五輪フィギュア:カップル種目 地道な強化必要

毎日新聞 2014年02月10日 10時14分(最終更新 02月10日 11時41分)

 今大会から採用されたフィギュアスケートの団体。5位という結果は、メダルを狙えないわけではなく、団体を軽視するわけにもいかない中途半端な位置だ。小林芳子監督は「今の実力でメダルを取るためには、個人戦を考えずに全力で取り組まないといけない。そういう考え方は、チームになかった」と振り返った。

 団体のルールが明らかになって以降、強化サイドはショートプログラム(SP)で5位以内に入り、メダルを争うフリーに進出するのが大前提と考えた。ペアとアイスダンスは世界の第一線と実力に差があるため、男女で順位点を確実に稼ぐ必要がある。そこで、日本チームは、男子SPに羽生結弦(ゆづる)=ANA、女子SPは浅田真央(中京大)と、今季SP自己ベストの最も高い2人を投入した。

 羽生は期待通りにトップの点数をマークし、順位点で満点の10点を獲得したが、3番手にとどまった浅田は誤算だった。事前のシミュレーションでは、男女SPで満点を取ればメダル争いに絡むため、その条件を満たしていれば、男女のフリーでも再び、羽生と浅田を使う選択肢もあったという。フリーの今季自己ベスト最高点も羽生と浅田だからだ。だが、メダルが遠のいたとの判断で、それぞれの個人種目に影響を及ぼしかねない羽生、浅田の連続投入は見送られた。

 2018年平昌五輪でも団体が実施されるとすれば、強化すべきはペアとアイスダンスだ。特にペアは、4大会ぶりに日本人ペアが出場するなど取り組みが緒についたばかり。「女子は突然、強い選手が出現したりするが、(ペアとアイスダンスの)カップル種目はそうもいかない。地道な取り組みが必要になる」と小林監督。今回の「健闘」が競技人口の向上に寄与すれば、何よりの収穫だろう。【芳賀竜也】

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