大勢のファンの前でフリー打撃を披露する松井臨時コーチ=サンマリンスタジアム宮崎で(沢田将人撮影)
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ゴジラのバットがついに火を吹いた。巨人の松井秀喜臨時コーチ(39)が9日、好天に恵まれたサンマリンスタジアム宮崎でフリー打撃を行い、22スイングで5本の柵越えを放った。現役時代をほうふつとさせる豪快な打撃に、桃井恒和社長は現役復帰の仰天プランも口にした。
午前練習の終了後、場内アナウンスが鳴り響いた。「松井臨時コーチが選手のためにバッティングを行います」。今年最多3万7000人の詰まった観客席が大きくどよめく。黒いTシャツとジャージーに身を包んだ松井コーチが打席に入り、原監督や選手たちが真後ろで見つめた。
まず2球見逃した後、ファウルが3つ続く。待ちに待った瞬間は6球目にやってきた。大きな破裂音を残した打球が痛烈なライナーとなり、右翼席前列に突き刺さる。松井コーチは後ろの選手たちに向かい、右手でガッツポーズ。スタジアムは大きく沸いた。
その後も現役選手顔負けの痛烈な打球を連発した。「ホームラン狙い? そんなことない。今の状態の中で強く振った」と振り返ったが、約5分間で代名詞の本塁打は5発。いずれも右翼席で、うち1発はきれいな放物線を描いて中段に達した。
見守った選手たちにはこの上ない刺激になった。坂本は「打球の速さが違った。別次元すぎて、一人のファンとして見ちゃった」と大興奮。打撃投手を務めた阿部は「数少ない時間でホームランが打てるのはさすが」と感嘆した。
松井コーチは打ち終えると、桃井社長に「契約、契約」と声をかけた。報道陣には「冗談に決まってるじゃん」と話したが、桃井社長は「打球が(速くて)目で追えなかった。現役? できるね。(選手登録)枠もまだ空いているし」と大乗り気だ。短い準備期間で豪打の健在ぶりを示したゴジラ。今季、背番号55の電撃復帰もあるかもしれない!? (小林孝一郎)
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