意見を述べるためです。ただそれだけです。

私のような外部の意見をも消化して工夫されている高校は、確実に伸長されています。大変うれしく、感謝いたします。

ITジントン.info

2013/2/27

「高校英語の教科書改訂」（「中村俊一の教育ＢＯＸ」放送内容）

２０１３年２月２６日（火）「中村俊一の教育ＢＯＸ」の放送内容です。ただし、放送内容そのままではありません。

２月２４日（日）は三代目アシスタントの湯谷明子さんと、ＮＨＫカメラマンの今村慎吾さんの結婚式でした。とても、素敵な結婚式でした。おめでとうございます。末永くお幸せに。

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今夜は、高校の英語の教科書改訂のお話をします。ゆとり教育からの脱却を目指す文部科学省は、２００８年に学習指導要領の改訂をしました。それにともなって、２０１１年には小学校の教科書が改訂され、２０１２年には中学校と高校の数学・理科の教科書が改訂されました。そして、今年２０１３年から、残りの科目の高校の教科書が改訂になります。

ただし、今年で教科書改訂が完了するというわけではありません。高校の教科書は１年から順次変更になります。ですから、大学入試が変わるのは、理数が２０１５年度入試から、英国社が２０１６年度入試からになります。

それでは、高校の教科書はどのように変わるのでしょうか。ポイントは２つあります。「理数科目の強化」と「英語によるコミュニケーション能力の重視」です。

日本の科学技術立国がゆとり教育で揺らいできましたから、その立て直しには理数科目の強化は大切です。また、企業もグローバルに世界と競争する時代、国際語としての英会話力が必須の条件になりつつあります。

皆の憧れる大企業の管理職になるためには、ＴＯＥＩＣで７３０点以上が必要だとかは、当たり前になりつつあるようです。大手メーカーの新入社員の採用が、日本国内の採用より、日本国外の採用の方が多いところも現れましたから、英語によるコミュニケーション重視の傾向は仕方がないことかもしれません。

厳しい時代です。確かに、日本人は小・中・高と長く英語を学んでいるけれど、あまり英会話ができる人は多くありませんから、それを改善できたらすばらしいと思います。

わたしたちが高校生の頃は、もう３０年以上も前ですが、お聴きの皆さんにも馴染みがあると思うのですが、リーダー＝読解、グラマー＝文法、コンポジション＝英作文が中心でしたよね。

英文をちゃんと訳読できること、英語の文法がきっちり理解できていること、正しい英語の文章を作文できることが中心でした。どちらかというと、読む・書くに重点が置かれていました。

それが今回の指導要領の変更による新課程の英語の科目分けでは、コミュニケーション英語基礎、コミュニケーション英語Ⅰ、コミュニケーション英語Ⅱ、コミュニケーション英語Ⅲ、英語表現Ⅰ、英語表現Ⅱ、英語会話となっています。

コミュニケーション英語が中心となっていますが、文法などは勉強しないのでしょうか。

実はそうではありません。ゆとり教育のときは、文法指導はそれほど重要視されていませんでした。もちろん、グラマーという単位はなくなっていました。

しかし、新指導要領によると「文法については、コミュニケーションを支えるものであることを踏まえ、言語活動と効果的に関連付けて指導すること」とされています。文法のための文法ではなく、「聞く、話す、読む、書く」の４つの技能を支える道具としての文法をちゃんと学びましょうということなんですね。

ちなみに、コミュニケーション英語Ⅰでは高校英語の文法事項をすべて習い、Ⅱ・Ⅲで読解力に力をいれる傾向のようです。

ところで、英語の教科書は他にどのような特徴があるのでしょうか。

高校生にもなると、学力差もかなり開きがあるようになります。ですから、同じ教科書会社でも、学力に応じた難しさの教科書が作られていて、これは大きな特徴です。

ただ、ひとつ気になることがあります。それは、高校１年生の新しい教科書は、中学校で１２００語を習得済みであることを前提にしたものです。

ところが、新高１生は２０１２年、つまり中３のときだけ、１２００語の学習指導要領の授業を受けただけです。中Ⅰ・中２のときはゆとり時代の９００語の学習指導要領の教科書で学んでいたのです。

ですから、単語や熟語や文法内容も、新高１生には難しいと感じる可能性がありますね。そのあたりを高校の先生方も理解してあげて指導して欲しいところです。

それと一時期、高校の英語の授業はすべて英語でするということが言われていましたが、これはどうなるのでしょうか。

確かに新学習指導要領では、「授業は英語で行うことが基本」とされていますが、「必要に応じて、日本語を交えて授業を行う」とも記述されていますので、学校やクラスによって違うのではないでしょうか。

ところで、教科書によっては、指示や設問がすべて英文の教科書もありますから、英語だけの授業も考えられていますよね。例えば、「ペアになって会話をしなさい」が、“Practice the dialogue with a partner.”と英語の指示になっています。

大学入試センター試験も大幅に変更になるでしょう。ですから、変更の初年度は、センター試験について傾向と対策が立てにくいですよね。ということは、高校１年生からしっかりと学んでいく必要があります。

最後に、英語の教科書からユニークな内容をお伝えしましょう。落語を取り上げている教科書です。次の英文はある落語のオチのセリフですが、この落語はなんでしょうか。

まず英文から、

“Hold on. I only smelled your eels, so you can only listen to my money.”　

答えは、ア．ケチとうなぎ屋　イ．饅頭こわい　ウ．寿限無、　
さあどれでしょう。

正解はアです。ケチな男が隣のうなぎ屋の匂いをおかずにご飯を食べていると、うなぎ屋が「におい代を払え」とやってきました。そこで男はにおい代を払うといって財布を振り、お金の音だけを聞かせたというオチです。

「俺はウナギ（eels)の匂いを嗅いだだけだ。だから、あんたはお金の音だけを聞いたらいい」となるのですね。面白い教科書もありますね。

今夜は、高校の英語の教科書改訂のお話をしました。高校英語はコミュニケーション力重視になります。グローバル時代がやってきます。英語で自由な会話ができる日本人を、ぜひたくさん育てて欲しいですね。

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さて、来週・再来週と、日本キヌカ（株）代表取締役社長の長田竜太（おさだりゅうた）さんにゲストにお越しいただきます。長田さんは、国の補助金に頼らない、自立した完全無借金の米作りに取り組んでおられます。

長田さんには「米で起業する」「ＴＰＰと農業」のお話をうかがいます。日本の農業が強くなるには何が必要なのでしょうか。お楽しみに！

正しい名刺交換マナー

2012/11/6

「大阪府公立高校入試の変更点（平成２５年）」（「中村俊一の教育ＢＯＸ」放送内容）

１１月６日（火）「中村俊一の教育ＢＯＸ」の放送内容です。放送内容そのままではありません。今夜は大幅に変わりつつある大阪府公立高校の入試についてお話ししました。

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今夜は大阪府の公立高校入試について考えたいと思います。

さて、文部科学省によれば、高校進学率は９７％を超えていますから、中高一貫校以外の、公立中学校の生徒は、ほとんどの人が高校受験をすることになります。高校受験のときにいちばん勉強したという人もけっこういますよね。

ところで、大阪府の公立高校入試なんですが、来年の平成２５年に大きく変わる点があります。大阪府の公立高校入試では、例年、２月下旬頃（２４年は２月２３日）に行われる前期入学者選抜と３月中旬頃（２４年は３月１６日）に行われる後期入学者選抜の２回、高校入試が実施されます。

今までは、前期入試で専門学科や総合学科などの高校入試、後期入試で普通科の高校入試と大きく分けられていました。しかし、来春から、普通科も、前期入学者選抜試験で、２クラス８０人を募集し、後期入学者選抜試験で、残りの定員を募集することになりました。同じ学校を２回チャレンジすることができるのですね。

前期入試の普通科は、当然のことながら高倍率になるでしょう。しかし結局、今までなら後期入試で上位で合格できる力のある生徒が、来春は前期入試で合格するでしょうから、入学者全体でみればそれほど変化はないかもしれません。

ただし、前期と後期で選抜の方法が違います。前期入試の普通科では、国語５０点・数学５０点・英語５０点の３教科１５０点満点の学力検査と小論文３０点、そして中学校からの調査書、いわゆる内申書（国・数・英、それぞれ１０点満点と、社・理・実技４科音楽・美術・保健体育・技術家庭の１０点満点×２倍）の１５０点満点、合計３３０点で合否を決めます。

後期入試の普通科では、国・社・数・理・英、各７０点の５教科３５０点満点の学力検査と調査書（国・社・数・理・英１０点満点×３倍、実技４教科×５倍）の３５０点満点の合計７００点満点で合否を決めます。ただし、後期入試では、高校によって、学力検査と調査書の比率を６：４、５：５、４：６に変更できます。だいたい学力上位の高校は学力検査重視の傾向ですから、学力検査６、調査書４の割合に変える学校が多いですね。

同じ普通科を受験するにも前期と後期でとても選抜内容が違いますが、なぜでしょうか。それについて、大阪府教育委員会からの正式な説明はありませんが、物理的な時間の問題もあるようです。

前期入試と後期入試の間が２０日ほどしかありません。前期の発表まで５日ほどの余裕しかありません。採点は間違えることができませんから、何度もチェックします。また、２月から３月にかけて、高３生の大学入試もありますから、その指導もしなければなりません。また、前期入試と後期入試の間は、高１生・高２生の学年末試験もありますから、その準備や処理で高校側も非常に忙しい時期なんですね。そういう事情もあって、入試科目を絞るらざるを得ないという側面もあるのでしょう。２回も入試があるのは高校側も大変なんですね。

しかし、同じ学校で３教科の学力検査入試と５教科の学力検査入試では、入学後の学力に差がでないか心配です。やはり、最後まで５教科入試で頑張り抜いた生徒の学力が高くなるように思うのですね。今後３教科入試に絞る生徒もでてくるかもしれません。

さらに、それに同調して、私立高校も３教科入試にする学校が多くなる可能性もあります。すでに、私立高校の中には、５教科・３教科どちらでも高い点数を取った方で合否を決める入試。アラカルト入試というのですが、そのアラカルト入試を導入したり、検討している高校もあるようです。

高校入試の段階で３教科に絞ると、一般的な教養を身につけるという点では問題があると思いますね。地理・歴史・公民は生きていく上で大切な基礎教養ですし、理科的な思考力は科学技術全盛の現代では欠かせない知識です。
簡単な入試になるのは、大阪の学力低下につながらないか心配です。

それと、前期入学者選抜試験と後期入学者選抜試験の受験日が、平成２５年入試では、前期で３日（２月２０日実施）、後期で５日（３月１１日実施）早められます。

最近の受験生の傾向として、早く高校を決めてしまいたいというのが、特に成績の中下位者で多くなっているようです。平成２３年度から、大阪府は、所得６１０万円までの世帯（平均所得世帯）の私立高校授業料を無償化し、さらに、所得８００万円までの世帯（約７割の世帯があてはまる）の授業料負担を年間１０万円としました。非常に私学に通い易い状況になりました。

人気のある私立の専願受験や２月上旬に私立入試で併願合格していて、前期入試の専門学科入試でチャレンジして不合格ならば、後期の普通科受験をやめてしまって私立高校に入学を決める生徒が増えました。

平成２３年度入試では、後期入試の中下位レベルの普通科の公立高校の多数に定員割れが起こりました。今年は定員割れはかなり改善されたのですが、それでもまだ、１０校以上定員割れを起こしていました。

クラスの中で、進学先が決まった生徒と最後まで受験する生徒がいて、しかも進学先が決まった生徒が多くいたら、その生徒たちはもう受験は関係ないと授業で羽を伸ばすでしょうから、先生は授業をするのが大変ですね。

実は中学校ではそれに困っているんです。最後の後期入試まで受験する生徒のモチベーションを切らさずに指導してあげないといけませんからね。だから、中学校の現場から、後期試験の受験日を早めてほしいという要求もあるようです。また、今までは、中学校の卒業式の後に、後期入試だったのですが、卒業式前にして欲しいとの声もあったようです。そういうこともあって、卒業式の２日前に後期入試が行われることになりました。受験が終わって卒業式の方が、卒業式に心を込められるかもしれませんね。

さらに、平成２６年度からは大阪の学区が撤廃され、府内全域の公立高校の受験が可能になります。また、内申書は相対評価から絶対評価に変更されます。目まぐるしく変わる入試制度に、受験生も中学校も高校も対応するのは大変です。まずは、正しい情報を知ることが大切になりますね。

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その他にも変更点をあげればたくさんありますね。大阪の高校入試は、明らかにバウチャー制度を導入し、努力している学校が生き残りなさいという方向のように思います。大阪府の地元の公立高校の学校協議委員を４校拝命していますが、どの高校も校長を筆頭に改革に真剣です。

大阪府の教育改革が義務教育にまで広がるのかどうかが、今後問われると思われます。

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