【緊急対談】細川護熙元首相×家入一真 「目指す東京の姿」
オルタナ 1月30日(木)12時44分配信
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| 家入氏は、自身のアイフォンを使い対談模様を中継した。12000回以上再生され、話題となっている。写真はカメラをのぞく細川元首相(写真左)と家入氏 |
都知事選に立候補している細川護熙(もりひろ)元首相(76)は29日夜、今選挙では初となる他候補者との対談を行った。その相手は、起業家の家入一真(かずま)氏(35)だ。初対面した両者は、それぞれが掲げる政策やオリンピック、目指す東京の姿について1時間ほど話し合った。(オルタナS副編集長=池田真隆)
家入:都知事選に出馬表明したとき、「政策も公約もまったくない」と言いました。まずは、みんなから意見を集めて、それを精査して、選挙期間中に発表しようと考えていたからです。今はツイッターなどを使って意見を集めていて、31日には発表する予定です。
もちろん前代未聞の方法なので、「結局何がやりたいのか分からない」「自分の軸はないのか」と政治評論家の方々から、すごくお叱りを受けました。でも、今の政治に、若者の意見を吸い上げる場はないと疑問を感じていました。
細川:それは、面白いアイデアだと思いますよ。社会のことを考えるためには、政治家の意見だけでなく、いろいろな人からのアイデアがあって良いのです。民主主義とは本来そういうものです。家入さんはネットでアイデアを募っているので、若者が多いのでしょうか。
家入:主に20〜40代ですね。都民以外からの意見も集まっています。地方から見た東京の視点を得れるので、参考にしています。また、ぼくは街頭演説をしないのですが、理由があります。
それは、車の上から人を見下ろして一方的に、「これが答えだ」といった話し方をしますので、それがどうも嫌なのです。政治家から「答え」というのを押し付けられますが、実際は、それが「答え」ではなかったりもします。
一人ひとりの意見を聞いて、当事者の気持ちなどを考えた結果、政策になるのなら良いのですが、候補者からの一方的なコミュニケーションではできません。だから、ネットを使って同じ立場から意見をもらう手法を取れ入れたかったのです。
でも、ぼくは政治の世界に入ったこともなく、生意気にこんなことを言っていますが、一生懸命演説をしてきた方を目の前にしてこのようなことを言うのは、失礼なのかとも思っています(苦笑)。
細川:実は、私は人前で話すことが最も苦手なのです。私は小学生の頃から学芸会でお腹を壊していました。ですから、まったく政治家向きではないのです。運動会や学芸会などで目立つことは一切ありませんでしたね(笑)。
日本新党のときに、街頭演説を銀座や数寄屋橋の交差点でよくしていましたが、今またそこを通るとゾッとします。よくあんなとこで、厚かましくやっていたなと(笑)。だけどね、これがまた不思議なもので、やっていると、人が集まってきて、そのうちにだんだんと熱が入ってきます。車の上に立つまでは、嫌で嫌でしょうがないのですが。
たぶん、そう思うのも、本当に政治が嫌いだからだと思います。大人たちの思惑や足の引っ張りあいが盛んに行われるドロドロとした世界です。若者には、「政治の世界には、できる限り近づかないほうが良い」とまで言ってきました(笑)。
家入:テレビや新聞から見ていても、そのドロドロ感は伝わっていました。
細川:政治の世界は、男たちの権力争いからできています。まともな感覚を持った人は少ないでしょう。あることないこと言って、足を引っ張りあうのです。
家入:若い人がそういう世界をぶち壊そうというのは良いのでしょうか。
細川:良いと思いますよ。でも、なかなか壊れないですよ。原子力ムラみたいに、関係各所にお金を注ぎ込んで手懐けていますからね。でも、切り込んでいかないとしょうがない。
今回選ばれる都知事も、本当は若い人にやってもらいたい気持ちが強い。原発だって、廃炉にするまで、40〜50年はかかる。今、お母さんのお腹にいる子どもたちの世代にまで続きます。
だから、若い人じゃないと見届けられない。私たちみたいな、「60〜70代の世代が出てくるとは、どういうことだ」という議論がもっと起きても良いのです。
家入:ぼくも脱原発なのですが、原発について聞かれたときに、「あなたはどう考えていますか」と聞きます。こう聞くと、即答で答える方、ムスっとする方、考え込む方などがいます。
本音は、脱原発ではなく、脱・脱原発と言いたいのですが、代替案がないから言えません。だから今、みんなから意見を集めています。
細川:私は、知事の仕事は、都民の命と暮らしを守ることだと考えています。近い将来、予測されている首都圏直下型地震や少子高齢化への対応など課題は山積みですが、なかでも原発の話だけは最も慎重に考えなくてはいけません。
事故以来、多くの人が仮設住宅で暮らし、福島周辺の被害はすさまじいものです。東京の近くでも、浜岡、柏崎刈羽、東海第二など危険な原発がいくつもあります。
もし今度同じような事故が起きたら壊滅的な事態が起きるはずです。福島の事故では停電になり、水もなくなり、ほとんどの外国人はすぐに帰国しました。今度の都知事選の争点は原発ではないとされることもありますが、これだけの被害があり、福島や新潟から便利さだけを享受して、廃炉作業や核のゴミ処理など嫌なことを地方に追いやっている体制については、最も話し合わなければいけないことです。
それなのに、政府が言っていることはおかしい。終息もまだしていないのに、基幹エネルギーとして、原発を利用すると言っている。核のゴミ処理にしても、どこも手を挙げないので、政府が地方を指名して押し付ける考えです。
最終更新:1月30日(木)13時5分
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